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Aβの蓄積と病理学的なタウ変換が両方とも必要なマウスモデル

2016-07-18 06:06:15 | 
Genetically engineered mice suggest new model for how Alzheimer's causes dementia

Experiments shed light on how 'plaques,' 'tangles' interact and take hold

July 4, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160704082655.htm

ジョンズ・ホプキンズの研究者は新たに開発したヒトのアルツハイマー病の発症を真似る全く新しいマウスモデルを使い、アルツハイマー病の特徴である認知症を引き起こすためには脳内で『ワンツー・パンチ』の重大な生物学的傷害が生じなければならないことを突き止めたと言う
彼らの実験の詳細はオンラインの学術誌Nature Communications誌上で発表される


何十年もの間、認知症の最も一般的な原因であるアルツハイマー病はいわゆる『神経原線維のもつれ/neurofibrillary tangles』の蓄積accumulationと関連することが知られてきた
このもつれは脳の神経細胞内でのタウというタンパク質の異常な凝集clumpから構成され、その神経細胞の外側の組織には『神経突起斑/neuritic plaques』というベータアミロイドタンパク質が死んだ神経細胞と共に蓄積depositする

※神経突起斑 (neuritic plaque): いわゆる典型的な老人斑 (typical plaque) の別名。アミロイド線維の芯を中心として腫大変性神経突起が周囲を環状に取り巻いたもの。neuriticはneuritis「神経炎」ではなくneurite「神経突起」の形容詞形


ジョンズホプキンス大学医学部の病理学教授であるPhilip C. Wong, Ph.D.によると、アルツハイマー病では神経細胞の内部でタウが1か所に固まりbunch up、細胞の外側にはベータアミロイドが凝集してclump up、それらが神経細胞による記憶のコントロールをめちゃめちゃにするmuck upのだという

いまだに明らかになっていないのは、一方が細胞内でもう一方が細胞外というそれら2つの凝集プロセスの『関係』であり『タイミング』であると、筆頭著者であり責任著者corresponding authorでもあるTong Li, Ph.D.は言う


早発性アルツハイマー病についての以前の研究では、ベータアミロイドの脳内での異常な蓄積accumulationはどうにかしてsomehowタウの凝集aggregationを引き起こし、認知症と脳細胞変性に直接つながることが示唆されている

しかしLiとWongたちによる今回の研究で、ベータアミロイドの蓄積は、それ自体がin itself ひとりでにof itself 蓄積したものは、タウの正常な状態から異常な状態への変換conversionを引き起こすには不十分であることが示唆された

代わりにそれは一連の化学的なシグナル伝達イベントを開始する可能性があり、そのイベントがタウの『変換conversion』につながって、その後に続けて症状の発症に至るのだという

「アミロイドプラークの蓄積だけで脳にダメージを与えることはできるが、しかしそれは実際には神経細胞の喪失を促すには十分ではなく、行動や認知の変化を引き起こすこともできないということを、我々は初めて理解したのだと考えている」
Wongは言う

「必要であると思われるのは、『二番目の原因/second insult』だ
つまりタウの変換/conversion of tauもまた必要である」


ベータアミロイドプラークの発生と脳神経細胞内でタウのもつれが生じる間の時期のずれlagは、ヒトでは10年から15年以上であるとLiは言う
しかしマウスの寿命はわずか2年から3年であり、ベータアミロイドプラークの出現をうまく真似ることに成功している現在のマウスモデルでは、タウの変化を観察するのに十分な時間がない

この問題に対処すべく、ジョンズ・ホプキンスの研究者たちは遺伝学的に操作したマウスモデルを開発し、タウタンパク質の断片を使って正常なタウタンパク質の凝集を促進させた
彼らは次に、ベータアミロイドを蓄積するように操作したマウスとタウ凝集促進マウスとを異種交配させたcross-breed
その結果、ヒトで起きるのと似たように認知症を発症するマウスモデルが生まれたとLiは言う

マウスの脳を解剖すると、次のようなことが明らかになった
・ベータアミロイドプラークが存在するだけでは、タウの生化学的な変換を引き起こすには十分ではない
・タウのリピートドメイン(正常なタウを異常な状態に変換する原因となるタウタンパク質の一部)だけでは、タウの変換には不十分である
・タウが変換されるためにはベータアミロイドプラークが脳内に存在しなければならず、そしてタウの断片は プラーク依存的なタウの病的変換の『種』となりうる


この新たな研究が暗示することの一つは、なぜ『タウの変換が起きた後に』アルツハイマー病を攻撃するように設計されたいくつかの薬剤が上手くいかなかったのかについてのおそらく説明になるだろうとWongは言う

