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にしみの鉄道情報局付属ブログ

無免許鉄道

2023-05-05 | 鉄道

鉄道事業というのは、国(運輸省→国土交通省)の許認可事業ですので、早々無茶なことはできないのですが、無免許の鉄道というのが北九州市内にかって存在しました。

 

鉄道事業者の分類は色々ありますが、法的には1987年に施行された鉄道事業法以前は、国鉄と地方鉄道、軌道の3種類に分類されていました。地方鉄道と言っても、地方鉄道法に準拠していただけで、ローカル私鉄だけではなく、大手私鉄を含み、国鉄以外と路面電車以外のすべての鉄道を分類していました。

当時は第三セクターという概念がなかった事もありますが、流石にそれでは大雑把すぎるので、株式会社ではなく、地方自治体が運営する地下鉄などは公営交通として、区分していたことが多いようです。

 

国鉄が分割民営化されて、地方鉄道法は鉄道事業法に変わりました。このとき、第一種から第三種までの鉄道事業者に分類されることになりました。

第一種鉄道事業者は線路などの設備を持っていて、運行を行う事業者で、多くの鉄道事業者はここに分類されます。

第二種鉄道事業者は、第一種鉄道事業者もしくは第二種鉄道事業者に線路を借りて鉄道事業を行う事業者で、JR貨物も一部の貨物線区間を除いてこれに分類されます。

第三種は線路のみを保有して、他社に線路を貸している事業者で、代表的な所が神戸高速鉄道で、多くは建設費の関係で自治体などが出資する第三セクター株式会社や自治体自身などが線路を保有して、第二種鉄道事業者に線路を貸すことを専門に行う事業者になります。第二種鉄道事業者の社名、路線名として利用者に案内されていて、一般には殆ど知られてない第三種鉄道事業者もあります。

ただし、例外的に住宅・都市整備公団(現千葉ニュータウン鉄道)は、第三種鉄道事業者ですが、車両を保有し、第二種鉄道事業者の北総開発鉄道(現北総鉄道)に管理を委託しています。

 

さて、北九州市内の門司港レトロ観光線は、もともと門司港駅から外浜駅(出光美術館駅とノーフォーク広場駅の間にあった貨物駅)までが国鉄鹿児島本線貨物支線、そこからが田野浦公共臨港線として北九州市が保有する貨物線でしたが、1980年代に入ると入れ替えが必要な貨物は減少し、国鉄線から特定の工場への直通列車のみになったことから運行業務を国鉄に委託していました。

その後、1987年に鉄道事業法が施行されると、既存の鉄道事業者は第一種から第三種までの鉄道事業者としての免許を取得する届出を出さなければなりませんでしたが、北九州市は線路管理を含め国鉄JRに運行を委託していた関係上、鉄道の専任者がおらず、監督官庁の九州運輸局も北九州市に第三種鉄道事業者の免許を取得するように通達を出すこと失念していました。また、北九州市からJR貨物へ田野浦公共臨港線の部分の第二種鉄道事業者の免許を取得するように督促も行わなかっため、法律上存在しないことになっていました。

そのため、無免許状態になっていたわけですが、1990年代に入ると、北九州市が田野浦公共臨港線を利用して観光列車を運行する事を計画して、いろいろ採算性などの検討をしていました。

その検討の中1997年に田野浦公共臨港線が無免許状態であることが発覚しました。当時はまだ貨物列車の運行が継続しており、安全上の問題が無かったので運行の継続が認められましたが、関係者が色々検討した結果、1999年に鹿児島本線支線の外浜駅の側線扱いとすることになりました。実に12年間も無免許状態だったわけです。

その後、2004年に貨物列車の運行が終了し、鹿児島本線支線の部分も北九州市が買い取った上で、2009年には現在の門司港レトロ観光線が開業しました。

 

撮影 2023年4月16日 関門海峡めかり駅

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