俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

アンカリング効果

2016-08-25 09:42:54 | Weblog
 英語でハエはflyでトンボはdragonflyだ。ではバッタは?と問われれば釣られてbutterflyと答える人がいるだろう。正解は勿論grsshopperだ。
 昔、ピザピザと10回言わせてから肘を指して「これは何?」と尋ねるゲームが流行った。多くの人が「膝」と答えたことに驚いたものだ。人は直前の情報によって少なからぬ影響を受ける。これはアンカリング効果と呼ばれており、先に与えられた情報がanchhor(錨)として働いてその後の情報を変形させる。
 この実例は日常的にもしばしば見受けられる。航空機事故の後では飛行機に乗ることが怖くなるし、強盗事件のニュースの印象が強ければ周囲の人々がまるで強盗であるかのように感じられる。
 この手法は世論操作にも使われる。Change!Change!と一緒になって叫んでいるとまるで変えることそのものに価値があるかのように錯覚して何をどう変えるべきかが問われなくなってしまう。1960年の「安保、反対」もそんな類いだった。
 「格差」という言葉にもそんな危険性がある。格差は総て悪いかのように思い込んでいる人がいるが、一人一人の働きぶりを評価してそれ相応に報いるのは当然だろう。真面目に働く人と碌に働かない人を同等に扱うべきとは思えない。本気で格差を否定したければ結婚相手も雇用もくじ引きで決めれば良かろう。人は些細な違いにも拘りたがるものだ。
 「人権」も胡散臭い言葉だ。加害者の人権を大声で叫ぶ人がいるからマスコミはいつの間にか、被害者よりも刑事被告人を大切にするようになってしまった。
 ダイオキシンや環境ホルモンについて一時は大騒ぎしたのに今では誰も気にしない。冷静に考えればダイオキシン騒動は実に奇妙なものだった。蛋白質と塩素を同時に燃焼させれば発生するダイオキシン類が猛毒とされたが、焼き鳥や鰻の蒲焼きによってさえこんな条件は容易に達成される。これらを職業とする人々にダイオキシン障害が発生していないことに気付くだけでダイオキシン騒動が胡散臭いということに気付くべきだろう。地球温暖化や首都直下型地震もそんな類いの根拠の乏しい空騒ぎだ。こんな一過性の騒動に振り回されずに真の問題をに目を向けるべきだろう。