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2014年10月3日

2014-10-05 22:04:18 | 癌の治療法

カタツムリの研究は『ケモブレイン』の説明を助ける
Help explain 'chemo brain' through snail research



癌の治療薬を服用する患者の半分が精神的な鋭さの減少を経験すると推定されている。多くの理論はあるものの、何がこのような「ケモブレイン(chemo brain; 化学療法脳)」を引き起こすのかは科学者の目を逃れてきた。

ヒューストン・テキサス大学健康科学センター(UT Health)の科学者は、抗癌剤の研究に加えて、ヒトと同じ記憶メカニズムを多く共有する海カタツムリに関する研究において、記憶が薬によって阻害されるメカニズムを特定した。

彼らはそのメカニズムを別の薬剤を投与することによって阻害し、障害を取り除くことが可能だった。



「我々の研究は、抗癌剤の治療後に認知障害になった人々の治療に影響する」、UT Healthメディカルスクールの神経生物学・解剖学部の主任教授であるジョンH.バーン博士は言う。

「現在、満足な治療は存在しない。」

この状態の特徴は、物忘れ、集中の困難、マルチタスクの障害である。



バーンの研究室はジャンボアメフラシという大きいカタツムリを使って神経細胞(ニューロン)間の生化学的なシグナル伝達の理解を進めることで知られている。このカタツムリは、ヒトの情報を中継するニューロンとよく似た大きなニューロンを持つ。

バーンの研究チームが正常なカタツムリから得られたニューロンと、ドキソルビシン(Doxorubicin)という癌の治療薬を投与したニューロンを培養して比較した際、彼らは適切に情報を伝えなくなったニューロンの経路を特定した。

彼らは実験的な試薬を用いて経路を再開することが可能だったが、残念なことにこの薬はヒトには使えないだろうとバーンは言う。

「我々はこの記憶メカニズムを救うことのできる他の薬を特定したいと考えている」、彼は付け加えた。

学術誌参照:
1.ドキソルビシンは、セロトニンにより誘導される長期シナプス促進(Serotonin-Induced Long-Term Synaptic Facilitation)を、p38MAPKのリン酸化により減弱する。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141003092052.htm

<コメント>
抗癌剤のドキソルビシンはDNAやRNAの合成を阻害するだけでなく、MAPK経路のERKとp38に特異的な脱リン酸化酵素(dephosphorylation)の発現を阻害するため、学習と記憶に障害が起きて「ケモブレイン」を引き起こすという記事です。

Abstractによれば、ERKとp38はどちらも長期記憶(long-term memory)の形成に重要であり、ドキソルビシンによりERKとp38がリン酸化されて活性化されると、
感覚細胞(sensory neurons)では経路の下流にあるCREB(cAMP response element-binding protein)がリン酸化され、
セロトニンによる長期シナプス促進(long-term synaptic facilitation)ならびに神経ペプチドPhe-Met-Arg-Phe-NH2による長期シナプス抑圧(long-term synaptic depression)が阻害されます。

p38の阻害剤により長期シナプス促進は回復したとあります。

岩波生物学辞典によると、神経ペプチドFMRFアミドは軟体動物や昆虫の神経系に含まれる神経伝達物質だということです。軟体動物ではFMRF/FLRFやSPFLRF、ショウジョウバエではDPKQDFMRF-NH2という配列になります。