靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

子育てノート、喜びを見出す、その二

-0001-11-30 00:00:00 | 子育てノート
「喜びを見出す」方法例やヒントや

身近な周りを見回す
 普段当たり前に通り過ぎてしまうようなことに、たくさんの喜びを見つけます。真っ青な空、面白い形をした雲、雨上がりの虹、銀色の雪雲、サラサラな新雪、まん丸な月、果汁の滴るフルーツ、新鮮な野菜の甘さ。忙しく動き回る日常にふと立ち止まり、「きれいだねえ、あの形不思議だねえ、美味しいねえ」と嬉しそうに感動してみせます。子供は日々の生活の中に、喜びの芽がたくさんあるのだと感じるようになります。

笑う
 クスクスからお腹を抱えてゲラゲラまで、日々共に笑う機会をもつよう心がけます。子供は親が楽しそうにしているのが大好きです。親が笑うことで子供も自然と笑顔になります。思春期に入り、時にギクシャクする親子関係も、一緒に笑う機会を持つことでスムーズになります。「笑い」は凝り固まった見方を一気に広げ、再び喜びを見出すための潤滑油です。あれやこれやと立て込み、忙しくきりきりと張り詰めたときこそ、生活のあちらこちらに冗談を散りばめ、ふっと緩める時を共有していきましょう。

目的を見つける
 日常の「やるべきこと」も、必ず何らかのより大きく高い目的に繋がっています。目の前の漢字ドリルに取り組むのも、提出期限に間に合わせるためだけでなく、漢字を使いこなすことでよりたくさんの情報を理解できるようになるため、目の前の人参を口に入れるのも、好き嫌いを言うとママに叱られるからだけでなく、大好きな追いかけっこのできる健康な身体を作るためです。毎日の子育ても、未来の世界を創るための一歩です。より大きな目的を見つけることで、また一つ喜びが生まれます。

あげる・助ける喜び
 もらう喜びだけでなく、あげる喜びを体験させます。少し多めにお菓子などを持っていたら、周りの子にあげるように促します。子供というのは「あげる」のが大好きです。嬉しそうに配ってまわります。家の中でも年齢に応じたお手伝いなど、「してあげる」体験をさせます。小さな子供でも、靴箱や本箱の整頓、食事前に箸を整えたり、食べ終わったら流し台に皿を持って来ることができます。切った野菜を鍋に入れたり、お米を計って炊飯器に入れることもできるでしょう。「ああ助かったわ、本当にありがとう」そう喜んで見せることで、子供はもっとお手伝いしたいと思うものです。
 家の中だけでなく、悲しんでいる子を笑わせてあげたり、仲間に入りにくそうにしている子を入れてあげたことを一緒に喜んでやります。親戚や周りの人々の誕生日にカードやプレゼントをあげたり、まだ使えるけれど使わなくなったものを必要とする人々に寄付するのもいいです。電車やバスで席をゆずったり、重そうにしている人の荷物を持ったり、親も子供の前で率先してそんな姿を見せることです。病気の人や老人ホームを訪ねたり、ホームレス支援センターを手伝いに行くこともできます。ごみ拾いや掃除のボランティアなど、コミュニティーの活動に参加するのもいいでしょう。自分のもてるものを、周りの人々に差し出す喜びをたくさん体験させましょう。

教え伝える喜び
 こうしたらうまくいった、ああしたらうまくいかなかった、そんな体験が周りの人々の役に立つのは嬉しいことです。掛け算の覚え方、しっとり焼けたバナナブレッド、背泳ぎを早くする手や足の動かし方、必要とする人に体験をシェアすることで、失敗は生かされ、成功の喜びは増します。
 子供が積み重ねた体験や知識を、その子より年下や経験の浅い子に伝えさせる機会を持ちます。「教えることが、最高の学習方法」と言われるように、他人に教えることにより、内容を消化できよりしっかりと身につけられるということもありますが、何より大きいのは、目の前の問題を、また違った角度から眺められるようになることです。他人に教えよう伝えようと意識することで、目の前の問題は、また一つ何らかの解決方法を提案できる機会に変わります。教え伝える喜びをたくさん体験させます。そうすれば問題の渦中で悲しみや苦しみに浸り留まり続けるよりも、どうしたらこの問題を解決することができるだろうと、解決策に目を向ける習慣が培われていきます。

