俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

医療

2013-08-06 09:36:58 | Weblog
 日本の医療は薄利多売のビジネスだ。そんな馬鹿な、と思うかも知れないが、国際比較をすればこのことは明らかだ。そしてこれが日本の医療システムの問題点だ。
 日本の一人当たりの医療費は3,213ドルでOECD参加国の平均以下だ(OECD「ヘルスデータ2013」より)。その一方で外来受診件数は一人当たり13.2件で平均の2倍以上だ(2009年のデータ)。医療費は単価×件数だから、日本の医療単価は平均の半分以下ということになる。
 これが国民皆保険によって低価格で高度な医療を受けられているという意味なら問題は無い。しかし実態は全然違う。治療を受ける必要の無い人の医療に医療費の大半が使われている。
 どんな患者が救急車で運ばれているかご存知だろうか。一番多いのは何と急性アルコール中毒だ。自己責任と思える飲み過ぎの酔っ払いに救急医が振り回されている。
 どんな人が外来に多いかは多分ご存知だろう。大半が風邪と生活習慣病だ。欧米では風邪で受診する人は殆んどいないし、薬も処方されない。「安静にせよ」と注意されるだけだ。私はこの対処が正しいと思う。風邪薬は症状を緩和するだけで治療効果は全く無いからだ。
 生活習慣病の患者も大半が贋病人だ。自覚症状は無いのに検査数値がほんの少し高いという理由だけで「予防のために」薬を飲み続けている。この数値の基準はかなりいい加減なもので、健常者まで病気予備軍として扱っている。
 単価が低く抑えられているから医師はこんな贋病人を大勢相手にして数で稼がざるを得なくなる。こんな状況だから3分間診療が横行して、本当に病気の人がまともな治療を受けられない状態になっている。

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