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にしみの鉄道情報局付属ブログ

温泉県は愛媛県?

2023-08-30 | ノンジャンル

日本の都道府県の名称は、ほとんどが県庁所在地の地名、自治体名か郡名、広域地名(沖縄県・北海道の2例)となっています。また、神奈川県兵庫県両県のように、当初は自治体名だったのに、市町村合併の過程で、県庁所在地の自治体名が県名と異なる自治体名になった例もあります。ちなみに県名に県庁所在地の郡名が採用された理由には諸説ありますが、明治維新の倒幕側と佐幕側だったという説もよく言われています。ただ、これもかなり矛盾があるので決定的な説はありません。

しかし、完全に現在の県庁所在地の地名ではない県が4県あり、それらにはそれ相応の経緯があります。

 

1例目は栃木県で、現在県庁所在地は宇都宮市にありますが、県名の由来となったのは同県内の栃木市です。

これは当初栃木県の県庁は栃木市に置かれていたのですが、1873年(明治6年)に栃木県が宇都宮県と合併、その後様々な経緯により、1884年(明治17年)に名称が栃木県のまま、県庁所在地が栃木市から宇都宮市の移されました。

 

2例目は埼玉県で、平成の大合併で県庁所在地の大宮市と浦和市、更に与野市と岩槻市が合併してさいたま市になっています。こちらはある意味県名に県庁所在地名が追随した形ですが、かっての浦和市は北足立郡に属していました。

つまり浦和市に県庁所在地があった場合、浦和県か足立県になったわけですが、埼玉県を名乗ったの別の経緯がありました。1871年(明治4年)に忍県(埼玉県北部)、岩槻県、浦和県が合併した際に、県庁は岩槻に置かれる予定でした。岩槻の所属する郡は南埼玉郡で、そこから埼玉県と命名されています。

ところが、暫定的に浦和に県庁所在地が置かれ、それがそのまま続いたため、地名と県庁所在地名が不一致となりました。

ちなみに、埼玉は、行田市大字埼玉(さきたま)に由来しており、県庁所在地の浦和から見るとかなり離れた位置にあります。

 

3例目は三重県で、現在県庁所在地は津市にあり津の所属していた郡は安濃郡なので、こちらも県庁所在地の地名でも、郡名でもありません。廃藩置県後、現在の津市などの三重県北部で、津市に県庁所在地を置く安濃津県が成立しました。津市は近世以前は、安濃津とも呼ばれ、安濃郡の港という意味でした。津という漢字は、港という意味で、大津や木更津、泉大津など、海岸もしくは湖などの港町の地名に付く例が多数あります。

安濃津県の県庁所在地が1872年(明治5年)に四日市へ移り、この時、四日市の郡名の三重郡から三重県に改称されました。翌年に県庁所在地が津に戻ったのですが、県名は三重県のまま現在に至っています。

三重県の場合、栃木県の県名の経緯とほぼ同じです。ちなみに、石川県も県庁所在地が金沢から一時的に美川に移り、県名がその時に金沢県から美川の郡名の石川県になり、金沢に戻っても石川県のままでしたが、元々金沢も石川郡に属していたので、石川県は県名と所在地の地名は一致しています。

 

4例目は愛媛県で、愛媛は地名でありません。地名由来ではない県名は愛媛県が唯一になります。えひめは古事記に由来していて、うるわしい女神という意味です。明治維新期の王政復古の風潮からこのような県名になったと言われています。

現在の県庁所在地の松山のかっての郡名は温泉郡で、愛媛が採用されなかった場合、松山県か温泉県になったのではないかと考えています。

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