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国務大臣の国会への出席義務

○日本国憲法第63条

内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁または説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

○参議院規則第38条

委員長は、委員会の開会の日時を定める。委員の3分の1以上から要求があつたときは、委員長は、委員会を開かなければならない。(以下略)


先日のエントリー「開会中における国務大臣の海外出張」では、開会中の国務大臣の海外出張が、なぜ議院運営委員会理事会の了解事項なのか、ということについて、憲法第63条の規定を引用して紹介しました。

つまり、憲法第63条の規定に基づけば、内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁のため出席を求められたときは、何時でも議院への出席が必要とされるため、海外出張に関しては、議院運営委員会理事会の事前了解を得ることとなっているのです。

今回は、本件に関する非常に珍しい事例を紹介したいと思います。

平成25年6月24日、平成25年6月25日の参議院予算委員会での出来事です。

現在の院の構成は、衆議院・参議院ともに与党が過半数の議席を有しています。ただし、参議院においては、平成25年7月の参議院通常選挙までは、いわゆる与野党ねじれの状況が続いていました。

当時の参議院予算委員長は、参議院規則第38条の委員会開会要求書が従前から出されている状況と、会期末が近づいている状況に鑑み、委員会を開会しました。しかしながら、与党は委員会に出席せず、さらには、憲法第63条の規定があるにも関わらず、国務大臣も出席しなかったという例です。

これは与野党ねじれの状況下での出来事ですから、今、このような事態が発生することはないでしょう。

ただ、当時の予算委員長は、手続きに瑕疵なく委員会を開会したのですから、与党はともかく、国務大臣は出席するのが、憲法第63条が要請する義務であったはずです。

こんなところにも、行政権と立法権の立場の違いが現れているような気がしてなりません。私は、議会人であることに誇りを持っています。
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