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運動と報酬にはそれぞれ異なるドーパミンニューロンの集団が関わる

2016-07-16 06:06:11 | 
Scientists identify neurochemical signal likely missing in Parkinson's

Two distinct populations of dopamine neurons discovered

July 11, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160711155821.htm

パーキンソン病で失われるらしいlikely神経化学的なシグナルがノースウェスタン大学の神経科学者たちにより突き止められた
彼らは運動ならびに学習/報酬行動の両方に対応する脳の重要な領域にドーパミンを送り届ける、明確にdistinctly異なる2種類のニューロンを初めて発見した


「何十年もの間ずっと定説dogmaとされてきたのは、ドーパミンニューロンはそのすべてが、どうにかしてsomehow運動movementと報酬rewardの両方に関与するというものだった
しかしこれはまったく道理にかなっていなかった」
ノースウェスタン大学ワインバーグ教養学部/Weinberg College of Arts and Sciencesの神経学助教授assistant professorで、研究の首席著者senior authorであるDaniel A. Dombeckは言う

「今回の我々の記録では、ニューロンには異なる種類が存在することが非常に明らかである
我々は運動する動物でそれを文字通りliterally『見る』ことが可能だった
我々の研究結果はパーキンソン病や他の神経学的な疑問についての多くの疑問に対する答えの助けとなりそうだ」

今回の研究結果は運動制御と学習/報酬におけるドーパミンシステムを理解するための新しい枠組みを提供し、ドーパミンシステムの機能障害がどのようにして広範囲な神経疾患につながりうるのかを考える基盤となる
『素早い動きrapid movementに固定lockedされた脳内ドーパミンシグナル伝達』に関するエビデンスは今回の研究以前にはほとんど存在しなかった
この研究結果は本日7月11日にNature誌で発表された


ワインバーグの科学者たちはこれまで誰も見たことがないもの、つまり脳の線条体striatum領域における2つの異なるドーパミンニューロンの集団を観察するための、洗練された画像化技術を開発した
1つは『運動制御motor control and movement』のシグナルを伝え、もう1つは『思いがけない(サプライズの)報酬/unpredicted (surprise) reward』についてのシグナルを伝える
この発見はドーパミンニューロンがどのようにして行動behaviorに影響するのかについての現在のモデルを覆すものだ

「ドーパミンがどのようにして『運動movement』と『報酬を基にした行動reward-based behavior』の両方に働くのかというパラドックスはこれまで常に存在し続けていた」
ポスドクpostdoctoral fellowのMark W. Howeは言う

「我々が明らかにしたのは、ドーパミンが実際に両方で働き、そしてそれぞれを別のニューロンの集団が行うということである
さらに、運動に作用するニューロンは非常に高速なタイムスケールvery rapid timescaleでそれを行う
これらはおそらくパーキンソン病で影響を受ける動力学dynamicsであるようだlikely」


この研究は、より標的をしぼったパーキンソン病の治療を開発するための重要な情報を提供する
パーキンソン病はドーパミンニューロンの細胞死が原因となって起きる神経変性疾患である

現在の治療は脳の全体的なドーパミンの総量/ambient pools of brain-wide dopamineを補充replaceすることに焦点を合わせている
今回の研究は将来の治療が、運動の制御に最も関与するように思われる特定の細胞タイプや脳の領域、タイムスケールtimescalesを標的とすることによってさらに効率的になりうる可能性を示唆する


DombeckとHoweらの開発した高解像度の画像化ツールは、ドーパミンシステムの動力学dynamicsを前例のない詳細なレベルで、そして活動するマウスで観察することを可能にした

回し車を走っているマウス、または思いがけない報酬/unpredicted rewardを受け取ったマウスについて、それらの活動中に線条体でのドーパミンニューロンの軸索axonを画像化することによって異なるドーパミンの軸索を解きほぐすように分離しtease apart、ドーパミンニューロンには2つの異なる集団が存在することを明らかにした

彼らは幾ダースもの対となる軸索を一度に画像化し、軸索の活動がどのように見えるのかを観察した
その結果、運動やパーキンソン病に関連がある軸索はマウスが走っている時は活性化していたが、報酬を得た時には活性化していなかった

また、彼らは光遺伝学optogeneticsを使い、遺伝学的にラベルを付けた運動軸索movement axonに光を当ててマウスの運動が制御可能であることを示し、ドーパミンが移動運動locomotionの引き金を引くことが可能だと示した


「この研究は、運動movementにおけるドーパミンニューロンの役割についての我々の考え方を変化させる」
ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部/Feinberg School of Medicineで神経学の助教授associate professorであるRaj Awatramaniは言う

「これは当分野では非常に重要な研究である」

Awatramaniはドーパミンニューロンの多様性の元となる分子的な基盤についての専門家である
彼は最近Dombeckたちのグループと協力してドーパミンニューロンの機能と分子的な構造についてのさらなる研究を開始した


