俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

日本の農業

2014-05-22 09:45:55 | Weblog
 日本は農業好適地だ、と書けば直ちに反論されるだろう。狭い日本ではアメリカやオーストラリアの大規模農業に太刀打ちできない、と言うだろう。しかしそれは必ずしも正しくない。ある程度までは大規模なほうが有利だがそれを超えればスケールメリットは無くなる。工場であれ小売店であれ学校であれ適正規模がありそれ以上に大きくなれば却って効率が低下する。管理可能な限界を超えるからだ。大規模農家の多い北海道によって他の地域の農業が駆逐されている訳ではないことを見てもそのことは明らかだ。農業の適正規模は農作物の種類によっても異なるだろう。
 日本の農家は戦後のGHQによる農地改革によって生まれた小規模農家が大半であって適正規模を大きく下回る。農地改革はGHQの政策の中でも憲法と並んで最悪のものだと私は確信している。これは小作農の解放ではなく日本の農業を衰退させてアメリカからの輸入に依存せざるを得なくすることを目論んだ亡国策だ。もしこれが少しでも正当性のある政策であるなら今すぐにでもアメリカ本国でも実施すべきだろう。極悪である政策を有難がって批判さえしない日本人は阿呆だ。
 日本の最大の長所は降水量の多さだ。日本全土、殆んどどこでも年間降水量は2,000㎜ほどある。温帯であれば降水量1,000㎜にも満たない場所が殆んどなだけにこれは決定的な強みだ。降水量の多い土地は大半が熱帯であり、日本は温帯でありながら降水量が多いという稀有な土地であり農業好適地だ。
 弱点は台風と地震そして放射能汚染だ。折角の恵まれた自然を福島第一原発の事故が破壊してしまった。
 それを補うのが人の質の高さだ。日本人は勤勉であり研究熱心だ。先進農家であれば技術力も優れている。
 日本は多分百か国以上から食料品を輸入している。これは同時に百か国以上との食料品貿易ルートを持っているということだ、食料品こそ最もグローバルな商材であり、農林水産省が悪政を改めさえすれば世界に飛躍できるだけの底力を持っているだろう。
 江戸時代になぜ鎖国が可能であったかが問われるべきだろう。日本が農業好適地だったからだ。日本という土地は自給自足が可能なほど恵まれている。帝国主義による植民地支配に頼らざるを得なかったヨーロッパとは根本的に違う。

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