俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

アメとムチ

2013-11-24 10:37:10 | Weblog
 人を動かすためにアメとムチのどちらのほうが有効だろうか。私はアメのほうが断然有効だと考える。理由は極めて単純で、私自身がそうだからだ。
 叱られると萎縮する。指摘されたことだけではなく総てに対して消極的になってしまう。できるだけ何もせずに済ませようとする。逆に誉められると積極的になる。やらなくても構わないことまでやろうとしてやたら働く。年間4000時間以上働いた経験もあるがこれは煽てられた豚が木に登ったからであり決して強制された訳ではない。自主的に働く時に人は最もよく働く。
 中国人は全然違った考え方をする。彼らは今尚、戦国時代の法家の思想を受け継いでおり、人をムチによって強制しようとする。しかしムチによる強制には大きな弱点がある。ばれなければ良いと考えるから目の届かない所では手抜きや違法が横行する。市場も正当な競争ではなく騙し合いになる。9月25日付けの「厳罰主義」に書いたことだが「日本人が拾った財布を届けるのは容赦の無い法律があるからだ」と本気で考える国だ。
 多様で自己主張の強い中国人が自由になれば国が崩壊するかも知れない。少なくともウィグルとチベットは独立して中国は分裂するだろう。しかしそれは決して悪いことではなかろう。ソ連の分裂の再現だ。権力者以外の大半の国民は今よりも却って幸福になるだろう。日本のような小さな国でさえ地方分権が必要なのだから、巨大過ぎる中国は超中央集権国よりもEUのような緩やかな連携国家群のほうが多分良かろう。
 西洋人はムチの代わりに神を捏造した。全知全能の神の前では誤魔化しは通用しない。しかしこれにも弱点がある。神が捏造だと分かってしまえば見張り番がいなくなる。
 日本人の倫理の基準は中国人とも西洋人とも異なる。基準になっているのは優しさと思いやりだろう。架空の物語の登場人物にさえ同情する心優しき日本人が現実の人に迷惑をかけようと思う筈が無い。勿論、衣食が足りていることによる余裕に拠るところも少なくなかろう。

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