カリスマなきセブン、密かなる大転換
グループ稼ぎ頭のコンビニで「常勝」死守
2016年10月4日(火
10月1日、東京・四谷。社員の姿もまばらな土曜日のセブン-イレブン・ジャパン本社に、ひとつだけ熱気あふれる会議室があった。真剣な顔つきで意見を交わしているのはセブンイレブンの制服を着た約30人。議題は店舗における販売力の向上についてだ。
「先週、セブンのスイーツ商品がテレビで紹介されていましたよね」。参加者の一人がプレゼンする。「うちは陳列棚の大部分をまるまる使ってその商品を並べたんです。お祭りムードを演出したら、売り上げが伸びました」
すかさず質問が飛ぶ。「重点商品に棚を割くのはわかるのですが、通常商品はどこに置いているのですか」。すると発表者は「通常商品はバックスペースに確保してあって、お客に聞かれたらすぐ出せるようにしています」。参加者は一斉に頷いた。
セブン-イレブン・ジャパン本社で開かれたエリア・ミーティング。最初はぎこちない雰囲気だった会議室も、意見を交わすうちに賑やかになった(10月1日、東京都千代田区)
地味に見えるが大きな方針転換
この会議室で開かれていたのは、セブンイレブンが2015年秋から一部地域で始めた「エリア・ミーティング」。フランチャイズチェーン(FC)加盟店のオーナーや現場リーダーを集め、店舗運営の悩みや解決法を話し合う場だ。この日は東京・銀座周辺にあるセブンイレブン14店が出席し、店舗運営の知恵や工夫を披露しあった。
「店舗の『現場力』が足りていない」。5月に就任したセブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は語る。セブンイレブンは国内1万9000超の店舗網を誇るコンビニ最大手。規模を強みとした商品開発力などで2位以下を長らく引き離してきたが「店舗ごとに(売り上げの)格差も目立つようになってきた」(古屋社長)。現場のサービスレベルを底上げするために始めたのがエリア・ミーティングというわけだ。
地味に聞こえるかもしれないが、これはセブンイレブンにとって大きな方針転換といえる。
加盟店のオーナーは、コンビニ会社の社員ではない。どの加盟店もFC契約を結んでセブンイレブンの看板を掲げているが、それぞれのオーナーはあくまで独立事業主。なかにはセブンイレブン店舗が近隣のセブンイレブン店舗をライバル視するようなケースもある。
だからこそセブンイレブンの場合、商品情報や店舗運営のヒントは加盟店同士で共有し合うのではなく、本部から派遣した指導員が各加盟店に直接伝える仕組みを採用。統率のとれた組織力を武器に最強のコンビニチェーンを築いてきた。これは「コンビニの父」とも呼ばれるカリスマ、鈴木敏文元会長(現名誉顧問)が40年かけて作り上げたシステムであり、セブンイレブンの収益力の源泉だった。指導員からの指示は、すなわち鈴木氏の指示そのものであった。
この日は加盟店オーナーや現場リーダーら約30人が集まった(10月1日、東京都千代田区)
加盟店同士で切磋琢磨
しかしこの仕組みが静かに転換しているのだ。偉大なカリスマと個々の加盟店がそれぞれ、関係を取り結んで、圧倒的なトップダウンで指示が下りてくるのが従来の形。これに対して、新たな経営体制の下では、加盟店同士の情報交換によるボトムアップの形式を取り入れたと言える。これまでも加盟店オーナーが顔を合わせる機会がなかったわけではない。ただ集まったとしても参加オーナーの数が多すぎ、情報伝達も本部から加盟店に向けての一方通行だった。銀座地区ディストリクトマネジャーの鬼嶋智由氏は「『本部が言うことはうちの店にはあてはまらないから』と白けてしまう加盟店オーナーもいた」と振り返る。
「カリスマ」が去ったセブンイレブンは、加盟店同士が情報共有しながら切磋琢磨し、チェーン全体のレベル底上げを狙う方向へかじを切る。今後、エリア・ミーティングの開催を全国規模で推し進める方針だ。
コンビニ業界を見渡せば、9月1日にはファミリーマートがサークルKサンクスと経営統合。その2週間後には三菱商事がローソンの子会社化を発表した。
とはいっても、1店舗あたりの1日の平均売上高(日販)を比べると、ファミマもローソンも首位セブンイレブンとは10万円以上の差が開いている。既存店売上高についても、セブンイレブンは2016年8月まで49カ月連続で前年を上回っている。競合の動きですぐに揺らぐほど、セブンイレブンは「やわ」ではないのだ。それでもセブンイレブンは「常勝」を続けなければならないプレッシャーをかつてなく受けている。セブン&アイの「身内の事情」があるからだ。
旧体制のうみ出し切る
セブンイレブンの親会社、セブン&アイ・ホールディングスは9月30日、2017年2月期の連結決算に606億円の減損を計上すると発表した。
減損処理を行うのは総合スーパー(GMS)事業のイトーヨーカ堂と、百貨店事業のそごう・西武。ともに苦戦の原因は衣料品だ。ネット通販など消費者がファッション商品を購入する手段は増えて逆風が吹く中、両社ともPB(プライベートブランド)商品の開発に力を入れているが、業績への貢献は見えてこない。
