俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

Yの悲劇(2)

2013-08-06 08:51:58 | Weblog
 完全型アンドロゲン不応症の人は2種類いてどちらも美しい女性だ。但し遺伝子がXXなら出産能力があるがXYなら石女(うまずめ)になる。
 完全型アンドロゲン不応症がどの程度遺伝するかは知らない。仮に100%遺伝するなら彼女の子供は総て美しい女性になる。但し確率的にはその半分がXYの遺伝子を持つ。
 この先天性障害のことを知った時、私は少なからずショックを受けた。実はそんな美女について心当たりがあるからだ。
 彼女は私がこれまでに出会った中で最も美しい女性だ。周囲からはいつ芸能界にデビューするのかと噂されるほどの美女だ。しかし彼女には大きな欠陥があった。膣が塞がっていたのだ。外見は正常あるいは整った形の比較的綺麗な性器だ。しかし膣の奥行きが殆んど無かった。従って挿入することはできず、お互いに愛撫し合っていた。性交はできなくても男女としての肉体関係は可能だった。
 彼女の体について尋ねることは流石に憚られた。しかし彼女は自分が女ではないと自覚していたのではないだろうか。
 XYの遺伝子を持つ女性が男っぽかったら全然不思議には思わない。しかし彼女の場合、信じられない話だが、最高に女性らしい。男性ホルモンの影響を全く受け付けない、つまり女性ホルモン100%の「男性」だからだ。あらゆる病気は不条理なものだが、この完全型アンドロゲン不応症という先天性障害こそ最も呪われた病だ。完璧と思われる美女が実は遺伝子としては男性だということなど一体誰が納得できるだろうか?

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