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まさかの「人材不足倒産」がやってくる! 深刻度を増す日本企業の採用難

2015-08-04 | 労働ニュース
どうやって余剰人員をリストラしようか……と頭をひねらなければならなかったのが遠い過去のようです。「人手不足」が多くの会社経営において、影響をきたすようになってきました。

 たとえば、

 「自分がまいた種が、ここまで大変なことになるとは……助けてよ!」

 と頭を抱えるのは、中堅のシステム会社を経営しているD社長。販売管理を中心にカスタマイズや導入支援、アフターサポートまで一連のサービスを提供しています。震災以降は売り上げが下がって苦労する時期が続きました。

 ところが半年前に大手企業から大型の開発案件を受注。「これまでの苦労が報われた」と経営陣は大喜び。ただ、現場は冷めた反応です。

 「会社にマイナスをもたらす受注としか思えない。社長はとんでもないことをやらかしてくれたものだ」

 確かに、現状の人員だけで体制的に足りないのはわかっていたのですが、中途採用で何とかしのげる、だから受注してしまおうと経営側は判断しました。

 実際、これまでは、そうした綱渡りの対応でも人員が確保できてきたのです。もちろん、エンジニア不足の状態は半年前にもありました。ただ、伝家の宝刀を抜けば、簡単に問題は解決したのです。つまり、人材採用系の会社に対する費用の割増を容認する特別キャンペーンを行えばよかったのです。具体的には

 「エンジニアの急募キャンペーンを開催するので、よろしくお願いします」と人材会社に連絡し、

 ・紹介手数料の上乗せ

 ・求人サイトへの大型発注

 など、人材会社の営業担当が大喜びするような依頼をかけるのです。通常よりも売り上げも利益も大幅にアップしますから、

 「ありがとうございます。特別対応で何とかします」

 となり、無事にエンジニアが確保できたでしょう。

 このように、大胆なコストをかけた依頼が、人材サービス業界の相場をインフレ化させる懸念まで出ていました。ただ、それにも限度があったようです。今回のD社長の会社のケースでは、人材会社の担当営業からの反応は悪く、

 「ご依頼に関して、期待にお答えするのは難しいかもしれません」

 との回答がメールで返ってきたそうです。その後も連絡するものの、つれない返信が続きました。中には連絡しても返信が返ってこない営業担当もいたそうです。

 札束を出せば人材確保は何とかなる……と勘違いをしていたのかもしれません。ただ、大型発注を納期までに開発できなければ、ペナルティが待っています。D社長も焦り出しました。そして、半年が経過。いったいどうするか?その大型案件は外部に再委託しての開発が契約上できなかったので、なんと、管理部門や経営層まで開発に関わることになりました。

 「エンジニアの採用ができるまで、頑張って協力してくれ」

 と社長は管理部門のメンバーに懇願しました。こうして、開発には門外漢の他部署の社員まで無理矢理動員して、全員でただただこなすだけの状況に。はたして、いつになったらエンジニアの採用ができるのか?社内に不満が蔓延します。

 これは、まさに最近の人材不足を象徴するような“事件”かもしれません。ただ、そんな事象は「まだマシだ」と言う会社も少なくないかもしれません。

 厚生労働省が発表している労働経済動向調査の労働者過不足DI(指数)が高止まりしています。業界・分野別では医療・福祉、運輸や地方の中小企業は高水準で「不足」との回答。こうした、人手不足で

 ・店舗の閉鎖

 ・工期が遅れ資金繰りに窮する

 ・ドライバー不足で採算が悪化

 など、業績低迷にまで影響する事態に至り、「人材倒産」する会社が出てきました。運用資金が回らなくなって事業を続けられなくなるのが、普通の倒産だとすれば、人材が枯渇し事業が回らなくなる「人材倒産」というような事態に陥りかねない状況です。

 帝国データバンクの発表によると、2015年


まさかの「人材不足倒産」がやってくる! 深刻度を増す日本企業の採用難