リッスン・トゥ・ハー

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一緒に暮らすってことは、虹を探すのに似ている

2006-07-05 | リッスン・トゥ・ハー
いくら話し合ったってこれ以上近づかない、と思った。だから何も言わずに珈琲を煎れて、テレビをつけた。テレビではワールドカップ特集だのなんだのうるさいたらありゃしない。珈琲はちゃんと二人分作ったけれど、私のほうから、どうぞ、なんて死んでも言わないからこの野郎。珈琲の湯気が白い、それに気付いているくせに知らぬ存ぜぬで雑誌の頁をめくる。どうせ、何度も読んで見飽きてるんだろうこの野郎。珈琲をごくと飲んで、甘いチョコレートが食べたくなったのでごそごそと戸棚を探るそこにきっと、取り置きのチョコレートがあるはずだから。なのに何もないのはどういうことだ、と目をやったらにやりと笑いやがったなこの野郎。珈琲の匂いが冷めてく午後、雨は上がった。きっと、町に虹がかかっているにちがいない。私はほっとしたように、その虹を探すためにこの窓を開けるんですこの野郎が。