goo blog サービス終了のお知らせ 

こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

吉川彰浩さんへの質問と回答

2013-02-05 15:43:55 | 脱原発・危機管理

過日大町で行われた元東電社員吉川彰浩さんの講演に対する質問をメールいたしましたところ、丁寧なご回答をいただきましたので参考までにブログにアップいたします。

①まず原発事故のもっとも最初の事故が、地震のためなのか、津波のためなのか、という議論があります。津波のためなら補助電源を高台に移したり防波堤をつくればいいという結論になります。地震が原因とする場合は、原子炉建屋とタービン建屋をつなぐ配管が地震のズレで破壊されたことを原因と考えている人(広瀬隆さんんなど)、マークⅡ型原子炉は冷却水部分が地震で壊れたと言われる人(小出教授など)、これらの主張はそもそも地震列島の日本では原発はつくってはならないという主張になります。いかがお考えですか?

(回答)当時の地震の際、福島第二原発にいた人間としての回答です。
まず、あの状態の地震ですら福島第二原発の設備において配管の破断は1件も発生しておりません。同等に福島第一についても同様の耐震強度を行っているためご指摘のような破断はないと私は考えています。
また、津波が襲来するまでの間は所内電源は確保されており、ご指摘のような破断があった場合中央操作室の警報が複数発生し操作員達が対応しているはずです。
事故後そういった報告はされておりません。
津波襲来までには数十分の時間がありましたので、配管破断があったのであればそこから炉水、蒸気が漏れたはずです。
それで有れば漏えい警報並びに放射能値高高警報が発生するはずです。
つまり津波前に現場が大混乱になったはずですが、操作員の友人がいますが誰もがそのような事を記憶していませんし、報告していません。
事実を並べれば、地震による配管破断はなかったと想像できます。
さらなる確証を得るには実際に現場を確認するしかありませんが、高線量に阻まれ確認できなくなっています。
広瀬さんも小出さんも現地の情報を正しく仕入れたわけではなく、個人の持論を述べたにすぎないと思います。
可能性の一部として捉えなければならないと私は思います。

地震列島に原子力発電所は建ててはならないという考えには賛成です。
地震でも津波でも発生すれば危険性は厳密に言えば0にはなりえないからです。
日本には向かないと思います。


②配管の問題です。お話のあったSUS配管の方が安全だと思いますが、フレキシブルホースの方が地震には強いのではないですか?樹脂製だとその点はどうなのでしょうか?

(回答)現場はPE管というポリエステル樹脂管を使っています。
今はほぼフレキシブルホースに変わっているようです。
耐震、耐腐食性に富み、軽量で加工も容易なものです。
フレキよりも良いものです。


③放射性廃液の処理とは別に「放水口?とは違う」と言われたように思いますが、放水口とは何ですか、それは高温の排水がされているのですか?

(回答)通常原子炉で作られた蒸気は海水で冷やし水の状態にします。
この設備を復水器といいます。
復水器の中には配管が通っており内部に海水が通ります。
蒸気によって温められた海水が海に戻り放出されるところが放水口といいます。

低レベル放射性廃液は濃縮処理された後、フィルターを通し、タンクに貯蔵されこれも海へ放出されます。これは別のラインです。温度は室内温度と同じで季節によって変わりますが海水温度より高くはないと思います。

④排気筒から1000万?の大気が今も放出されていると言われましたが、発表されている事実ですか?フィルターや測定機は機能していないということですか?放出されているとしたら除染は無駄ではないですか?

(回答)事実です。
東京電力も公表しています。
福島第一には排気筒から出ているトータルが1000万ベクレル毎時になります。
ご指摘の通り、フィルター、測定装置は機能していないといえます。
ベントされた空気は実は排気筒を通っており、排気筒の根元は1000mSv/hを超えています。東京電力も発表している事実です。
現在は排気筒の根元は人が立ち入れないようになっています。
除染が無駄とは考えません。確実に効果が出ています。
問題は放出し続ける状況の改善です。
2月から蓋を取り付ける工事が始まるようです。


⑤火力発電を休ませる必要があるというお話は説得力のある合理的なお話でした。ただ関西電力の大飯原発再稼働時に政府が発表したように「経済的な理由」では国民は納得しません。どうお考えですか?http://www.kantei.go.jp/jp/headline/genshiryoku.html

(回答)日本政府の考え方、伝え方では国民は納得しないと私も思います。
火力発電所の今後の保全の問題は見過ごせないと思います。
電力不足は結果として国益を損ねるものになります。
そういった意味では経済的理由は成り立つと思います。


⑥技術者の離職、請負労働者不足、人夫賃のピンはね問題は深刻すぎる問題ですが、政府へはこの問題提起はされているのですか?私どもでしてもいいのですか?

(回答)是非問題にして頂きたいと思います。
労働者の待遇をよくしなければ福島原発に未来はありませんし、ひいては日本に未来はないと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする