機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

スキンクリームの成分がパーキンソン病に有効

2016-07-03 06:06:38 | 
A new wrinkle in Parkinson's disease research: Skin cream ingredient may stop effects of Parkinson's on brain cells

August 15, 2013

https://www.sciencedaily.com/releases/2013/08/130815161447.htm

※wrinkle: 巧妙な工夫、妙案
※wrinkle: しわ


薬局で買えるスキンクリームの有効成分active ingredientは、シワを防ぐだけではないかもしれない

ハワードヒューズ医学研究所/Howard Hughes Medical Institute (HHMI) の科学者たちは、カイネチンkinetinというスキンクリームの成分がパーキンソン病の脳細胞への影響を遅くするか止めることを発見した
彼らはこのつながりを生化学と細胞の研究を通じて明らかにしたが、現在はパーキンソン病のモデル動物でこの薬をテストしているところである
この研究結果はCell誌の2013年8月15日号で発表された


「カイネチンは追求すべき素晴らしい分子だ
なぜなら、それは既に薬局でシワ予防クリームとして買えるからである」
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHHMI investigator、Kevan Shokatは言う

「そのため薬は既に広まっていて、安全である」


パーキンソン病は脳のニューロンが死んでいく変性疾患degenerative diseaseである
初期は体の動きに影響して振戦tremo、歩行の困難、不明瞭発語slurred speechを引き起こし、後期には認知症や広範囲な健康上の問題を生じる

2004年、若年性パーキンソン病を高い頻度で発症するイタリアの家族を研究していた研究者は、PINK1というタンパク質の突然変異が遺伝性パーキンソン病と関連することを明らかにした
それ以降の研究によりPINK1は損傷したミトコンドリアの膜に固定されて留まりwedged、そこでパーキンというもう一つのタンパク質をリクルートすることが示されている
ミトコンドリアはエネルギーを作る細胞器官organelleであり、ニューロンは大量のエネルギーを必要とするので、ミトコンドリアが損傷するとニューロンの細胞死につながると考えられている

しかしながら、ダメージを受けたミトコンドリアにパーキンが存在し、ミトコンドリア表面に散らばっているstuddingと、細胞はダメージを生き残ることができる
PINK1の突然変異を遺伝で受け継いだ人はパーキンがミトコンドリアにリクルートされず、その結果として通常よりもニューロンの細胞死の頻度が高くなる


ShokatたちはPINK1の酵素のスイッチを入れるか活性化crank upするための方法を開発し、それにより遺伝性のパーキンソン病で起きているような過剰な細胞死を防ごうと考えた
しかし典型的には、変異体の活性をオンにするのは過剰な活性を阻害することよりも難しい

「我々がこのプロジェクトを始めた時、この酵素を直接オンにできるような方法は考えられうる限り本当に何も存在しないように思われた」
Shokatは言う

「疾患を引き起こすことが知られているどんな酵素に関しても、我々が知っている方法は阻害剤を作ることであり、活性を上げるための現実的な方法はまったく存在しなかった」


PINK1の活性を真似てパーキンをリクルートするためには、より直接的ではない、間接的な方法を発見しなければならないと彼のチームは予想した

PINK1がどのようにして働くのかをより完全に理解したいと考えた彼らは、PINK1がどのようにATPと結合するのかを詳しく調ベ始めた
ATPはエネルギーを蓄える分子で、PINK1をオンにするために必要である

彼らはテストの中で、ATPを加える代わりにその類似物/アナログanaloguesを加えた
アナログとは化学基chemical groupが変化したもので、元の分子とは形状がわずかに異なる

典型的には、このようなアナログを受け取ることができるようにするためには、タンパク質を新たに設計しなければならない
なぜならATPの結合箇所にぴったり一致しないからである

しかしShokatが驚いたことに、そのようなアナログの一つであるカイネチン三リン酸/kinetin triphosphate(KTP)は正常なPINK1を活性化しただけでなく、ATPには結合しないはずのPINK1変異体の活性もオンにしたのである

「この薬剤は、我々が決して考えもしないことを化学的に可能にする何かをしている」
Shokatは言う

「しかしこれは、鍵穴に合う正しい鍵を見つければドアを開くことができるということの証明である/it goes to show that」


KTPのPINK1への結合が通常のATPの結合と同じ結果になるのかどうかをテストするため、ShokatのグループはPINK1の活性を直接計測し、さらにその活性の結果として下流に生じる現象、例えばミトコンドリアの表面にリクルートされるパーキンの量や、細胞死のレベルなども調べた

彼らがKTPの前駆体であるカイネチンkinetinをPINK1変異体の細胞と生理的に正常な細胞の両方に加えたところ、PINK1の活性は増幅され、損傷したミトコンドリア上のパーキンレベルは増大し、ニューロンの細胞死のレベルは低下することが判明した

※アデニンとカイネチンの比較



「これは何なのかというと、この分子的な標的(PINK1)は、パーキンソン病のヒトでの遺伝学的研究にとって重要であることが示されてきたという実例である」
Shokatは言う

