皮膚が食物アレルギーのリスクに寄与する可能性
Skin exposure may contribute to early risk for food allergies
マウントサイナイによるマウスでの研究によれば、多くの子供はピーナッツを最初に食べる前にピーナッツアレルギーになる可能性があるという。
その原因の一つは、ピーナッツが皮膚に触れることかもしれない。
アレルギーの発症プロセスの初期において、食物アレルゲンへの皮膚の曝露は「感作(sensitization)」に寄与する。この場合の感作とは、皮膚がたびたびの曝露(exposure)によって抗原(例えばピーナッツ)に反応するようになることを意味する。
アレルギーが生涯にわたって続く傾向があることを考慮すると、ピーナッツアレルギーがどのようにして始まるかという問題は重要である。その反応のいくつかはとても激しく、有病率は集団の1~2パーセントと高い。
過去の研究では、母乳やハウスダストでピーナッツタンパク質に接触する時に初めて子供はアレルギーになる可能性があることが示された。しかし今回の研究により、その「罪人」のリストに「皮膚への曝露」が加わる。
マウントサイナイのアイカン医学部で小児科学の准教授であるセシリアBerin博士は次のように言う。
「マウスの皮膚で活性化される免疫経路を阻害すると、ピーナッツアレルギーの発症は阻止された。我々の次のステップはヒトでこれを確認することだろう。」
学術誌参照:
1.皮膚への曝露は、ピーナッツ・アレルゲンに対するTh2依存的な感作を促進する。
JCI、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141008203750.htm
<コメント>
少し前に「茶のしずく石鹸事件」があり、当時のアレルギー・免疫誌で経皮感作について特集していたのを思い出しました。
それによれば、「2008年にイギリスのLack Gは食物アレルギーに関する新しい概念を提唱した。経口摂取は免疫寛容を促進し、経皮的接触はアレルゲンの感作を惹起促進するという概念である。この二重抗原曝露仮説(Dual allergen exposure hypothesis)は、これまで消化管での感作が主体であると考えられてきた食物アレルギーの概念を一新した」とあります。