セブン&アイHD鈴木会長の“駄々っ子”退任 お家騒動も株価急反発の真相
(更新 2016/4/13 07:00)
「流通のカリスマ」の引退劇に対する反応は、予想以上に冷ややかだった――。
4月7日、セブン&アイ・ホールディングス(以下7&i)の鈴木敏文会長兼CEOが辞意を表明した。言わずと知れた、グループ売り上げ10兆円超の一大流通企業を築き上げた名経営者だ。が、そんなカリスマの退場を受けて、東京証券取引所では7&i株が急騰したのだ。
7日朝は、鈴木会長らが井阪隆一セブン‐イレブン・ジャパン社長の退任案を提出したという報道を受けて、大きく売り込まれた。年初来安値を更新し、一時、前日終値比8.6%安まで下げた株価が急反発したのは14時半頃のこと。その退任案が取締役会で“否決”されたと報じられた直後のことだった。大引け後には7&iが5期連続最高益更新を発表。併せて、鈴木会長の引退会見が開かれた。だが、翌8日のマーケットは辞任騒動などどこ吹く風。7&i株は3.7%も値を伸ばしたのだ。
なぜ、このような反応を見せたのか? 流通業界に精通するプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表が解説する。
「セブン‐イレブンは7&iの営業利益の8割を稼ぎ出す屋台骨であり、井阪社長の下、5期連続で最高益更新を達成している。普通に考えれば、社長を退任させる理由はない。実際、3月下旬から開かれた経営陣の人事と報酬について検討する指名・報酬委員会でも『交代させる理由はない』と反発を浴びていた。にもかかわらず、鈴木会長らが強硬に退任案を取締役会に提出したため、株価は急落。その後、退任案が否決されたことで事実上、井阪社長の続投が決定。社内のガバナンスが正常に機能したという安心感もあって、好感した買いが集まった格好です」
ここで、件(くだん)の引退会見を振り返っておこう。
7日16時半、東京・八重洲の会見場に現れたのは、鈴木会長と村田紀敏7&i社長、それに2人の「顧問」だった。鈴木会長との共著も手がけるジャーナリストの勝見明氏が話す。
「佐藤信武顧問は鈴木会長が大学卒業後に勤めた書籍取次大手トーハン時代の後輩で、会長を追ってイトーヨーカ堂に転職した後、同社の副会長に上りつめた人物。一方の後藤光男顧問はヨーカ堂時代から主幹事証券を務めている野村證券出身で、野村企業情報(2002年に野村證券が吸収合併)というM&Aの専門会社の社長も務めた人物。顔が広く、ファイナンスに精通していることから、セブン銀行の設立や06年のミレニアムリテイリング(そごう・西武百貨店の持ち株会社)の買収に際して、調整役を務めました。両者に共通するのは創業者の伊藤雅俊名誉会長とも近しい間柄ながら、鈴木会長が最も信頼を寄せている点です」
いわば、鈴木会長の身内。そんな2人を引っ張り出してきたことに、関係者は驚きを隠さなかった。
「出来の悪い息子を糾弾するために父親とその親族が一緒になって会見を開くようなもの。そのうえ、伊藤名誉会長との確執も明かしたのだから、お家騒動以外の何物でもない。まさか、あんな会見になるとは想像もしなかった」(内部関係者)
冒頭から、会見場は異様な空気に包まれた。まず、鈴木会長が独特の表現で井阪社長に退任を迫った理由を語り出した。
「会社全体として見たときに(井阪社長は)物足りなさがあった。それに、セブン‐イレブンの社長は最長で7年という任期でやってきた」(鈴木会長)
井阪社長に内示を出したのは2月15日。当初は素直に退任を了承したという。ところがその2日後に豹変。
「その期間(社長就任後の7年間)に起こったことは全部自分がやったという言い方をした」(同)
その場に居合わせた村田社長は「井阪氏は大変興奮していた。なぜ退任しなければならないのかと(中略)私の意見も聞かずに帰っていった」と付け加えた。
鈴木・井阪両氏の関係がこじれたことで動いたのが顧問の後藤氏。
「私は少し気がかりだったので、井阪君のお父さんに連絡して自宅を訪問した。野村證券を築き上げた人で、野村のスピリットで応えると思った」
なぜ突然、井阪社長の父親が登場するのか? 後藤氏の言葉を、全国紙経済部の記者が補足する。
「井阪社長の父・健一氏は野村證券副社長を経て、東証副理事長まで務めた大物。72年のイトーヨーカ堂上場時には野村側の窓口役を務めたと言われており、息子がそのグループ会社セブン―イレブンの社長就任を打診された際には涙を流して喜んだのは有名な話。そんな、鈴木会長に恩義を感じている父親を丸め込めれば、井阪社長も折れるという狙いがあったのは明らか」
だが、退任案に「NO」を突きつけたのは井阪社長本人だけではなかった。村田社長は驚いた様子で「以前から経営については鈴木会長に任せると聞いていたのに、(社長交代案について)伊藤名誉会長から断られた」と語ったのだ。
上場企業のトップ会見には似つかわしくない言葉も飛び出した。
「(伊藤名誉会長から)つい2、3日前まで、私にも『よろしく頼むよ』と電話をもらっていました。恥ずかしくて申し上げられないけれど、“獅子身中の虫”がおりまして、いろいろなことを外部に漏らしていたのは事実です」(鈴木会長)
要約すると、これまで経営のすべてを鈴木会長に一任してきた伊藤名誉会長が今回の人事案に限って反対したのは、何者かがリークして情報操作を行ったため、という主張だ。
「“いろいろなこと”とは井阪社長の退任案や世襲疑惑のことでしょう。それは、昨年10月に7&iの株を取得した米投資ファンドのサード・ポイントが今年3月27日付で7&i経営陣にあてた公開書簡を見れば明らか。『井阪氏はその功績と株主利益へのコミットメントにおいて高く評価されるべきであり、降格される理由はありません』と人事案に反対を表明しながら、『鈴木会長がご子息である鈴木康弘氏を将来のセブン―イレブン社長に、そしてやがては7&iのトップに就ける道筋を開くという別の噂も耳にしています』と釘を刺していた」(全国紙記者)
※週刊朝日 2016年4月22日号より抜粋
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週間朝日で語られた鈴木会長退任劇の真相。
視点に消費者、加盟店、クルー、お取引先への視点はない、本当の内紛劇だ。
後任の指名もほったらかしにして、自分だけ退任、ローソンの新浪社長と似ている。
コンビニの将来に不安を感じているのだろう。
セブンイレブンの新店舗、私が近辺で観察している限り、あまり芳しくない感じだ。
どんどん悲劇の主人公を量産している。
こういう現状に触れることなく、自分の地位に恋々としている。
大事なのは、加盟店が置かれれいる現状に対する経営者としての提案ではないだろうか?
既存店の売り上げ悪化、人件費高騰、社会保険料負担の指導、いろんな状況の
変化がありながら、そのことは、加盟店の自己責任、全く関知していない。
こういう経営者のもとで365日働いて、自己破産、自殺。
加盟店は浮かばれない。早く離脱しないと環境はさらに悪化すると思います。