リッスン・トゥ・ハー

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新種とか言っても所詮、人間の都合なんですよね

2008-09-12 | リッスン・トゥ・ハー
それは蛇というよりもむしろ、糸、と表現した方が適当そうだった。なにせ、細い。そしてまあめったに動かない、よくよく目を近づけて見てみると、一方に口や目がついており、わずかに動いているようである。この細さでは、何万匹食べようと、まず満腹感は得ることができない。よって、天敵などおらず、ただ、自分は地を這い、虫の死骸に侵入し、内から徐々に食い尽くしていけばいい。何せ細いのだから、餓えることがない。ほんの少し食べたなら、数ヶ月は基本的な生活は造作ない。すき間にうまく収まって生きている生き物だ。発見したのは、蛇の研究者、の孫、おばあちゃんの研究室にやってきて、動く糸を発見し、最初は気味悪がったものの、研究者の血が流れているのだろう、観察し、それが生き物であり、どうやら新種の蛇らしいと気付いて、採取した。その孫の名にちなんで蛇は、ムッシュムラムラ、と名づけられた。ムラムラはどこか恥ずかしそうに首を振っていた。