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にしみの鉄道情報局付属ブログ

大手私鉄の甲種輸送ルート・1

2012-01-06 | 鉄道技術

製造メーカーで作った電車を、発注元の鉄道会社まで運ぶ場合、陸送や海上輸送もありますが、多くの場合は下の写真ようにJR貨物に依頼して、貨物列車として輸送されます。これを甲種輸送列車と呼ばれています。



撮影 関ヶ原垂井間 2011年4月10日



発注元の会社のレール幅がJRとレールの幅が異なる場合、上の写真の京急1000形のように仮台車を装着して輸送されます。JR以外の大手私鉄や公営交通の新車輸送ルートは、線路がつながっている箇所の関係で思わぬルートをたどることがあります。

東急電鉄の場合
東急の新車は、現在のところすべて子会社の東急車輛で製造されます。東急車輛の横浜製作所は、京急の金沢文庫駅と金沢八景駅の間にあり、京急の本線と線路がつながっています。
ただ京急は1435mmの標準軌のため、レールをもう1本敷いて1067mmの三線軌区間にして対応しています。この三線軌区間は、逗子線の神武寺駅まで続いており、その先は、専用線を経て横須賀線の逗子駅につながっています。
車両はこの専用線で、東急車輛からJR貨物に引き渡され、横須賀線から根岸線、更に桜木町から高島貨物線に入り、鶴見から武蔵野線で府中本町、南武線で立川、八王子を経て、横浜線の長津田駅まで運転されます。長津田駅には横浜線と東急田園都市線の間に渡り線があって、東急の新車はここから搬入されます。
また東急と相互乗り入れしている、東京メトロ半蔵門線の新車もここから搬入されるようです。桜木町からそのまま京浜東北線に入って、東神奈川駅から横浜線に入らず、このような大回りをするのは、京浜東北線と根岸線の桜木町以北は保安装置がATCで貨物列車の運転に対応していないためです。
なお、大船駅で横須賀線から東海道貨物線ではなく根岸線に進むのは、大船駅の配線の関係で、横須賀線から直接東海道本線へは折り返せません。
東海関西方面への甲種輸送も一旦根岸線高島貨物線経由で新鶴見操車場まで運転されます。以前は根岸線の本郷台で折り返していましたが、機関車の付け替えの関係から、機関区のある新鶴見まで行くようです。

小田急電鉄の場合
特急あさぎりが使っている松田駅構内にある連絡線を使って、新車を搬入しています。小田急の場合、東急車輛、川崎重工、日本車輌の3社に発注しています。
東急車輛で製造の場合、東急の場合と同じく、逗子から新鶴見と運行され、沼津から御殿場線に入って松田駅まで運行されます。松田駅の連絡線が沼津方向なのが、沼津経由の理由と思われます。
日車や川重での製造の場合は、そのまま沼津まで東海道本線を運行され、御殿場線に入ります。
以前は小田原駅構内にJR小田急間の渡り線が有ったそうですが、小田原駅改良工事に伴い廃止され、松田駅から新車を搬入するようになったそうです。

京浜急行の場合
京急の新車は、東急車輛と川崎重工が製造しています。東急車輛は沿線ですので、そのまま出場できますが、川崎重工製造分は甲種輸送されてきます。
これは東急車輛からの車輌搬出とは逆ルートで、逗子駅から専用線、さらに京急逗子線を経由して、一旦東急車輛に入場します。ここで台車を輸送用の仮台車から本来の台車にはきかえて、京急に引き渡されます。

続く

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