「タイミングが外れているoffのかもしれない、」
と彼は言う

「もしタウの変換が起きる前の期間に介入できるとすれば、欠陥を修正し、脳細胞の喪失とそれに続いて起きるensuing疾患の結果を改善ameliorateする見込みは十分あるだろう」

また、この研究からは ベータアミロイドプラークの形成と病理学的なタウの変換をどちらも阻害するように設計された組み合わせ療法がアルツハイマー病にとって最適な結果をもたらす可能性が示唆されるという
彼らのマウスモデルは新たな治療法をテストするために使われる可能性がある

アルツハイマー病協会/Alzheimer's Associationの2016年の統計によると、アメリカでは推定540万人がアルツハイマー病である
治療法cureはなく、限られた時間だけ認知の安定を助けるか、疾患と関連する鬱病、不安、幻覚に役立つかもしれないといういくつかの薬物療法medicationsが存在するだけである


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12082
The neuritic plaque facilitates pathological conversion of tau in an Alzheimer’s disease mouse model.
アルツハイマー病マウスモデルにおいて神経突起斑はタウの病理学的な変換を促進する


Abstract
アルツハイマー病(AD)の中心的な疑問は、タウ病理の発症にとって神経突起斑neuritic plaqueの存在は必要かつ十分なのかということである
ADマウスモデルでは、ベータアミロイド(Aβ)の蓄積を囲んでいる変性神経突起dystrophic neuritesの内部で タウの過剰なリン酸化は観察されるが、しかし病理学的なタウの変換pathological conversion of tauは存在しない
同様に、ヒトのタウタンパク質のリピートドメインをマウスで発現させても、タウの病理学的な変換を促進するには不十分である

今回我々は、ヒトのタウタンパク質のリピートドメインを発現する Aβアミロイドーシスamyloidosisのマウスモデルを開発した
このマウスでは神経突起斑が野生型タウの病理学的な変換を促進することを我々は示す

我々はこのタウ断片が神経突起斑依存的な野生型タウの病理学的変換の種となり、
それ(病理学的変換)が 大脳皮質と海馬から 脳幹brain stemへと広がることを示す

これらの結果は、野生型タウの変換を促進するためには 神経突起斑に加えて二番目の決定要素が必要であることを確定するものである


Introduction
早発性の家族性ADはAPPやPresenilinと関連し、Aβの蓄積がタウの凝集を引き起こすという考えを支持するが、
晩発性のLOADはApoEやTrem2と関連し、Aβは認知低下を引き起こすには十分ではないという考えが強く支持される
実際、LOADではAβプラークと認知は相関せず、タウの凝集が認知低下と相関する

タウの病理の研究で使われる現在のマウスモデルは、主にFTDP-17と関連するタウ変異体を発現する導入遺伝子transgeneをベースとしている (refs 9, 10, 11, 35, 36, 37, 42)
しかし、FTDP-17と関連するタウモデルで起きる病理はAβプラークに依存せず細胞死を促進するのに十分であり、FTDP-17の良いモデルではあるかもしれないが、ADのモデルではない


http://www.nature.com/ncomms/2016/160704/ncomms12082/fig_tab/ncomms12082_F10.html
Figure 10: A multifactorial Model for LOAD.
晩発性アルツハイマー病(LOAD)の多因性モデル


タウの病理学的変換には神経突起斑は必要だが不十分であることを示した図
二番目の『ヒット』には様々なリスクアレルや要因が含まれ、それらはLOADにおける神経突起斑依存的な野生型タウの病理学的変換の促進に必要である


Reference
43 Distinct Tau Prion Strains Propagate in Cells and Mice and Define Different Tauopathies
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24857020

「プリオンprion」



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https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160420120601.htm
Aβとリン酸化タウは両方ともアルツハイマー病の早期から代謝の低下に関与する



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https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160302132529.htm
症状が出る前からPET画像化によりAβとタウの両方をステージ化して比較する



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https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160224133634.htm
アルツハイマー病とFTDは誤診されやすいが、FTDにはAβがまったくないので画像化して区別できる




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https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160216142835.htm
ノルエピネフリンを脳全体に分泌する青斑locus coeruleusには、タウのもつれによる病理が真っ先に現れ、ノルエピネフリン分泌が低下する
興奮したりチャレンジすると分泌されるノルエピネフリンはニューロンを保護する



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https://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150423125739.htm
これまでの研究ではAβが細胞外に出てからタウタンパク質に変化が生じるとされていたが、ヒトの皮膚からiPS細胞を作成してニューロンに分化させて、APPからAβを切り出すセクレターゼの速度を変化させると、それに伴ってタウタンパク質のレベルも変化した