ねこらい堂  「おやじマニアの日常」

NEKOのブログです。最近は更新が滞りがちですが気長にお付き合いくださいませ

【実話】「真・宇宙戦争」 後編

2010-03-06 20:10:32 | 日々雑感
時に2006年の春。

NEKOの勤務する会社は、
上を下への大騒ぎであった。

期末の忙しさに加え、本国から
内部監査人が来るのである。
(NEKOの会社は、外資系であった)

本国からの監査人を、日本人は
「監察軍」と呼び、恐れ、おののかれていた。
(決して「マクロス」好きがいたわけではない)

兎に角、細かく、イヤミに、上から目線で
じくじくとアラさがしをするのである。

かくいうNEKOも、監察軍の応対役として
選任されてしまった。

とにかく監察軍という種族はイヤミな人間が多く
「サー」の敬称を持つ貴族様だと
日本人は下等に見られ、直答を許さなかったり
逆に通訳を介するとイライラして
神経質にキレたりする人もいた。

男芸者に徹するしかない。
「よいしょーっ!」

気が重い・・・。

月曜日。

監査人がヨーロッパから来る。
かくいうNEKOは花粉症も重なって、頭が重い。

監査人が来た。


欧州某国から来た男性なのだが、
顔色が悪い。

水っ洟をだらだら流し
目が真っ赤で、涙をぼろぼろ流している。
しきりにくしゃみを連発している。

「大丈夫ですか?フルー(風邪)ですか?」と尋ねる。

すると、
「ナリタで飛行機から降りた時からおかしい。
 フルーじゃなくて、なにかアレジーのような気がする」との
お答え。

「アレジーって何?」と同席していた通訳さんに尋ねる。
「アレルギーです」

しょうがないので、導入のセッションを始める。
一通りスケジュールと、段取りを説明したところ
監査人を見ると、

しきりにくしゃみを連発し、
あまつさえ震えている。

さては、と思い聞いてみる。

「サー。サーの国にはcedar(杉)はありましょうか?」

「そんなものはない。それが何の関係がある?」

「サー。今、日本の大気にはcedarのpollen(花粉)が
 山程含まれており、アレジーの方はそれに過敏に反応する
 ことがあります。」

すると監査人は急に怒り出し

「日本の空気は毒だ!さのばびっちだ!
 だから東洋の後進国は嫌いなのだ!
 日本などブーシーだ!」

と叫んで席を立ち
あろうことか、そのまま帰国してしまった!

事実上の滞在期間、半日。

日本の、春の花粉まみれの大気が
杉など全く生えていない国から来た敵を
撃退したのであった・・・・。


「ところで通訳さん、ブーシーってなに?」
「紳士の言う言葉ではないです。Bull sit。
 訳はわたしの口からは言えません」

「ああ、牛の糞ってこと・・・」


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