靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

子育てノート、完璧主義

2013-02-10 02:08:18 | 子育てノート
 次女は完璧主義なところがあり、自分の思い描くように事が進まないと、癇癪を起こすことが小さな頃からよくありました。せんべいを袋から出す時に割れてしまった、髪を縛る左右のリボンの位置が対称でない、弟が自分の示した服の着方に従ってくれない、宿題のプリントの角が少し折れてしまったのでコピーして全てやり直す、今日のドライブ楽しかったねと皆が言う中、「少し道に迷ったので良くなかった」と頬を膨らませる、とにかく完璧でないと、機嫌を損ねふくれっ面です。

「角が少し折れたくらいいいじゃない」「道に迷ったからって楽しかったことに何も変わりないわよ」そう声をかけ続けていたのですが、ますます癇癪も激しくなるばかり。ある時次女の側に立ち、周りを眺めてみようと心がけてみました。すると完璧に美しく描いた絵が、小さな染みのせいで台無しになってしまった、この染みさえなかったらと、染みばかり見て苦しんでいる次女の姿が見えてきました。

 まずは、「思い描く通りうまくいかなくて悔しいね」、「もう少しで完璧にできるはずだったのに悲しいね」と、「染み」を見て苦しむ次女の気持ちに共感するようにしてみました。すると、次女の肩の力が抜けていきます。そこへ、物事のいい面を並べて見せてみました。割れたせんべいだって変わらずとても美味しいね、二度宿題をしちゃったから頭にしっかりと入ったね、道に迷ったドライブで出会ったヘラジカの親子可愛かったね、そう「染み」から、背景にある「美しい絵」へと焦点をずらすよう働きかけました。そして、「いつももっとより良くできるはずだと考える姿勢は、素晴らしいことよ」と、完璧主義のいい面に注目するような言葉もかけるようにしたのです。

「私の気持ちを分かってくれた!」、そう子供が感じるとき、子供の心が開きます。そしてこちらからの見方や考え方を受け入れる心の余裕が出てきます。「物事にはいつもいい面と悪い面があるのよ、いい面にも目を向けていこうね、悪い面があるのは悔しいことだけれど、どうしたら少しでもよくできるか考え行動していこうね」、そう繰り返すアドバイスも、次第に心に届くようになりました。

 今では癇癪を起こすことも少なくなり、完璧でないならもう嫌だと投げ出してしまうような完璧主義の弱みも、随分と緩和しつつあります。完璧でなくとも、例え気に入らない「染み」がついてしまっていても、こつこつと取り組み続けることで徐々により良くなっていく、「染み」もいつしか薄くぼやけ見えなくなっていく、そんな姿勢を身に着けてくれたら、そう願っています。

 まずは「理解しよう」とし、子供の側に立ち共感を示してみることで、子供の気持ちが満たされ、問題に思っていた行動が、おさまっていくことがあります。「分かってくれた!」という気持ちは、子供の心を開かせ、他者のアドバイスや見方を受け入れられる心を整えます。子どもが発する言葉や行動をたしなめ導くことも必要ですが、子供を理解しようとすること。「何で皆分かってくれないの?」、子供達の問題に思える行動の背景には、そんな声にならない叫びがあるのだと、次女との出来事を通しても学んでいます。


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