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俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

生態系

2013-08-02 09:16:00 | Weblog
 7月31日の夜9時のNHKのニュースで「外来種のミドリガメが生態系を破壊する」と報じていた。外来生物はそんなに有害なのだろうか。もしそうならアメリカザリガニは勿論のこと、稲もジャガイモも駆除すべきなのだろうか。ついでに外国人、更には弥生系日本人も有害外来種なのだろうか。
 私が大好きな著述家の竹内久美子氏はこんな話を書いている。
 アメリカの湖に浮かぶ島が氷結によって地続きになりヘラジカが住み付いた。そこには肉食動物がいなかったのでヘラジカの楽園になった。ところが数年後にも氷結が起こり、今度はオオカミがやって来た。ヘラジカは絶滅するだろうか。そうならない。ヘラジカの個体数が減ればそれを餌とするオオカミも生きられないからだ。結局、1,000頭のヘラジカと30頭のオオカミという形でバランスが保たれているとのことだ。
 これと同じようにミドリガメも生態系を破壊しない。新しい生態系を作るだけだ。ヘラジカとオオカミのようにバランスの取れた新しい生態系が生まれる。
 新しい生物が繁殖すれば生態系は変わる。これを生態系の変化と捕らえるか破壊と捕らえるかは意見が分かれるところだろう。
 大陸や台湾などから鳥や蝶などが飛来することはよくある。これが生態系の破壊と騒がれることは無いのだから、毒性を持つ動物ならともかく、無害な動植物ならたとえ人為的に持ち込まれた物であっても無闇に駆除する必要は無かろう。
 台湾猿と混血した日本猿が駆除されているが、純血種を守るためとは言えやり過ぎではないだろうか。アーリア人の純血性を守るためにユダヤ人の抹殺を図ったヒットラーのイメージと重なってしまう。日本人そのものが雑種民族なのだから、動植物の雑種化にももっと寛大であっても良かろう。雑種化とは多様化であり決して劣化ではなく、むしろ生物の能力を高めることのほうが多い。
 現状がベストでありそれを変えることは許さないという超保守的な姿勢には疑問を感じずにはいられない。