四月二十四日(日)
乾燥した日々が続いていた。
友の店に出かけようと、魚沼の里で「桜餅」を買う。
私の前に、家族と見られる男女三人・・・レジを打ち終えた店員の「五万八千円になります」の声に驚いた。その数字は正確ではないのだが、内祝いかご祝儀に里屋の和菓子を購入したのだろう。すると、父親とその娘さん、お婿さんなのだろうか。自分勝手な想像だが、凄いなあ。
私は、「桜餅」六個を包んでもらった。桜の葉に包まれた桜色の桜餅、見るからに美味しそうだった。
菜の花はまだ咲き出したばかりだ。ユキヤナギ(バラ科)の白と、若葉の季節を迎えた魚沼の里は心地よい風がそよいでいる。
野の花の間に、小さな花を見つける。この花って、ハコベじゃなかったかしら。デジカメに撮って、家で調べることにした。
その前に、友の店に寄った。
けっこう混んでいる。「桜餅」をみんなで食べようと思ったのだが・・・
カウンターにいたT君とおしゃべりをした。
六月に展示会があるんだ。良かったわね。何出すの。人物やめて、桜にした。いいわね~。だんだん上手くなって、凄いな~。制作中ね。頑張って!観に行くから。ありがとう。私たちって、昭和が終わる前からのつきあいよね。何年になるかな。二十七、二十八、二十九年かな。アハハ、長いね。ホントに長い。とりとめもない話だったが、T君と話が出来ただけだった。厨房の二人は忙しそうだ。
Azumiさん、桜餅ありがとう。気使って持って来たの?そんなんじゃない。たま~のご挨拶で~す。後で食べてね。
T君も用があり、私も店を後にした。春!それも日曜日に店が混むっていいことだ。
そうそう、ハコベを調べなくちゃね。
島崎藤村の詩にあったよね。
小諸なる古城のほとり 雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず 若草も藉(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 日に溶けて淡雪流る
あたゝかき光はあれど 野に満つる香(かをり)も知らず
浅くのみ春は霞みて 麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ
(島崎藤村「小諸なる古城のほとり」『落梅集』より)
カキドオシの近くにまばらに咲いていたのをトリミングボードで切り取った。
ハコベ(ナデシコ科)
俗名(方言) ハコベラ ヒヨコグサ
開花期 三~五月
自生地 道ばた、庭、田畑などいたるところに生える。
形態 秋に芽を出し、春早く、枝の先の方に白い小さい花をつける二年草。茎は根本のところで枝分かれして、地面を這うが、茎の先は立ち上がって十~二十㎝の高さになる。葉は卵形をしており、緑色で、葉の両面とも毛がない。花は五㎜ほどで、枝の先のほうにいくつもつき、下のほうにあるつぼみから上のほうに順に花が咲く。花びらは十枚あるように見えるが、よく調べてみると一枚の花びらが二つに深くわれているためであり、実際は五枚である。
春の七草の一つ。やわらかく食用、小鳥のえさになり、ひよこ草などと呼んでいる。 (新潟県野草図鑑より)
四月二十九日
昨日から雨だ。
イワヤツデ(ナデシコ科)
雨は止んでいる。見応えのある花。葉っぱに雨粒がこびりついている。成長をつづける可愛い花だ。
ハコベ
我が家の北側の庭は野草が多い。いたずらに草取りなどしない方がいいのだ。絶滅してしまったものもある。
ハコベもあった。五㎜ほどの花は気づかないことがある。
小さな、小さな花は、花びらを固く閉じている。防衛のために。
ホウチャクソウ(ユリ科)
花の形が寺院の軒につるす風鈴に似た宝鐸(ほうちゃく)のようだからだと言われている。
雨が強くなった。寒い日だ。