戦火を逃れ、ウクライナから脱出した少女が同じ境遇の子どもたちと過ごすサマーキャンプの様子を追ったドキュメンタリー。2015年の侵攻時にミラナは母と片足を失って以来、義足をはめ、祖母が母親代わりだ。思春期を迎えた彼女は周囲の人はおろか、祖母にも心を開いておらず、ロッククライミングを前にして泣きじゃくるばかり。なんとか彼女に精神的な1歩を踏み出させようと思案するスタッフ達の多くはイラク帰還兵であり、サマーキャンプは子どもを戦火に巻き込んだ大人たちの贖罪でもある。たった30分の短編ドキュメンタリーだが、マックス・ロウ監督が膨大な時間をかけて取材対象と関係を構築したのは容易に想像ができる。大人たちの杞憂をよそに、並外れた勇気を発揮するミラナと、そして映画になることもない戦火に生きる多くの子どもたちに、私たちは只々頭を垂れるばかりなのである。
『キャンプ・カレッジ 勇気の先に輝くもの』23・米
監督 マックス・ロウ
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