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2014年10月25日

2014-10-26 22:44:28 | 

ダウン症候群の研究から現れる先天性心臓欠損の遺伝的性質の手掛かり
Clues to genetics of congenital heart defects emerge from Down syndrome study



ダウン症候群は21番染色体の全部、または一部が3つ目のコピーを持つ染色体の異常である。

ダウン症候群の人は知的障害に加えて先天性心臓欠損のリスクが高い。しかし全てのダウン症候群でそうなるわけではなく、およそ半分は構造的に正常である。遺伝学者たちはダウン症候群の人たちの先天性の心臓欠損の原因について調べてきた。

今回、エモリー医科大学、ジョンズホプキンス大学、オレゴン健康科学大学、ピッツバーグ大学の研究者たちは、ダウン症候群の先天性心臓欠損について最大の遺伝子研究による結果を学術誌Genetics in Medicineで報告する。

彼らの報告によれば、ダウン症候群を背景とする先天性心臓欠損の乳児は、まれにしか見られない大きい遺伝子欠失を生じている可能性がより高い。その欠失は、繊毛(cilia)に影響する遺伝子と関係する傾向があった。繊毛は胚の発達におけるシグナル伝達とパターン化に重要な細胞構造である。

今回の新しい発見が示唆するのは、ダウン症候群での先天性心臓欠損のリスクは、余分な21番染色体による大きなリスクに加えて、いくつか別の遺伝子ならびに環境的ファクターに由来する可能性があるということである。



研究には452名のダウン症候群の人々が含まれ、210名が完全房室中隔欠損(complete atrioventricular septal defect; AVSD)だった。AVSDは心房を心室から切り離すための心臓の中心領域が適切に形成されない障害で、ダウン症候群のおよそ20パーセントに見られる。残る242人の心臓は構造的に正常だった。

エモリーの研究チームは高密度マイクロアレイを使用してヒトゲノムの90万箇所以上を探索し、DNAの欠失または重複を含む構造的な変異を検出した。研究の結果、AVSDと繊毛の間のつながりが証明された。

繊毛関連疾患(Ciliopathies)は遺伝子疾患の一種であり、腎臓、眼、神経発生的な障害が含まれる。気道の細胞には肺から粘液とほこりを押し流す可動性の繊毛があり、そしてほとんど全ての細胞は一次(感覚)繊毛(primary (sensory) cilia)を持つ。

「ダウン症候群とAVSDの子供には繊毛に関連する遺伝子(ciliome genes)に障害があるかもしれないという発見は、彼らの終生の治療で大きな違いを示すかもしれない」、エモリー医科大学で人間遺伝学と小児科学の准教授でありシニア・オーサーのマイケル・ズウィック博士は言う。

「これはより多くのグループでの確認が必要とされる示唆的な結果である。」

学術誌参照:
1.ダウン症候群に関連する房室中隔欠損に対する、コピー数多型の寄与。

Genetics in Medicine、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141025152706.htm



<コメント>
ダウン症候群では一次繊毛に関連する遺伝子にも欠失が生じやすく、それが房室中隔欠損(AVSD)という遺伝子疾患につながるという記事です。

一次繊毛はレプチンシグナルにも関与することが最近明らかになりました。

http://www.nutritio.net/linkdediet/FMPro?-db=NEWS.fp5&-format=news_detail.htm&-lay=lay&KibanID=44791&-find

>FTO遺伝子の発現が増えたり減ったりするのに連動して、近傍の遺伝子RPGRIP1Lも影響を受ける。

>RPGRIP1Lは一次繊毛(primary cilia)の制御に関与する。

>FTO遺伝子のイントロン領域には、RPGRIP1Lの発現に影響を与える転写因子CUX1が結合する部位が存在する。

>RPGRIP1Lのひとつを欠損したマウスは摂食量が増え、有意に体重と体脂肪が増大し、さらにRPGRIP1L欠損マウスはレプチンの信号経路に欠陥があった。

>レプチン受容体は一次繊毛の周辺にある。


実際、ダウン症候群ではレプチン抵抗性が生じやすいという研究があるようです。

http://blog.livedoor.jp/pumpkin1205/archives/50210851.html

>ダウン症の子には体脂肪率で考えられるよりも多くのレプチンがあることを示している。

>レプチンをコードする遺伝子は7番染色体にあるため、21トリソミー単独ではこのレプチン増加を説明することはできない

2014年10月23日

2014-10-26 11:55:39 | 

ダウン症候群の人々は、なぜ必ずアルツハイマー病を発病するのか
Why people with Down syndrome invariably develop Alzheimer's disease



