クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ホルストの「惑星」 レヴァイン/シカゴ交響楽団

2007年02月16日 03時44分46秒 | 管弦楽曲
録音の良い演奏は、クラシック音楽を聴く楽しみを倍加させます。
オーディオ的な快感を味わえるのは嬉しいものです。
今日はそんなCDを。

ホルストの「惑星」。
ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団の演奏。
1989年6月、シカゴのオーケストラ・ホールでの録音。DG盤。

おそらく今も最も良い録音で聴ける「惑星」。DGの夥しい録音の中でも屈指のものと思う。もともと、DGはシカゴ響と名録音を送り出してきたが(アバドとのマーラー、ジュリーニとの9番交響曲シリーズなど)、この「惑星」はそれらをも遙かに凌駕する圧倒的な録音と思う。

オーケストラのエネルギーが部屋中に広がる。オケは左右のスピーカー一杯に展開し、いや、スピーカーの間隔以上にもっと広がりがあり、奥行きも非常に深く、ステージの高さや奥行きが広大で、臨場感抜群。
各楽器の音が見事に捉えられ、定位もスゴイ。マルチ・マイクなのだろうが、個々の楽器が鮮烈に鳴る。しかも、広大なダイナミックレンジ。いつもの音量で「火星」を聴き始めると部屋が震えてしまう大音響、ところがボリュームを絞ると今度は「金星」のデリケートなピアニシモが聞こえない、かそけき音になってしまう。
いやぁ、凄まじい録音。

マゼール/フランス国立管の「惑星」が出たときには、その録音の良さと演奏の鮮烈さとにビックリしたものだったが、(当時、ソニーはマゼール盤の広告で「惑星戦争に終止符」とのコピーを並べていた)、このレヴァイン盤の衝撃は、それを遙かに上回る。
圧倒的な録音と思う。
その証拠といえるかどうか、このレヴァイン盤が発売された後、「惑星」はあまり録音されていないはずだ。1970~80年代には毎年のように(毎月か?)「惑星」の新譜が出たものだが、レヴァイン以後、めっきり減ったように僕は思う・・・・。

録音の話ばかりでアカンですな(^^ゞ。

演奏もスケール雄大で精力的。レヴァイン特有の、直截的で推進力あふれる演奏。音楽が停滞せず、グイグイ進んでゆくとともに、ピアニシモでの繊細感が素晴らしい。全体的には明朗快活、屈託のない、いわばアメリカン・スタイルの演奏で、クヨクヨしないところがイイ。

「火星」での圧倒的大音量。ティンパニの音がスゴイ。リアル。
テンポは速く、戦争の神が迫ってくるような凄みがある。

「金星」ではソロ・ヴァイオリンが美しい。録音が良いので、静謐感がたまらない魅力。テンポは速めだが、「金星」らしいエロティックなところはよく出ている。穏やかなな表情も好ましい。

「木星」もシカゴ響の最高級の技巧が味わえる。ホルンもトランペットも滅茶苦茶に巧い。テンポも速く、拘泥しない指揮ぶり。民謡風の中間部、聴かせどころでもレヴァインはメソメソしない。お涙頂戴式の演奏ではなく、スカッと爽快にあの美しいメロディを演奏させる。

「土星」の妖しさ、「海王星」の神秘感も素晴らしい。
ラストまで、オケの技量を信じて一気に仕上げてしまう気持ちよい「惑星」と云えそう。
これ、昨年末、ついに廉価盤になって、今や1000円。
嬉しいような、哀しいような、妙な気分でありますが、この「惑星」だけは間違いなく「買い」だと僕は思います。
この録音の良さは別格大明神ですな。

<自己リンクであります>
●ラトル/ベルリン・フィル
●ボールト/ロンドン・フィル
●佐渡裕/N響
●マゼール/フランス国立管
●マリナー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管



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