長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『君はonly one』

2018-03-21 | 映画レビュー(き)

いわゆる“難病モノ”だが、監督ステファニー・ラング、脚本ベス・ウォールにはユーモアと節度があり時折、ドライにも思えるアプローチで感傷を避けて、他人の不幸で涙する我々を「オマエには関係ない」と突き放しもする。そこに僕らはこの映画の誠実さを見出すのだ。

子供の頃から常に一緒のサムとアビー。ついに妊娠かも…と直感して病院に向かったが、身体の中にあったのは特大の腫瘍だった。
アビーは“終活”を始める。普通の難病モノはありとあらゆる障害をぶち込んで2人の愛と観客の涙腺を試す所だが、わずか96分の本作は“サムに新しい恋人を見つける”というプロットに的を絞る。不器用な学者のサムはおそらく恋人に服を選ばれる事も嫌うタイプだ。アビーの行動はエゴイスティックだが、果たして僕らはそれを批判できるだろうか。人と人との繋がりがいかに不完全かつアンバランスで、エゴを押し付け合うものか。そんな衝突を繰り返しながら、やがて人は愛に至るのではないか。

 清潔感あるググ・バサ=ロー、ミヒル・ホイスマン(『ゲーム・オブ・スローンズ』のダーリオ・ナハリス役!)の主演カップルがいい。脇を固めるクリストファー・ウォーケン、スティーヴ・クーガン、ジャッキー・ウィーバー、ケイト・マッキノンら豪華な面々からも本作の心根の良さが伝わってきた。


『君はonly one』17・米
監督 ステファニー・ラング
出演 ググ・バサ=ロー、ミヒル・ホイスマン、クリストファー・ウォーケン、スティーヴ・クーガン、ジャッキー・ウィーバー、ケイト・マッキノン

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