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卵巣癌にMET阻害剤が効かない理由

2016-07-12 06:06:00 | 癌の治療法
Discovery of new ovarian cancer signaling hub points to target for limiting metastasis

July 10, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160710212811.htm

Discovery of new ovarian cancer signaling hub points to target for limiting metastasis

July 10, 2016

膵臓癌と同様に、卵巣癌は比較的遅いステージで発見されることが知られている
診断時には体内の別の箇所に広がっていることが多く、だてに『サイレント・キラー』と呼ばれてはいない
It is not called "the silent killer" for nothing.

診断時に少なくとも3分の2の女性がステージ3以降で、転移は既に始まっている
そのような女性たちで5年間生存するのは25%未満である一方、
幸運にもステージ1か2で診断されて癌が留まっている女性では70%から90%の間である


コールド・スプリング・ハーバー研究所/Cold Spring Harbor Laboratory(CSHL)の研究チームは、卵巣癌細胞の転移の根本にあるシグナル伝達イベントへの新たな洞察に至ったとGenes & Development誌で報告した

「統計学的な資料からは進行した卵巣癌、つまり転移に対して早急に対処する必要性が指摘される」
今回の研究でほとんどの実験を実施したGaofeng Fan, Ph.D.は言う
彼の指導者mentorはCSHLのNicholas K. Tonks教授である

「この問題は特に難しく、その理由はこのタイプの癌の特殊性にある
卵巣の細胞は腹腔液を介して容易に腹腔を動き回り、それは正常時でも癌の存在下でも同じである
したがって、卵巣癌の細胞は血管に加えてもう一つの方法でも移動して転移する
患者から手術で完全に取り除くのが難しい理由は、この卵巣癌の拡散的な特徴による」


FanとTonksたちは、卵巣細胞が卵巣癌へと形質転換する際に経由するこれまで未発見だった経路を明らかにした
これは新薬で標的にする絶好の機会excellent opportunityをもたらすと彼らは考えており、
現在開発中の他の薬剤と組み合わせることで転移を食い止めるstave offことも可能かもしれないという

今回新たに発見された経路はFERというタンパク質の活性に依存する
FERは非受容体型チロシンキナーゼ/non-receptor tyrosine kinaseというタンパク質ファミリーの一員で、FERは細胞質に浮いているように存在してリン酸基phosphate groupを他のタンパク質に付加することができる

Fanたちが一連の実験で実証したように卵巣癌細胞ではFERが『上方調節(つまり過剰に産生)』されており、
そして重要なことに、卵巣癌細胞の運動性motilityと浸潤性invasivenessの原因だった
これらはヒトの培養された卵巣癌細胞ならびにマウスモデルで観察された

CSHLチームによる鍵となる重要な発見は、FERが卵巣細胞の表面にある受容体を『下から』活性化できるということである

受容体は細胞の膜を貫通して細胞質に突き出しているが、FERはその細胞質側の一部と相互作用をする
その受容体は卵巣癌ではよく知られた標的のMET受容体であり、METは典型的には成長因子のHGFが細胞の表面で結合することによって活性化される
METは卵巣腫瘍の最大60%で過剰に発現し、その活性化は癌の開始ならびに予後の悪い進行癌の両方と関連する

※METは受容体型チロシンキナーゼ/receptor tyrosine kinase(RTK)

驚くことではないが、METは数多くの薬剤開発の標的であり、それらの共通した目的はMETの活性化の阻害である
しかし、これまでのMET阻害剤の候補は単独で投与しても弱い抗腫瘍効果しか見られなかった

「どうやら卵巣癌細胞は別の方法を見つけて、癌を促進するMETのシグナル伝達の『下流』を活性化しているようだ」
Fanは言う

FanとTonksのFERに関する研究の重要性/意義significanceは、HGF成長因子がMET受容体の表面に連結dockingすることなくFERがどのようにしてMETを『下から』活性化するのかを明らかにしたことにある

彼らはこのFERが細胞内でMETに結合して一連の細胞シグナル伝達イベントを開始するという経路を『非リガンド依存的/non-ligand-dependent』と呼び、一連の複雑な生化学的な実験および動物実験で追跡した
それらの経路はすべて以前の研究において
RAC1/PAK1やSHP2-ERKを含めた癌の開始cancer initiationと直接関連付けられてきたconnectedものだった


FERは単にMET受容体にリン酸基を付け加えるだけでこれらの発癌性のカスケードoncogenic cascadesを開始することから、FERそれ自体が潜在的に魅力的な薬剤の標的になる
FanたちはFERを抑制することが癌細胞の運動性motilityを低下させ、転移を明確sharplyに減少させることを卵巣癌の動物モデルで実証し、薬剤の標的たりうることを証明した

「我々はFERが卵巣癌細胞の運動性と浸潤性にとって必須であることをin vitroとin vivoの両方で示した」
Tonksは言う

「METの頻繁な増幅が現在開発中の治療への抵抗性の原因であり予後の悪さにつながることを考慮すれば、我々の研究結果は卵巣癌だけでなく他の癌でも、MET活性化におけるFERの役割を含むシグナル伝達 の中心となる重要なハブを新たに示すものだ
これは治療的介入の新しい戦略をもたらす可能性があり、それはおそらくMET阻害剤と共にFERを抑制する薬剤を投与するようなものになるだろう」


http://www.cshl.edu/news-and-features/discovery-of-new-ovarian-cancer-signaling-hub-points-to-target-for-limiting-metastasis.html
HGF-independent Regulation of MET and GAB1 by Non-Receptor Tyrosine Kinase FER Potentiates Metastasis in Ovarian Cancer.
非受容体型チロシンキナーゼFERによるMETとGAB1の調節はHGFには依存せずに卵巣癌の転移を助長する




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