リッスン・トゥ・ハー

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家庭教師として甘いココアを飲む

2006-07-04 | リッスン・トゥ・ハー
意味なく僕が笑うと、奈美子さんもつられて笑う。僕等は様々な話をした。僕や、奈美子さんの日常生活のこと、グリコヨーグルトのこと、セイヨウタンポポのこと、芥川龍之介のこと、降り続く雪のこと、冷えたアスファルトのこと、恩返しにくる鶴のこと、貧乳のこと、時間について、パンティストッキングのこと、市民プールのこと、好きな人のこと、クラシック音楽のこと、宝物について、思い出したように由のさっぱり上がらない偏差値や到底見込みのない志望校のこと、美味しい晩ご飯について、りんご飴のこと、終わってははじまる戦争のこと、猫の大虐殺について、片目の鴎の行方、遠くの国のこと、宇宙のこと、くるりというバンドについて、僕の教え子であり、奈美子さんのひとり息子である由がすっかり眠ってしまった後で、僕等は永遠に続く夜を話をして過ごした。そんなとき、いつも僕に飲ませてくれるココアは、熱くて甘くてとても美味しかった。