創る喜び
 創る楽しみをたくさん体験させます。玩具も、既に出来上がったのものよりも、なるべく創る過程を楽しめるものを与えます。組み立てて様々な形ができるものや、クラフトのキットなど、お友達や親戚へのプレゼントにも喜ばれます。安全に扱える年齢になったのならば、クレヨンや色鉛筆や色紙やはさみやのりなどの工作用具を、いつでもすぐ手の届くところにおいておきます。我が家でも子供達が家で過ごす多くの時間、切って貼ってと夢中になって過ごしています。
 料理も食卓に並べるだけでなく、共に作ります。野菜を切ったり、巻き厨子を巻いたり、稲荷ずしに寿司飯をつめたり、子供でも年齢に応じてできることはたくさんあります。小学校中学年にもなれば、クッキーなども、親はオーブンの出し入れを手伝うくらいで、自分で作ってしまえるものです。家でもインターネットでレシピを見つけては、休日の度、上の子達三人で代わる代わるお菓子を作っています。
 子供達が何かを創っているときの集中力や熱意というのはとても強いものです。五人の子や周りの子を眺めていても、創る喜びというのは、人の奥深くに備わっているものなのだとつくづく感じています。小さな頃から創る喜びをたくさん体験させてやりましょう。創造する喜びは、その後の人生を豊かで幅のあるものにしてくれるでしょう。

温もりを体験させる
 子供時代に温もりに包まれる体験をたくさんさせましょう。子供達が大きくなり幸せだったと思い出すのは、周りの大人たちが、自分と向き合い過ごしてくれた何気ない日常の風景です。最新式のゲーム機を買ってやる、日本一のジェットコースターのある遊園地へ連れて行くというような、物質的で刺激に溢れた楽しみでではありません。今度はあれを買ってやろうあそこに連れて行ってやろう、そういった特別なことはそれほど必要ではないのです。
 心の奥深くに残る温もりを、たくさん感じさせてやることが大切です。母と手を繋いで歌いながら散歩したこと、父と車の中でしりとりし合ったこと、叔母とよく熟れたフルーツを美味しいねと食べたこと、夕暮れの校庭で逆上がりができるようになったと父に見せたこと、仕事帰りの母とその日あった出来事を話しながら夕焼けの中帰宅したこと、湯気の上る台所で夕飯を作る祖母の手伝いをしたこと、髪をなでる母の匂いに包まれて眠ったこと。そんな何気ない日常の中に、温もりが溢れています。子供と向き合い、共に楽しむ時間を毎日の生活に散りばめましょう。それが子供達の奥深くで、喜びというものの原型を形作ります。

周りの大人がモデル
 周りの大人が手本です。不平不満や文句ばかりになっていないか、身の回りの物事に喜びを見出す余裕を持てているか、立ち止まり見直してみます。コップに半分の水を見、ああ半分もないと思うか、半分もあると思うか。もう半分をどうしたら満たせるかと試行錯誤する喜びを見出せる自分であるかです。
 辛く苦しかった時を思い出すのならば、今こうして普通に暮らせることへの喜びが湧き上がります。壁を乗り越えた自分を思い出すのならば、目の前の壁もまた次の壁を越えるための訓練だと喜ぶことができます。そしてもしこうして壁に向き合った体験が、少しでも他人の役に立つのならば、これほどの喜びはありません。
 肩の力を抜き、ほっと一息つきながら、周りに溢れる喜びを一つ一つ胸に抱いていきましょう。どんな物事もより大きな目的と繋がっています。未来の世界を担うのは子供達です。目の前の課題溢れる育児も、世界の創造への一歩。そんな一歩を踏み出せる喜びを、日々かみ締めていきたいです。


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