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アラン・ドロンが『太陽がいっぱい』に続いてルネ・クレマン監督と組んだ本作は、ジャンルレスな怪作でめっぽう面白い。ドロン扮するイカサマ師のマルクは、マフィアの女房に手を出したせいで命を狙われる。巻頭から拷問描写もハードで、「お、これは本格ハードボイルドか」と身を乗り出した。間一髪、難を逃れたマルクと彼を追うギャングのチェイスアクションも迫力十分。命からがら教会に駆け込むと、そこには美しい未亡人バーバラとその従妹メリンダが慈善活動に訪れていた。マルクは専属運転手として雇われ、彼女らの住む大邸宅に転がり込むのだが…。
おっと、ここまで。
さながらジョーダン・ピール映画のような後半の転調に黒い笑いが洩れ、やがてそれは引きつる事になるだろう。本作でも美女を手玉に取るドロンの色男ぶりには女性蔑視とも言える女嫌いが見え隠れし、皮肉的なクライマックスは何とも今日的だ。ゆえに本作におけるドロンの“破滅の美学”は他作品にはない黒光りを放つのである。エロチックでキュートなジェーン・フォンダもドロンを圧倒した。予備知識なしで、ぜひ。
『危険がいっぱい』64・仏
監督 ルネ・クレマン
出演 アラン・ドロン、ジェーン・フォンダ
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