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にしみの鉄道情報局付属ブログ

電気主任技術者の話・9 年次点検

2021-12-26 | 電気主任技術者

電気主任技術者にとって、1年で一番のビッグイベントは停電を伴う年次点検です。特高変電所の点検と、高圧側のキュービクル、サブ変電所の点検がメインになると思いますが、電気を止められるチャンスは限られるので、これにわせて色々と改修工事を行います。

特高変電所の点検は受電用と高圧側への送り出しの継電器のリレー試験、機器点検、接地抵抗を測定します。自分の専任の変電所は、特別高圧側がC-GISでメーカー以外やそれに類する会社以外は点検不可能で、かつメーカーの指定は6年間隔の点検なので毎年行いません。高圧側のVCBの点検も、メーカーの指定は6年間隔なので毎年の点検は行いません。
それ以外のリレー試験は、専門の点検業者に外注します。リレー試験機をユーザー側が持っていることはまず無いので、必然的に外注になります。
高圧側のキュービクル、サブ変電所の年次点検は、電気保安法人や電気管理技術者なら大抵どこでも出来るので、それほど制約はありません。

この年次点検は会社の方針や過去の経緯にもよりますが、特高変電所と高圧のキュービクルの点検を一括で、メーカーの関連会社や電力会社のグループ会社などに外注し、特高は元請けで行い、キュービクルはそこが、電気保安法人や電気管理技術者に下請けで発注するケースが多いようです。ただし、ユーザー側が特高変電所とキュービクルの年次点検を別の業者に発注する場合もあります。自分は過去の経緯で、特高変電所とキュービクルの点検を別の業者に個別で発注しています。
年次点検の日時や発注ですが、年末に行う場合、4月の新年度開始後にはある程度日程を定めて、5月のGW後ぐらいには業者に日程を内示し、遅くとも9月中には点検を正式発注しています。これぐらいの日程の余裕を持たせないと、点検業者を集めることは難しいです。

昨年にあった事態なのですが、2020年末の点検に数年間隔の大規模な点検を計画していました。5月のGW後の中旬に、特高変電所のメーカーに打診を行いましたが、コロナの影響で、5月のGWに点検を予定していた首都圏の特高ユーザーが軒並み点検中止になり、2020年末に延期になり、点検要員を確保できないという連絡が入りました。仕方なく1年その点検は順延になりました。
ただ、東海地方の特高ユーザーには、年次点検を延期したところはあまりなかったと聞いており、それ以外の点検工事は問題なく実施しました。


自分が担当しているところは、キュービクルは高圧受電時代から使っている古いものが多いので、この更新工事を併せて行うケースが毎年のようにあります。もっとも古い変圧器は引き継いだ時点で1979年製で、使用年数が20年を超えるものが多く、絶縁油を入れ替えて延命を行うか、そのものを入れ替えるかの選択に毎年迫られます。また、特高変電所とキュービクルの間の高圧ケーブルも寿命が有限なので、順次引き換えを行い、これも年次点検に併せて行っています。

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