「闇資金捻出に使われたダンボール入りCF券」
「政界との癒着が育てた利権に群がるハイエナ」
87年6月17日付の「乗員新聞」の見出しである。パイロットたちの集まりである日本航空乗員組合の新聞だ。
CF券とは、カスタマーズフェアという名前の割引券。系列会社を通じて売りさばき、闇資金を捻出、政界対策などにあてた疑惑を追及している。
似たような記述は、山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」にも出てくる。JALをモデルとした「国民航空」は、運輸省航空局の課長がつきあう銀座のホステスが住むためのマンションまで借りることになっている。
山崎は小説の中で「多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基き、小説的に再構築した」との注釈を入れた。
山崎が小説を週刊新潮に連載したのは95~99年。単行本・文庫本は700万部を売り上げた。映画「沈まぬ太陽」は先月、封切りされ、大ヒットとなっている。
JAL経営陣は「見方が偏っている」と反発。小説連載中は、週刊新潮を機内に置かないようにした。映画化にあたっても、角川映画や配給会社の東宝に対し「関係者の名誉棄損のおそれがある」と少なくとも2度、警告文を送った。角川は「フィクションだ」とするが、原作の小説が「事実に基づき」とあるので、その立場は微妙である。
映画で渡辺謙が演じる主人公・恩地元は、元日本航空労働組合委員長・小倉寛太郎(02年死去)がモデル。山崎は小倉を千数百時間も取材したという。
労使の深い溝 「沈まぬ太陽」はどこまで本当か
「政界との癒着が育てた利権に群がるハイエナ」
87年6月17日付の「乗員新聞」の見出しである。パイロットたちの集まりである日本航空乗員組合の新聞だ。
CF券とは、カスタマーズフェアという名前の割引券。系列会社を通じて売りさばき、闇資金を捻出、政界対策などにあてた疑惑を追及している。
似たような記述は、山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」にも出てくる。JALをモデルとした「国民航空」は、運輸省航空局の課長がつきあう銀座のホステスが住むためのマンションまで借りることになっている。
山崎は小説の中で「多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基き、小説的に再構築した」との注釈を入れた。
山崎が小説を週刊新潮に連載したのは95~99年。単行本・文庫本は700万部を売り上げた。映画「沈まぬ太陽」は先月、封切りされ、大ヒットとなっている。
JAL経営陣は「見方が偏っている」と反発。小説連載中は、週刊新潮を機内に置かないようにした。映画化にあたっても、角川映画や配給会社の東宝に対し「関係者の名誉棄損のおそれがある」と少なくとも2度、警告文を送った。角川は「フィクションだ」とするが、原作の小説が「事実に基づき」とあるので、その立場は微妙である。
映画で渡辺謙が演じる主人公・恩地元は、元日本航空労働組合委員長・小倉寛太郎(02年死去)がモデル。山崎は小倉を千数百時間も取材したという。
労使の深い溝 「沈まぬ太陽」はどこまで本当か