日本基督教団中津教会

中津教会での出来事を書いていきます。

ルカによる福音書4:14-21「宣教の開始」

2015-01-26 15:54:30 | 説教
この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した。
                     ルカによる福音書4:21



「主の恵みの年」というのは、“ヨベルの年”のことです。ヨベルの年という言葉を初めてお聞きになる方もいるかも知れません。これは、旧約聖書・レビ記25章に記(しる)されている律法(りっぽう)の規定であり、聖書巻末の用語解説に簡単な説明が載(の)っています。50年に1度、イスラエルの人々(ユダヤ人)に訪れる年であり、借金などで手放していた土地が元の持ち主に無償で返され、借金等で奴隷になっていたイスラエル人は無償で解放される、という年でした。この年の始まりは、ヨベルという雄羊のつのぶえを吹いて告げ知らされたので、ヨベルの年と呼ばれるのです。
 主イエスはイザヤ書61章1節-2節を引用しました。ここにはイザヤ書のメシア預言が書かれています。救い主は捕らわれている人に解放を、/目の見えない人に視力の回復を告げ、/圧迫されている人を自由にします。
 第三イザヤの活動したのは、紀元前6世紀の終わり頃です。
 イスラエル人は、50年間バビロニアに捕囚となっていましたが、紀元前538年にペルシアのクロスがバビロニアを滅ぼしたため、バビロニアに捕囚となっていたイスラエル人が釈放され、故国エルサレムに帰る事が出来ました。
 そしてこの第三イザヤと呼ばれる預言者も、その帰還した人々の一人でした。
 人々は、懐かしいエルサレムに帰って来ましたが、神の都エルサレムは、バビロニア軍に徹底的に破壊されていましたので、かつての華やかさは見る陰もなく、荒廃していました。貧しさと苦難の中に捕らわれていた多くの民がいました。
 第三イザヤは、エルサレムいる「苦しむ者」「悲しむ者」に福音を伝えるために遣わされた預言者でした。彼は、もうすぐ「主の恵みの年」が来る、そうすれば絶望の中にある者の「悲しみ」が「喜び」に変えられることを伝えました。
 主イエスはイザヤ書を引用され、解放の福音を語られました。これが、主の宣教の始めの出来事であります。そして、この恵みの年が主の到来によって成就したのであります。
 主がイザヤ書を引用され、4:21 そこでイエスは、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と話し始められた。
 主が語られた言葉を聞く時に恵みが訪れます。ルカによる福音書は医者のルカが書いたとも言われています。患者さんが病気を回復した時に、健康の人が経験することのない喜びを経験します。それはうちひしがれた者の解放 捕らわれ人の解放についても言えることです
 その出来事をもたらす出来事が、良き訪れである福音が語られる時です。
  創造『創』は 『つくる』、 元来の意味は『刃物によって受けた創(きず)』のことを意味する言葉でした。
『挿し木』について言えば、枝の一部分を切り取って地中に挿しこむと 根が生えて新しい株に育ちます。創(きず)が創(はじ)まりであり、創造です。
 豊かな時、自分の力ですべて何事もなせると思う時、主イエスの福音を必要としていないかもしれません。しかし、自らの弱さ、貧しさ、惨めさを知っている人の傷の中に、
新しい創造の業が働き、ゆるしと自由と新生が生じるのです。
  囚人の囚は人が囲いの中に入っている状態を現しています。その囲いの中から自由にされるのです。
 私達の罪と死の力からの自由であります。ハイデッカ-は「みんな人間というのは死に閉じこめられた存在」と言っています。死に捕らわれない、主の復活の命に生かされることが大切だと思います。
 救い主メシアの使命がこのイザヤ書に示されています。 イエスに出会う前と出会った後は同じではありません。この相違を奴隷と自由という言葉で主は表しています。日本人はお祭りが好きですが、その前と後に本質的は変化があるでしょうか。私たちは私たちに真の解放をもたらす主イエスとの出会いによって、新たに生まれ変われますことを切に求めていきたいと思います。
 主の言葉には慰めと力があります。精神的にも肉体的にも悩み苦しんでいる人のそばにイエスはおられます。
「今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と主イエスは言われました。主イエスがこの世に来られ、活動を開始なさったことによって、イザヤ書61章1節-2節の言葉が実現したのです。「今日」とは2000年前の過去のことではありません。「今日、あなたがたが耳にしたとき」時です。今日、私たちが、この主イエスの宣言を耳で聞き、主イエスこそ私たちにゆるしと自由を与えて下さる救い主であられると心で信じ、受け入れる時に実現するのです。
み言葉は今も働きかけ、2000年を経た今も聞いた者をつくりかえ、いろいろなものを生みだしています。
まさしく力ある言葉です。


