本記事は、「ノラたちとの共存を目指して・場外編その3」の位置づけとなります
前回の「続・死刑に処すべし」(場外編その2)で触れた空気銃による猫殺傷男、平田雄一郎容疑者(千葉市若葉区)に一昨日の8日、判決が下されました。判決は求刑通り懲役1年6ヶ月だったが、3年の執行猶予がつきました。(千葉地裁、岡田豪裁判長)
起訴されたのは確かに猫6匹を殺傷した罪によるが、平田容疑者本人が「数年で猫80~100匹を撃った」と告白している他、熱湯や薬品をかけて虐待した供述もしている。裁判長が「常習性」と認めたのも、これらの供述によるものだろう。にも拘わらず、またしても"執行猶予"だ。
ノラの守り神、みうとテンちゃんが犠牲になった猫たちを弔います
繰り返すが現行動物愛護法においては、家猫や野良猫を殺傷すると懲役5年以内、もしくは罰金500万円以内が科せられる。しかし前回(場外編2)書いたように、これまでの判決では懲役刑はすべて執行猶予付、罰金刑は殆どが10万円以内。これでは無罪と何も変わらない。岡田裁判長は「反省している」と言ったらしいが、どうして断定できるのか。犯罪学的に見ても、個人の欲望や攻撃性を弱い立場の者(例えば猫)に向ける犯罪者は、まず反省しないというのが定説だ。
日本の警察がなかなか動かない理由がここにある。証拠を集めて苦労して逮捕しても7割近くが不起訴となり、ようやく起訴されても判決がこれだ。猫100匹殺傷してもこんな判決なら、最高刑というのは一体どんな罪に対して科されるのであろうか。動物愛護法を有名無実化しているのは他ならぬ司法なのです。
海外ではどうか。今年の夏、動物愛護先進国のイギリスでネコ16匹を殺傷したスティーブ・ブケイという被告が実刑5年3ヶ月を言い渡された。しかしよく読むと、彼の罪状は動物虐待ではなく器物損壊だった。その方が刑が重いからだとか。それは日本でも同じだという。悩みは各国同じなのかもしれないが、でもいろいろ工夫してこれだけの量刑を言い渡したイギリスは、やはり動物愛護先進国なのだと思います。
店に来るノラたちを天国から見守るテンちゃん(2019.6.16没)
もし司法がちゃんと仕事をしていてくれたなら、それによって警察がやる気を出していたなら、あの2年前の近くの公園(稲毛海浜公園)で起こった同様の猫殺傷事件も、その後に起こった数々の同様事件も、そして今回の事件も、防ぐことができたのではないかと思うと残念でなりません。(供述からして、それらも平田雄一郎の犯罪である可能性は十分にあると思われるので。)
「征服したような高揚感がたまらなかった。」 ただそれだけの理由で命を奪われ、腰を砕かれて半身不随になった罪もない猫たち。猫はみな同じ。一緒に暮らせばきっと心を許せる相棒のようになった猫たちです。こんな悲劇を2度と起こさないために私たちにできることは? それはコメント欄などで声を上げてメディアを動かすことだ。今回の判決もネット含め多くのメディアが報じているが、判決に疑問を投げかけたメディアはひとつもない。
一方ワイドニュースのコメンテーターやネットニュースのコメント欄からは、多くの疑問が聞こえてくる。にも拘わらずメディアが動かないのは、司法への(正式な)批判がタブー視されいるからだろう。司法の判断は言うまでもなく法律に基づくものではあるが、民意と無縁であるわけではない。民意を司法に伝えることも、メディアの大切な役割だと思うのです。
家にやって来るノラたちの守り神となったみう(2019.8.9没)
「ノラたちとの共存を目指して」:予告編(期日未定)
その1 資料編「現状と動向調査」(追記:餌やり、地域猫問題) 2017.2.27
その2 現場編「ノラを守るのに理由は要らない」(報道されたボラさんたち) 2017.5.31
その3 エサやり問題・続編「裁判事例の検証・他」(司法が肯定したもの、否定したもの) 2017.8.31
その4 一服編「ノラだからこそ・・かわいい!」(ニャー&みう+テンちゃんの日常) 2017.11.30
その5 闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」 2018.4.29
その6 原点回帰編「再確認・人間性とは?」(食肉、動物駆除と保護活動) 2018.8.31
その7 形而上学編「ノラの幸せとは」(シャッポやソトチビの行動に想う) 2020.1.31
その1 資料編「現状と動向調査」(追記:餌やり、地域猫問題) 2017.2.27
その2 現場編「ノラを守るのに理由は要らない」(報道されたボラさんたち) 2017.5.31
その3 エサやり問題・続編「裁判事例の検証・他」(司法が肯定したもの、否定したもの) 2017.8.31
その4 一服編「ノラだからこそ・・かわいい!」(ニャー&みう+テンちゃんの日常) 2017.11.30
その5 闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」 2018.4.29
その6 原点回帰編「再確認・人間性とは?」(食肉、動物駆除と保護活動) 2018.8.31
その7 形而上学編「ノラの幸せとは」(シャッポやソトチビの行動に想う) 2020.1.31
その8 地域猫問題・続編「殺処分ゼロに向けて」(目的達成のために必要なこと)
その9 理想追求編「殺処分ゼロの先にあるもの」(対等の精神と真の共存)
その10 最終章「共存の終焉」(ノラのいない社会)
その9 理想追求編「殺処分ゼロの先にあるもの」(対等の精神と真の共存)
その10 最終章「共存の終焉」(ノラのいない社会)
番外編
番外編1「罪と罰」(法の実行と刑罰の妥当性) 2019.3.29
番外編2「動物愛護の精神を問う」(餌やり議論の本質) 2019.10.31
番外編2「動物愛護の精神を問う」(餌やり議論の本質) 2019.10.31
番外編3「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(前編)」(特別加入) 2020.6.30
番外編4「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(後編)」(特別加入) 2020.8.31
番外編5「政治とメディア」(ノラたちの未来を決める人たち) 2021.1.31
番外編4「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(後編)」(特別加入) 2020.8.31
番外編5「政治とメディア」(ノラたちの未来を決める人たち) 2021.1.31
場外編
場外編1 猫の煩悩とはこれ如何に 2021.7.10
場外編2 続・死刑に処すべし? ~死に体・動物愛護法の復活を期して~ 2021.7.21
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