ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

神のゆくへ

2017-06-23 04:20:48 | 短歌





じふじかに 生る実のごとき 血の人に 問ひつくしてよ 神のゆくへを






*今日のは最近の作です。違う人が詠んでくれたものです。この存在の表現活動には実にたくさんのものが参加してくれている。同じ媒体を利用しているが、昨日の作品とはずいぶん違うと感じるでしょう。

「じふじか」は「十字架」、「てよ」は完了の助動詞「つ」の命令形で、「~してしまえ」と訳されます。普通の命令形よりは強い言い方になります。

「血の人」などというきつい表現は、実にかのじょにはできませんね。確かに、十字架にはりつけられたイエスの姿は、まるで不思議な木に生った血の実のようだ。いずれ、人間たちの頭に落ちてくる。それを「血の人」と一言で言ってしまえる人は、なかなかに痛い。

十字架になった血の実のようなあの人に、問いつくしてしまえ、神がどこに行ってしまったのかを。

人間は神を見失い、闇の中をさまよっている。一体神がどこに行ったのか、複雑な道をたどって逃げてきた身にはもうとんとわからない。そんな人間が神の行方を知りたいなら、あの人に、問い尽くしてしまいなさい。それほど強いことをしなければ、あなたがたには神の行方はわかるまい。

「てよ」という強い命令形にしたのは、阿呆の馬鹿さ加減を改めて、神の国に戻るのは、見下げ果てた自分を振り動かして、最も蔑んだ人にひたすら頭を下げて、しつこいほど問いただすことまでしなければできはすまいという、歌い手の心でしょう。

古語というのは、こういう心を「てよ」の二文字で表せるのが憎い。いろいろと使い方を覚えて、活用してみましょう。

別に怖がる必要はない。使い方がわかれば、適当な動詞と組み合わせて、そこから歌をねっていくという方法もあります。「問ひつくしてよ」の「問ひつくす」の部分をほかの動詞に変えてごらんなさい。それを連用形にしてくっつければよい。例えば「責め下ろす」という言葉を入れてみましょう。「責め下ろしてよ」つまりは責め下ろしてしまえという意味になる。責め下ろすとは無理矢理引きずり落すという意味です。




生きわぶる 賤の涙を からかひて 見過ぐす君は 責め下ろしてよ     夢詩香




「賤(しづ)」は身分の賤しいものの意、「見過ぐす(みすぐす)」はそ知らぬふりで過ごすという意です。「君(きみ)」は王様の意ですね。ここまでくれば簡単ですね。

「てよ」の意から、歌を練り上げることもできるという例です。







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