2月主題「あそぼう、気づき合う」

2015-01-23 17:10:27 | キリスト教保育
2月の主題聖句
「あなたがたは、もっと大きな賜物を受けるよう熱心に努めなさい。」
                     コリントの信徒への手紙一12章31節        

 2月は寒さが厳しい頃です。しかし、雪が降ったり、氷水ができたりして、子ども達の目が輝き出す楽しい季節でもあります。
 お友だちとの関係も深まり、元気いっぱい、お外でも創造的な遊びを楽しむことでしょう。
 神様から頂いている賜物として、わたしたちは個々の才能を挙げることが出来ます。
 子ども達は自分の良いところが自分ではわかりません。ほめてもらって初めてわかります。そういうことを考えると、才能は愛されることによって見いだされ、育てられるものです。
 しっかり見つめて、愛して、いいところに沢山気づいてあげてくださいね。
 神様の愛の光の中で、子ども達を見つめる時、子ども達の輝きに気づいていけるのです。
神様はわたしたちのことを愛して下さっています。
 そのことを子ども達に伝えたいと願っています。又そのことが子ども達の自己肯定感を育む大きな力の源となると信じています。 
 神様は私たちを愛し、宝物を下さっています。この宝物を喜び、育て、回りの人々のために用いることが出来るようにと願っています。
 神様は子ども達を愛し、豊かな賜物を下さっています。我が子を愛し、信じ続けましょう。
そして、忘れてはならないことは、幼児教育は、今を生きる力と成長力生み出す根の教育だということです。ここを落とすと「花」「実」など、結果ばかりに捕らわれてしまいます。根力とは、倉橋惣三師に言わせると、「無限の元気」「多面の興味」「不断の試行力」「年齢に相応せる適度の自己統制」。根の力は自己発展力です。
いつか花を咲かせる根の部分を信じ、育みましょう。



   天からの贈りもの                                         
   

   ヒラヒラ舞う雪は
   空からの贈りもの
   子ども達の心を
   踊らせる

   白く積もる雪は
   空からの贈りもの
   子ども達の遊びを
   豊かにする

   きれいな雪景色は
   空からの贈りもの
   子ども達の心を
   やさしくする

   雪の祈りは
   土に溶けて
   春になれば
   命を輝かせる 


ルカによる福音書5:1-11「最初の弟子達」

2015-01-20 10:49:50 | 説教
「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」
                       ルカによる福音書5章10節

 舞台はゲネザレ湖であります。この湖はテベリア湖とも呼ばれ、旧約のヨシュア記12:3においてはキンネレテ湖と呼ばれ、琴のような形をしていることからそう呼ばれました。パラダイスの門と呼ばれ、みんなから愛されていました。
ペトロはプロの漁師でありましたが、昨日の晩、一生懸命働きましたが、魚が一匹もとれませんでした。その日の朝は、一晩中働いて、疲れていましたので、家に帰って寝ようかとも考えていました。
ところが、網を洗っていますと、イエス様が現れ、そこに多くの群衆が集まってまいりました。ペトロも姑さんの病気をイエス様に治して頂いたので、イエス様のお話しに耳を傾けようとしました。
 群衆があまりにも押し寄せてきましたので、イエスはシモンの船に乗りました。そして彼に頼んで、「岸から少しこぎ出すように」と頼まれました。
 ペトロはイエス様のおっしゃるようにしました。
船がこのように講壇として用いられました。マタイやマルコもこのように船を説教壇にしています。しかし、ルカによる福音書においては、船が講壇に止まらないのであります。
群衆に話しを終えられた主は、ペトロに対して「沖に漕ぎ出し漁をしなさい」と命令されます。
昨日の仕事で疲れていたであろうペトロです。しかも、漁は不漁であったのです。しかも、漁師でもない主イエスは明るい時にペトロに対して、漁に出なさいと言われました。主のお言葉は、不漁で疲れている者を立ち上がらせるほど力があります。
 ペトロの家に愛を注いでくださった主のお言葉にペトロは従いました。
「しかし、お言葉ですから」とペトロは言い、網を降ろしました。
 「しかし」というのは無責任になる責任転換の言葉ではありません。むしろ、神の子イエスへの信頼の言葉であります。信仰はこの「されど」すなわち「しかし」に生きていく
ことであります。
美しいガリラヤ湖でありましたが、不毛の世界が冷え冷えと眼の前に広がっておりましたが、主のお言葉に従う時に、ペトロは驚くべき大漁を経験しました。
み言葉に聞き従うことは、驚くべき神の恵みを経験することですが、神の光に照らされて、自分の罪を知ることも含まれます。しかし、神様はこの罪人をゆるし、人間を神様の恵の網で捕らえ、生かす、大きな使命に用いられるのであります。