ダウン症候群は21番染色体の追加コピーを特徴とするヒトで最も一般的な染色体異常である。

ダウン症候群はアルツハイマー病のリスクの増加と関連する。ダウン症候群の人は40歳までに約100パーセントがアルツハイマー病と関連する脳の変化を生じ、35歳までに25パーセントが、65歳までに75パーセントがアルツハイマー病タイプの痴呆の徴候を示す。

サンフォード-バーナムの変性疾患プログラムの教授で論文のシニアオーサー、Huaxi Xu博士は言う。

「我々の新しい研究は、ソーティング・ネキシン27(SNX27)と呼ばれるタンパク質が、ベータ-アミロイドの生成を調節する方法を明らかにする。ベータ-アミロイドは、ダウン症候群とアルツハイマー病の人々の脳で見られる有害なアミロイド・プラークの主要な構成要素である。」



「SNX27は、γ-セクレターゼとの相互作用を通してベータ-アミロイド生成を低下させる。γ-セクレターゼはベータ-アミロイド前駆体タンパク質を切断してベータ-アミロイドを生み出す酵素である」、Xuの研究室のポストドクターであり、ファースト・オーサーのXin Wang博士は説明する。

「SNX27がγ-セクレターゼと相互作用すると酵素は無効になり、ベータ-アミロイドを生み出すことができない。SNX27のレベルの低下は、機能的なγ-セクレターゼのレベルの増加につながり、その結果としてベータ-アミロイドのレベルは増加する。」



Xuたちは以前、SNX27を欠損するマウスがいくつかの特性をダウン症候群と共有することを発見した。ダウン症候群の患者はSNX27のレベルが著しく低下する。

SNX27は脳の細胞表面である種の受容体を維持している。その受容体はニューロンが適切に発火するために必要とされる。SNX27のレベルが低下するとニューロン活性は損なわれ、学習と記憶に関する問題を引き起こす。

重要なことに、ダウン症候群マウスの脳にSNX27遺伝子の新しいコピーを加えることによって、マウスは記憶の欠損を修復する可能性があることを研究チームは発見した。



研究者はさらに、ダウン症候群のSNX27のレベルの低下は、余分な21番染色体にコードされるマイクロRNA、miRNA-155のコピー数の増加に影響されることを発見した。

今回の研究で、研究者は全てのプロセスを一つにつなぎ合わせることができる。21番染色体の追加コピーはmiRNA-155のレベルを増加させ、それは次にSNX27のレベルを低下させる。SNX27のレベルの低下は、活動的なγ-セクレターゼの増加につながり、疾患で観察されるベータ-アミロイドの産生とプラークの増加を引き起こす。



Xuは言う。

「ダウン症候群におけるアルツハイマー病の特性に寄与する多くのファクターがあるかもしれないが、我々の研究はγ-セクレターゼを阻害してアミロイド・プラークを阻止するアプローチを裏付けるものである。」

「我々の次のステップは、miRNA-155のレベルを低下させる分子をスクリーニングにより特定し、SNX27のレベルを回復してγ-セクレターゼの間に相互作用を増強することができる分子を発見することである。」

記事源:
上記の記事は、サンフォード・バーナム医学研究所によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.ソーティング・ネキシン27は、γ-セクレターゼ活性を調整することを通して、Aβ産生を調節する。

Cell Reports、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141023130807.htm

<コメント>
ダウン症候群でアルツハイマーが非常に多く見られることについて、その原因の一つが明らかになったという記事です。