俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

歩道の自転車(4)

2013-08-02 09:42:22 | Weblog
 路上で69歳の老人を殴って死亡させたとして千葉県の19歳の少年が先月28日に逮捕された。
 事件の顛末はこういうことだ。老人が犬を連れて散歩をしていた。後ろから来た自転車の少年がベルを鳴らしたが老人は道を譲らなかった。追い抜いてから少年が老人を睨み付けたことから口論になり、老人は顔などを殴られて転倒して死亡した。
 この事件の最大の留意点は、少年が道路交通法を知らないことだと思う。歩道の優先権は歩行者にありその同伴者であるペットにも多分認められるだろう。優先権を持つ歩行者に道を譲るように強いることはできない。違法行為をした者が適法者を睨み付けるなど以ての外だ。これは泥棒が被害者に悪態を吐くような行為であり、老人が怒るのは至極当然のことだ。
 早い者に優先権があると思うのは間違いだ。路上だけではなくプールでも時々見掛けるが、早く泳ぐ人は遅い人を馬鹿にして邪魔者扱いをすることがあるが、前を泳ぐ人に優先権がある。後ろから追い付いた人が方向転換をするのが正しい対応だ。
 歩行者が2列・3列に並んで歩いていればベルを鳴らして警告することまでなら許されよう。しかし道を空ける義務は多分無かろう。歩行者が道を譲らなければ自転車は車道に逃れて通行せねばならない。
 犬を連れた老人の場合、犬と縦一列に並ぶことはかなり難しい。横に並んだままで歩くことはやむを得まい。追い抜きたいのなら自転車の側に回避義務が生じ、車道へと迂回して走らねばならない。
 違法行為をしながら自分が正しいと思っている者は迷惑極まりない。法律を学ぶことは国民の義務だろう。自転車事故が多いのは道路交通法を知らない人が多過ぎることが大きな要因になっている。

生態系

2013-08-02 09:16:00 | Weblog
 7月31日の夜9時のNHKのニュースで「外来種のミドリガメが生態系を破壊する」と報じていた。外来生物はそんなに有害なのだろうか。もしそうならアメリカザリガニは勿論のこと、稲もジャガイモも駆除すべきなのだろうか。ついでに外国人、更には弥生系日本人も有害外来種なのだろうか。
 私が大好きな著述家の竹内久美子氏はこんな話を書いている。
 アメリカの湖に浮かぶ島が氷結によって地続きになりヘラジカが住み付いた。そこには肉食動物がいなかったのでヘラジカの楽園になった。ところが数年後にも氷結が起こり、今度はオオカミがやって来た。ヘラジカは絶滅するだろうか。そうならない。ヘラジカの個体数が減ればそれを餌とするオオカミも生きられないからだ。結局、1,000頭のヘラジカと30頭のオオカミという形でバランスが保たれているとのことだ。
 これと同じようにミドリガメも生態系を破壊しない。新しい生態系を作るだけだ。ヘラジカとオオカミのようにバランスの取れた新しい生態系が生まれる。
 新しい生物が繁殖すれば生態系は変わる。これを生態系の変化と捕らえるか破壊と捕らえるかは意見が分かれるところだろう。
 大陸や台湾などから鳥や蝶などが飛来することはよくある。これが生態系の破壊と騒がれることは無いのだから、毒性を持つ動物ならともかく、無害な動植物ならたとえ人為的に持ち込まれた物であっても無闇に駆除する必要は無かろう。
 台湾猿と混血した日本猿が駆除されているが、純血種を守るためとは言えやり過ぎではないだろうか。アーリア人の純血性を守るためにユダヤ人の抹殺を図ったヒットラーのイメージと重なってしまう。日本人そのものが雑種民族なのだから、動植物の雑種化にももっと寛大であっても良かろう。雑種化とは多様化であり決して劣化ではなく、むしろ生物の能力を高めることのほうが多い。
 現状がベストでありそれを変えることは許さないという超保守的な姿勢には疑問を感じずにはいられない。