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にしみの鉄道情報局付属ブログ

電気主任技術者の話・4 構内配電線の電圧

2020-04-03 | 電気主任技術者
前回からの続き

特高受電の場合、22KVを超える特別高圧から三相400V・200V(動力)や単相100・200V(電灯)に直接変圧することはまずありません。法律上も様々な規制があり、変圧器が故障した場合に特別高圧が低圧回路に流れ込む事を防止する対策がされた変圧器や、特殊用途のみ認められています。そのためほとんどの特別高圧受電は、特別高圧から高圧に電圧を下げて、その上で低圧に電気を下げています。
この中間の高圧の電圧は多くが6600Vです。これは、現在電力会社の配電線が6600Vなので、高圧受電用の変圧器の流用ができるためです。ところが世の中には、6600V以外の構内配電線の工場が少なからず存在します。

戦前、電力会社の配電線の電圧は3300Vでした。1950年代から70年代にかけて順次6600Vに配電線は昇圧していき、現在全国の配電線はすべて6600Vとなっています。
そのため1950年代以前からある古い工場などでは、構内線がそのころの名残で3300Vのところが少なからずあるようです。

工場内の配電線を3300Vから6600Vに昇圧するのは、その工場にとっては一大プロジェクトで、聞いたところによると10年近くかけて行った会社もあるそうです。高圧から低圧に変換する変圧器をタップ切替の3300V/6600V両用トランスに順次更新して、一部では3300V/6600V変圧のタイトランスをいれて対応したところもあるようです。特殊な例では、大型の空気圧縮機や電気炉、冷房用の大型冷凍機などが3300V駆動で、3300V/6600V変圧のタイトランスで対応した例もあります。

また、鉄道の信号、踏切用の電源は、走行用の架線の系統とは別系統ですが、電化路線の場合、変電所を架線とそれ以外の電源を共有している場合が多いので、架線柱には信号や踏切、駅で使用する電気の配電線があります。高圧で電気を送って、踏切などの近接箇所で、低圧に落としています。この配電線の電圧も少なからず、3300Vのところがあります。

現在ではほぼ無くなりましたが、かっては6600Vの配電線に中性線1本を架設して11KVに昇圧していた配電線があり、この電圧で受電していた工場があったようです。
そのような工場だと、22KV以上の特別高圧受電になった後も、昔の名残で構内配電線が11KVという例もあり、11KVから直接低圧に変圧していたり、11KVの電気炉があったりします。

現在では、新規に特高受電の工場や商業施設を作る場合、既設の工場を特高受電化する場合、構内配電線は6600Vを用いている例がほとんどです。

続く
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