Nature誌での最重要点/Highlightを以下に挙げる

・運動の制御にとって重要な領域である線条体で終わるドーパミン軸索からのシグナルは、マウスが運動し始めた時に強くそして急速に活性化し、マウスが移動運動locomotionする間に加速するにつれて、進行中の活動ongoing activityがバースト発火burstを示した

・(光で活性化するイオンチャンネルを発現する)線条体のドーパミン軸索を光でオンにすると、移動運動locomotionを急速に誘発することが可能である
これは観察されるシグナルと、その運動movementを生成する機能的な役割との一致correspondenceを示す

・思いがけない報酬/unpredicted rewardをシグナル伝達する軸索は 運動movementをシグナル伝達する軸索とは大きく異なっており、線条体の異なる領域、つまり目標志向的な学習/goal-directed learningに関与する領域で主に終結していた


http://dx.doi.org/10.1038/nature18942
Rapid signalling in distinct dopaminergic axons during locomotion and reward.
移動運動の間のドーパミン作動性の軸索における高速なシグナル伝達は、報酬のシグナル伝達とは異なる


中脳を起点として線条体へとドーパミン作動性の投射をする軸索/dopaminergic projection axons from the midbrain to the striatum は運動の制御にとって重要である
なぜならパーキンソン病におけるそれらの変性は結果として深刻な運動の欠陥につながるからである

逆説的にparadoxically、ほとんどの記録方法で
思いがけない報酬unpredicted rewardsに応答して
高速で一過性のドーパミンシグナル伝達/rapid phasic dopamine signalling(100ミリ秒までのバースト発火bursts)が報告されているが、
運動と関連するシグナル伝達に関してはほとんどエビデンスが存在しない

一般に有力とされるモデルleading modelでは
線条体を標的とするドーパミンニューロンにおける一過性のシグナル伝達phasic signallingは
報酬を基にした学習reward-based learningを促進driveすると断定positされる一方で、

これらの同じニューロンにおける
発火のゆっくりとした変化/slow variations in firing (数十秒から数分/tens of seconds to minutes) は
動物を運動に向かわせるか運動から遠ざけるように偏向させるとされている/bias animals towards movement or away from movement

しかしながら、現在の方法ではこのモデルを支持または否定するエビデンスがほとんど何も提供されていない

今回我々は新しい光記録法/optical recording methodsを使い、
線条体を標的とするドーパミン作動性軸索の
高速かつ一過性のシグナル伝達/rapid phasic signallingを発見したことを報告する
このシグナル伝達はマウスの移動運動locomotionと関連し、そして移動運動を引き起こすことが可能である

これらのシグナルを示す軸索は、思いがけない報酬に応答する軸索とは大きく異なる

これらの結果は
ドーパミン作動性の神経調節/dopaminergic neuromodulationが
『1秒未満の正確さ/sub-second precision』で
運動制御と報酬学習に異なったインパクトを与えることを示唆し、

ドーパミンと関連する疾患の治療を考慮する上で
シグナルの正確なタイミングprecise signal timingとニューロンのサブタイプneuronal subtypeの両方が
重要なパラメーターであることを示す


http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature18942_SF10.html
Extended Data Figure 10:
Dopamine axon locomotion signalling measured by fibre photometry from different striatal sub-regions.

移動運動をシグナル伝達するドーパミン軸索を、線条体の異なるサブ領域でファイバー測光する


※SNc(赤色): substantia nigra pars compacta/黒質緻密部(A9)

※VTA(青色): ventral tegmental area/腹側被蓋野(A10)

※Dorsal(赤色): dorsal striatum/背側線条体。被殻putamenと尾状核caudate nucleusからなる

※Ventral(青色): ventral striatum/腹側線条体。側坐核nucleus accumbensと嗅結節olfactory tubercleを合わせたもの

※パーキンソン病は黒質緻密部から投射されるニューロンの脱落により線条体でドパミンが低下するためとされている

jは、現在主流の同種同質homogenousなドーパミンシグナル伝達モデルを矢状sagittalに図示したもの
kは、機能的な不均質性heterogeneityを組み入れた我々の新たなモデルである



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オリゴマーのα-シヌクレインやドーパミンで修飾されたα-シヌクレインは高い親和性でミトコンドリアのTOM20という受容体に結合し、ミトコンドリアが機能するために必要なタンパク質のインポートが損なわれ、ミトコンドリアの老化につながり、呼吸の低下と活性酸素種(ROS)の増加を示す



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哺乳類のGABA作動性介在ニューロンの25パーセントがパルブアルブミン (PV) 陽性の介在ニューロン (PVI) で、その86パーセントが高速発火PVI (FS PVI)。FS PVIはγ波を生成するが、γ波の生成には高いエネルギーが必要であり、ミトコンドリア/電子伝達系複合体が多く酸化ストレスを生じやすい



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