リッスン・トゥ・ハー

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綿毛が頁に舞い降りた

2006-07-09 | リッスン・トゥ・ハー
実際、感情移入もはなはだしいぐらい主人公に想いを寄せていた。この小説が進んでいる間だけ私は生きているのだ、永遠にこの小説が続けばいい、とさえ思った。座席に座って、発車を待ちながらそう思っていた。頁をめくる。ふと、吹くはずのない風が吹いてきて、それは小学生が窓をあけたせいだったけど、その風に乗って綿毛が頁に舞い降りた。主人公がとても落ち込んで、涙を流している悲しい場面に舞い降りた。綿毛は主人公の涙の跡が残る頬をなぞって、さらに吹いてきた風によって、すぐにどこかへ飛んでいった。それで、私は現実にいる恋人のことを思い出すことができた。