千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

詩のノートから

2018年09月27日 | 日記

1枚の絵が
小さな波紋を投げていた

暑い夏の夜
そしてつかのまの休息のとき
懸命に描いた赤い絵
原爆の炎の絵

背景に塗った朱色のキャンバスに
くっきりと浮かび上がった
3体の図
女は燃えさかる炎に身体をよじられていた
左手は肩からからざっくりともぎとられ
切なげな眼で私を見ていた
男は炎に屈しようとせず
こぶしを組んで最後まで抵抗しているようだった
老人は
骨に近い身体を横たえて
おだやかな表情のまま眼を閉じて死を待っていた

誰もが信じがたいだろう
自身でさえ我が眼を疑ったのだ
                     (azumi)

 原爆の赤い炎の絵
 キャンバスに突然浮き出た死にゆく者たちの絵
 1枚の絵が何かをもたらしていた

 人々の心のぬくもり
 あたたかなまなざしを感じた
 うまくもない絵を描いた
 私への応援 それは何なのだろう

 ある年の忘年会の印象から、と書いている。

 その絵は階段下の納戸の奥に置いてある。もう人前には出さないつもりだ。

 9・23 AM6:01





 観たい、と思っていた昨夜のスペシャル番組。

 『私を撮ってもいいわよ…』樹木希林さんから長期密着取材の許可をもらったのは、去年6月のことだった。人生の晩年をどのように生き、身じまいしようとしているのか?そもそも“樹木希林”とは何者なのか、向き合う日々が始まった。結果的に希林さんが出演する最後のドキュメンタリーとなった今回の番組。仕事、家族との関係、そして、日々の暮らし…。希林さんはどんな思いを託そうとしたのかを、見つめる。
 (NHKスペシャル 樹木希林を生きる 2018・9・26PM7:30~8:43)

 俳優の樹木希林さんが亡くなった。75年の生涯だった。全身をがんに冒されていることを公表した後も、悲観せず、かといって気負いもなく、淡々と軽やかに女優として生きた希林さん。『私を撮ってもいいわよ』そんな希林さんから長期密着取材の許可をもらったのは、去年6月のことだった。人生の晩年をどのように生き、身終い(みじまい)しようとしているのか?そもそも“樹木希林”とは何者なのか、向き合う日々が始まった。結果的に希林さんが出演する最後のドキュメンタリーとなった今回の番組。仕事、家族との関係、そして、日々の暮らし…。密着取材を通して、希林さんはどんな思いを託そうとしたのか。 
             (NHKスペシャル樹木希林を “ 生きる” ) 

 1人の老婦がよたよたと歩いている。
 化粧っ気もない。
 すれ違って、通り過ぎてから気づいて、
はっとする。
 そして振り返る。後背は己を語っていた。よたよたと歩く後ろ背が・・・
 若い頃から老け役で通した。

 樹木希林がこの世を去った。
 近年の活躍ぶりに眼を見張るものがあった。
 新しいものは買わず、自分の手でリメークする。私も賛同している。

 眼鏡なしで車を運転したように思う。ハンドルを握りながらNHKドキュメンタリースタッフと会話する。
 切れ切れに人生を語る・・・
 1人の老婦がよたよたと歩く、などと失礼なことを書いたが、演技者としての樹木希林を思い浮かべたのだ。
 最期の身終い・・・
 よぎった言葉を慌てて払拭する。
 感動の涙がこぼれ落ちた。

 今日を、明日を、秋を感じながら歩いて行きたい。
 いつまでも。ずっと、ずっと。

 9・24 AM5:32