長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『かくしごと』

2024-06-24 | 映画レビュー(か)
 絵本作家の千紗子は長年、絶縁状態にあった父がアルツハイマーに冒されたことを知り帰郷する。父はすでに我が娘もわからなく、やり場のない怒りを抱えた千紗子の介護は芳しくない。そんなある日、彼女は事故で記憶を失くした少年を保護。自分の子と偽り、共同生活を始めるのだが…。

 北國浩二の小説『嘘』を『生きているだけで愛』の監督関根光才が自ら脚色した本作は、原作のトーンを捉え切れているとは言い難い。文学調の書き言葉を役者に喋らせるだけのメソッドが確立されておらず、特異なシチェーションにリアリティを持たせることに失敗している。関根の演出、脚本の不手際を父親役の奥田瑛二、医師役の酒向芳ら偉大なる名優たちの自然主義的演技が救っていることが唯一の慰めだろう。


『かくしごと』24・日
監督 関根光才
出演 杏、奥田瑛二、中須翔真、佐津川愛美、酒向芳、奥田瑛二

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