※What have we here?: 「これは何?」

「そして今や我々は、この標的に特異的に作用して疾患の細胞内の原因を一変reverseさせる薬を手に入れた」


さらに、PINK1に変異を持つ細胞と変異を持たない細胞の両方で、同様の結果が得られた
これはつまり、KTPの前駆体であるカイネチンは、PINK1の変異を持つことが知られるパーキンソン病の患者の治療に使われるだけでなく、家族歴のない患者でもニューロンの細胞死を減らすことにより疾患の進行を遅くするために使われうるということを示唆している


Shokatは現在、様々なタイプのパーキンソン病のモデルマウスに対するカイネチンの効果について実験を実施している
しかしながら、パーキンソン病の研究で動物モデルの実用性usefulnessは議論の的であり、したがって細胞実験のデータからのポジティブな結果は、動物での結果と同様にヒトのパーキンソン病も治療できる潜在性を持つという良い指標である

最初のヒトでの研究は、PINK1の突然変異を持つ患者の小さい集団に対して焦点を合わせることになりそうである
それがもし成功すれば、この薬剤はのちにパーキンソン病患者の広い範囲でテストされることになるだろう


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2013.07.030
A Neo-Substrate that Amplifies Catalytic Activity of Parkinson’s-Disease-Related Kinase PINK1.
パーキンソン病と関連するキナーゼPINK1の触媒活性を増幅する新たな基質


Highlights
・PINK1の活性は、その新たな基質であるカイネチン三リン酸(KTP)によって増幅される
・KTPは、PINK1野生型の活性と、パーキンソン病と関連するPINK1変異体(G309D)の活性を、両方とも増幅する
・カイネチンはPINK1依存的なやり方でミトコンドリアの運動性motilityを低下させる
・カイネチンはPINK1依存的なやり方でヒトニューロンのアポトーシスを阻害する


Summary
ミトコンドリアは長らくパーキンソン病の病理発生pathogenesisに関与するとされてきた
ミトコンドリアキナーゼPINK1のキナーゼ活性を低下させる突然変異は、ミトコンドリアの欠陥と関連し、そして常染色体-劣性遺伝の早発性パーキンソン病という結果になる

今回我々は代わりの戦略として、ATPアナログであるカイネチン三リン酸/kinetin triphosphate(KTP)を含む新たな基質を使ったアプローチが
パーキンソン病と関連するPINK1変異体(G309D)とPINK1野生型の両方の活性を増加させるために利用可能であることを示す

さらに、KTPの前駆体のカイネチンを細胞に投与すると、生物学的に有意なPINK1活性の増加に至ることを我々は示す
このことは、脱分極したミトコンドリアへのパーキンのリクルートのレベル上昇、軸索axonにおけるミトコンドリア運動性の低下、アポトーシスのレベル低下から一目瞭然manifestである

キナーゼの新たな基質の発見は、これまでheretofore認識されてこなかったunappreciated、キナーゼ活性を調節するための様式modalityを提供する


Results
Kinetin Increases Phosphorylation of PINK1 Substrate Antiapoptotic Protein Bcl-xL
カイネチンは、PINK1キナーゼの基質である『抗アポトーシスタンパク質』Bcl-xLのリン酸化を増大させる

Bcl-xLはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーであり、ミトコンドリアによって誘発されるアポトーシスにおいて鍵となる調節的な役割を演じる分子である (Adams and Cory, 1998 and Gross et al., 1999)

PINK1はミトコンドリア脱分極に応答してBcl-xLのセリン残基62番目をリン酸化し、Bcl-xLが『アポトーシスを促進する形態』へと切断されないように阻害する (Arena et al., 2013)



関連サイト
http://dx.doi.org/10.1038/cdd.2013.19
PINK1 protects against cell death induced by mitochondrial depolarization, by phosphorylating Bcl-xL and impairing its pro-apoptotic cleavage
PINK1はミトコンドリアの脱分極によって誘発される細胞死から保護するが、それはBcl-xLをリン酸化してBcl-xLがアポトーシス促進的な形態に分解されるのを損なうことによる

PINK1はBcl-xLと相互作用してリン酸化する
Bcl-xLは抗アポトーシスタンパク質であり、Beclin-1と結合してオートファジーも阻害することが知られている

PINK1とBcl-xLの相互作用は、Bcl-xLからのBeclin-1の解放releaseには干渉せず、マイトファジー経路にも干渉しない
むしろその相互作用は、Bcl-xLが切断されてアポトーシス促進的になることを阻害し、細胞死から保護する

我々のデータはPINK1とBcl-xL、そしてアポトーシスとの間の機能的な関連を提供し、PINK1が細胞の生存を調節する新たなメカニズムを提案する
この経路はパーキンソン病の病理発生に関連する可能性があり、癌を含む他の疾患にも関わるかもしれない



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/bad53ec660fa7909a45bd26000e982cd
PINK1→マイトフュージン2のリン酸化→パーキンのリクルート→損傷したミトコンドリアの破壊