減損総額のうち334億円は、セブン&アイが2006年にそごう・西武を買収した際、将来的に収益を生む潜在力として計上した「のれん」の資産価値を引き下げるものだ。
そごう・西武の買収はグループ内にコンビニ、スーパー、百貨店まで流通業のあらゆる形態を揃えることで、PB商品の販売などで相乗効果を生み出す狙いがあった。ところが、想定通りの効果はなかなか出なかった。セブン&アイはまず2010年2月期にのれん約400億円を減損処理している。その後も店舗閉鎖や人員整理などリストラを続けたが、今回、再び減損計上を余儀なくされた。
セブン&アイの事業別の営業利益一覧。コンビニ事業の占める割合が大きい。減損606億円は、最終利益の押し下げ要因に
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のれんはM&A(合併・買収)が成功だったかどうかを映し出す鏡でもある。セブン&アイは10月6日、5月に就任した井阪隆一社長が「構造改革プラン」を発表する。そのわずか1週間前に発表した今回の減損計上は、新体制が同プランで攻めのアクセルを踏み込む前提として、まず旧体制のうみを出し切ろうとしたものと捉えることができるだろう。
減損により、今期の連結最終利益は800億円と従来予想より53%減る。ただ、600億円の下振れを以てしても最終赤字に転落しないのは稼ぎ頭のコンビニが堅調だからだ。逆にいえば、グループ営業利益の83%を稼ぎ出すコンビニが少しでもぐらつこうものなら、総合流通グループの再建は行き詰まるリスクがあるということでもある。
今後の出店計画、盛り込まず
セブン&アイ株を大量保有する「モノ言う株主」の米サード・ポイントは、かねて百貨店の切り離しやスーパーの事業縮小を主張してきた。不振事業の立て直しに早期にメドをつけなければ、株主の不満の声はさらに高まるだろう。そのためにもまずは稼ぎ頭であるコンビニの地盤固めが重要になる。
セブン-イレブン・ジャパン創業以来の店舗数と、1店舗あたり売上高の推移(売上高はチェーン売上高を店舗数で割って算出。いわゆる「日販」とはズレが生じる場合がある)
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8月末、セブン&アイの事業会社トップを集めて開いたグループ戦略会議。セブン-イレブン・ジャパンがこの場で提示した今後3年の経営計画には、出店計画数が盛り込まれなかった。ある株式市場関係者は「売り上げや店舗数など規模にモノを言わせてきたセブンイレブンが、店舗ごとの収益性を重視する意識に変わってきている」と指摘する。
セブンイレブンはこれまでも世の中の変化をうまく汲み取り、自ら対応することで成長を続けてきた。鈴木敏文氏の引退後、巨艦はどんな方向に歩み出すのか。消費者、加盟店、株主、取引先……。すべてのステークホルダーが固唾を呑み、井阪氏の見据える次の一手に注目している。
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カリスマなきセブン、密かなる大転換、グループ稼ぎ頭のコンビニで「常勝」死守
日経ビジネスオンラインの記事です。
店舗オーナー、リーダーを集め本部の意思を押し付ける手法は変わらない。
コンビニでしか利益が出ないということは、セブン&アイHDがオーナー、従業員の
犠牲の上で収益を上げていることに他ならない。
オーナーは年中無休、深夜勤務。従業員は地域最低賃金。
そういうことでしか成り立たない企業ということを表している。
1990年、26年間 1店舗あたりの売上高が上がっていないことも示している。
その間、人件費、電気料金は大幅に上がっている。その分オーナーの収益は減っている。
そういう状況の中で、さらに店舗に商品を押し込み、季節商品のノルマを課すミーティング。
昔と少しも変わっていない。
コンビニ業界がセイコーマートさんのように生き残る方法を考えないと
オーナー疲弊で取り返しのつかない結果を招くと思います。
利益の出ないコンビニを取り込み、規模のメリットを出すことだけに
こだわってもそこから破綻していきます。
私はそう思います。
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私ごとですが神戸マラソン17.6Km地点で棄権してしまいました。
足の水虫を治し、Mr.ストレッチにも行って体調を調整しましたが、
練習不足と今年からのスタート変更で第4関門を突破できませんでした。
スタート方法の変更とはグループを2グループに分け、9:00と9:15の
2回のウェブスタートにしたこと。
足の遅いグループが後にスタートしますが各関門、ゴールの時間に変更はありません。
スタート地点を通過したのは30分後
実質9:30分スタートになってしまいました。去年から約15分遅れ。
第4関門に4分遅れで到着し、収容車に収容されてしまいました。
悔しくてたまりませんが、練習不足が一番の原因です。来年も頑張ります。