千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

晩秋の里

2015年11月29日 | 日記



陽ざしはやわらかく
ときおり南風が吹いている

落ち葉が舞い
はらはらと大地に敷かれる

ベンチに腰を下ろして
晩秋の里を眺める

空はよどんで
太陽が見え隠れする

生暖かな風は
雨を予知する使者のようだ

女性たちの明るい声が近づく

後ろのベンチには
いつ来たのか
幼子と若い母親の声

晩秋の里の散歩道
「さとや」のバームクーヘンの匂いが風に運ばれてくる

                          (azumi)



 菜の花畑が蕎麦の花になり、今は大根畑。



 木々は雪囲いを巡らし、すでに冬の準備が整っている。






 金曜日も「さとや」に出かけた。
 袋に詰めたお菓子を持って、友がお手伝いをしている店に行くために・・・
 雪が降り出しそうな寒さだった。



 夫は、親戚のお通夜と葬儀に参列した。



 私とほぼ同時に、女性四人が店に入った。
 陶芸と写真をやっている方の展示会のようだった。
 蔵作りの店内は、ストーブ一つでは寒く、熱いコーヒーでやっと暖まった。

 二、三十分、話ができたと思ったら、続けて、常連さんらしき二人の男性が来店した。先客は、かつて話しをさせていただいたこともある画家だと分かった。二人目の方は、よく知っている地元の方。市会議員を何期も続けている。こういうところで話しをするのは初めてだった。話しをするというより、熱く語るのを聴いたのは初めてというべきか。
 若き日の登山歴から、八海山屏風岩に何度も挑み、信州の山々の話しへと・・・
 山の話しから「西村寿行」に至るまで、次々と話題が出てくる。ずっと聴いていたかったが、外の様子が気になった。時計の針も三時半だ。
 店の階段を上ると、北風が頬を吹きつけた。雨も激しくなってきた。


 国道17号線に入ると、アップダウンを繰り返す道路になる。
 ワイパーなしでは走れなかったが、途中から山並みがくっきりと見えた。山を隠した霧がなくなっていたのだ。巻機山、金城山、遠く県境の山々はまっ白な雪景色だった。 美しい情景だった。

 八海山は霧に隠れていた。八海山に連なる藤原山の頂に冠雪。
 六万騎山、坂戸山には雪は積もっていなかった。

 この日の情景がパノラマのように瞼に焼きついている。
 だが、連日の雨で山の雪は形を留めてはいないだろう。


 先ほども、友人の店に来ている東京のご夫婦と話しをしてきたばかりだ。
 前回、会えなかった。

 友人から携帯メールが届いた。
 「今日は会えますよ。都合がよかったら来てね」

 この寒さ・・・
 雪になるかもしれない・・・

 山は黙したまま、霧に覆われている。