もう、半年前に実施された競技会(ジャパンオープン2016)でのことを、思い出しながら書いてます。(笑)
いまさらながら・・・レスキューメイズのロボットを紹介してきましたが・・・写真に撮ってきたプレゼンポスターの内容なども確認したので、優勝を競った2チームのロボットを中心にトレンドなどを見ていきたいと思います。
(ただし、すべての情報を実際にヒアリングした訳ではありませんので、真実でない部分が含まれているかもしれません・・・悪しからず)
まずは、優勝したTeam "Atlantis"
このチームのプレゼンポスターは、いつも研究発表のようです。今回も、いくつかの温度センサーを研究・比較して、より良いものを選択したことが書かれています。そう、こういう研究が大切ですね。その結果、彼らの選んだのはオムロンの D6T-44L-06 という非接触型の温度センサーです。
これは、精度も高く、検出範囲が広いのですが・・・検出範囲が広いことは短所にもなりうる・・・ので注意が必要です。そして、短所はI2Cのアドレスを変更できない・・・だそうです。
で・・・このチームは左右にこの温度センサーを装備するために、Line Decorder(TC74HC139)で2つの温度センサーを切り替えて使用しています。(素晴らしい・・・M&Yには絶対にできません)
さらに、物体との距離を測るセンサーとして、超音波センサーとPSDを比較しています。
(昔から、超音波センサーよりも、PSDが好きなようです)
こうやって、実際に比較して判断しているチームがどれくらいあるのでしょうか!?
まず、彼らのロボットはLEGOベースではなく、自作機です。でも、足回り(サーボモーターやギア、タイヤなど)をLEGOの部品を組みあわせて組んでいます。ここら辺が面白い。(普通は、LEGOベースで、LEGOで実現できないところを汎用部品を使う)
メインのコントローラは Arduino Maga で、それに NXShield を組みあわせています。サーボモーターは、普通のNXT用のものを流用しており、これで回転数カウントも簡単に実現しています。
さて、センサー関係は・・・
温度センサーは既に紹介した、オムロンの D6T-44L-06
距離センサーは、超音波センサーとしてHY-SRF05(・・・と書かれているけど、超音波センサーは使っているのかなぁ) PSD(GP2Y0A21YK)を5つ
障害物検知のタッチセンサーはLEGOのヤツ
ロボットの進行方向を検出する手段としてジャイロセンサー(L3G4200D)
傾斜路の検出に3次元加速度センサー(KXR94-2050)
チェックポイントの床(銀色の床)を検知するためにフォトリフレクタ(RPR-220)
と、ここまでは、他のチームとも似た感じですが・・・
黒色の床を検知するためにカラーセンサー(TCS34725)を搭載しています。
温度センサー以外は特殊な(高価な)センサーを使っていない、コストパフォーマンスの良いロボットだと思います。
さて、もう一方の Team”埼玉県立川越高等学校物理部" (長いので、以下”物理部”と略)の方ですが・・・
"Atlantis"に比べると、プレゼンポスターの内容が、あっさりしてます。
ジャイロセンサー:加速度の測定用 と書かれてるのが「ん?」って感じです!? (これ、間違っていると思うのですが・・・ 笑)
それから「PING」 って!? 商品名なの!? できれば超音波センサーとか測距センサーとか書いて欲しいところです。(なぜ、この高価なセンサーを採用したのかも興味があります)
さて、ロボットはLEGOベースで、特殊なセンサー関係を汎用部品で構成しています。
メインのコントローラは LEGO NXT で、センサーのコントローラとして Arduino NANO を追加しています。そして、その間の通信を RS485 でやっているようです。(どこぞのチームと似てます)
センサー関係は・・・
温度センサーは、MLX90614 と D6T-44L-06 の両方が書かれています。(本当に2種類を搭載していたかは未確認です) プレゼンポスターには、ロボットの左右に温度センサーを搭載していると書かれているので、1個づつ搭載していたのかも・・・
距離センサーは PING
障害物検知のタッチセンサーはLEGOのヤツでは無く、マイクロスイッチ
ロボットの進行方向を検出する手段としてジャイロセンサー(XG1300L)
床の色はLEGOの光センサーを使っています。
で、なぜか、その他のところに mindsensors社の AbsoluteIMU-ACG が書かれています。これ、ジャイロとコンパスと加速度センサーが合体したものだけど・・・XG1300Lとかぶるよね。どう使い分けているのでしょうか!?
と・・・こちらは、なかなか高価なセンサーを贅沢に使っているようです。
不思議なのは・・・レスキューキットを落とせるのは機体の右側だけなので、被災者を検知するのも右側だけで良いと思うのですが・・・何で、左右に搭載しているの!?
と、プレゼンポスターだけを見ると ??? と、なるところがいくつかあります。
迷路抜けのアルゴリズムは、どちらも拡張右手法です。
これも、標準的ですね。
ロボットの基本構成は違っていましたが、2つのロボットの総合性能(走破性)は、ほとんど同じレベルであったと思います。動きが正確な分、遅くて・・・8分ギリギリなところも似てます。
最終的には、正確性で一歩(半歩)先に行った "Atlantis" の優勝でした。