4節でイエスさまはペトロに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし漁をしなさい」とおっしゃったことが書かれていました。実はこの「沖」とは、「深み」です。。海の深みというのは、聖書では、レビヤタンという魔物が住むようなところとして描かれています。暗黒の世界です。
 そこに網を降ろして魚を捕まえ、網を引き揚げる。11節の「人間をとる」という言葉は、「生け捕りにする」ことです。
 「人間をとる漁師」とは、網で人間を捕らえ、光の世界へ招き入れる。
 人間を漁る漁師は、自分が得するためではありません。その人のためにその人をとるということ、その人が救われるために生きることです。
 昼間は、水面下の闇の中に潜んでいる魚の群
夜の漁ではなく、昼間の漁が印象的な場面です。普通、彼らは夜に漁に出かけたのですから。
闇の中にいる夥しい魚の群を光の中に引き上げます。
現代人は、夜も明るいところで暮らしておりますが、暗い心で過ごしている人がおります。その心を引き上げて、明るい世界に入れることが、人間の漁師の使命です。
 人々を闇から光へと引き上げる、人間をとる漁師になる、ということはそういうことです。
6節のみ言葉に「網は引き裂かれそうになった」と書かれていますが、単に魚の多さだけで無く、魚の元気良さも示しています。
下役の漕ぎ手も、協力要請を受け、漁師に育っていきます。
佐賀関の関サバ 関アジは全国的に有名ですが、今、後継者を育てることに力を入れておられます。一本釣りの漁師が求められています。
教会の船の中から、伝道者が生まれていくものです。
 今まで、彼らは、自分の網によって、魚を捕りましたが、これからは。イエス様という恵の網が、闇夜に歩んでいる人を救うのです。
いかに徒労で終わっても、空しさや虚無の力に足を絡め取られそうになっても、収穫がないように思えても、挫折しても、沖へ漕ぎ出しなさいという主の力強い言葉に聞き従いましょう。「しかし、お言葉ですから」という信仰へと主のお言葉が漁へと促していきます。


人間をとる漁師達



人間を漁る
漁師たち 
網をおろして
引き上げる

闇の中の
群を捕らえて
光の世界へ
引き上げる

恵の網を
沖へ運ぶ
人間を漁る
漁師たち







ルカによる福音書2:21-40 神殿での奉献

2015-01-14 17:23:56 | 説教
「主よ、今こそあなたは、お言葉どおりこの僕を安らかに去らせてくださいます。」
                     ルカによる福音書2:29


 シメオンはこう歌い始めます。29節「主よ、今こそあなたは、お言葉どおりこの僕を安らかに去らせてくださいます。」この歌は、「今、去らせてください。」という、ラテン語の最初の言葉をとって、ヌンク・ディミトゥスと呼ばれてきました。もう死んでもいい。そうシメオンは語り始めたのです。何故か。「わたしはこの目であなたの救いを見たからです。」主イエスを見た、主イエスの中に神の救いを見たからです。
 シメオンは、「わたしはこの目であなたの救いを見た」と言ったのです。
老人シメオンは、死・罪・時間を抱えていたことでしょう。一方イエス様は命であり、赦しであり、永遠の象徴です。今シメオンは永遠の命・罪の赦し・永遠を抱いています。命であるイエス様を抱いたシメオンは再び命が吹き込まれ、本当の 意味での平安がやってくるのです。
目の前20センチにある幼子の重さ、暖かさ、息づかい、そのつぶらな瞳。 シメオンは五感をフルに働かせて、私たちにあふれる程の感動が沸いてきます。
 赤ちゃんを抱く時も、両手で抱き上げることでしょう。そこには‟ていねい さ”があります。
クリスマスも終わると、その出来事を思い起こす余韻が必要です。そして、イエス様のお言葉を大切にする生活がスタートすることです。
「神の命も言葉も、両手でいただきなさ い」と言われているように思ったのです
長い年月をかけて待ったイエス様。本当に待ったかいがありました。この方と出会うことが人生の目的であり、喜びであり、満ち足りた喜びです。
 古いものは過ぎ去りますが、この方にこそ、真の新しさがあり、2000年の月日が流れても、新しい命を与え続けてくださるお方であります。 
シメオンが抱いた幼子を私たちも両手で抱かせて頂きましょう。


         両手でみ子を

       あなたの両手でみ子を抱こう
       新しい命を抱きしめよう
       やさしい揺りかごのように
       み子の心に触れよう
       愛は宿る

       あなたの両手で捧げよう
       黄金 乳香 没薬
       あなたの心の宝物
       み子に捧げるこの日
       星はきらめく