クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベーム/VPOのモーツァルト セレナード第9番「ポストホルン」ニ長調K.320

2011年04月30日 05時55分05秒 | 管弦楽曲
朝のジョギング路は、自宅近くの西条ひうち公園の周辺をトコトコ走ります。桜吹雪が終わって、今や葉桜。新緑が爽快な季節になりました。
緑の桜並木の下を走るのも気持ちがいいもんです。身体の周りの風の色まで緑になったような気がします。卯月から初夏の気候に、時節も変化しつつあります。
舗道に植えられた躑躅も咲き始めました。連休後半には満開になるでしょう。赤白ピンク。これも目の保養であります。
比べてみると、この時期がジョギングには最も楽しい季節であります。

さて、今日はカール・ベームです。
最晩年の1970年代、日本ではカリスマ的人気を誇った指揮者でありますが、ヨーロッパでは早くからその人気は薄れたそうで、日本でもこのごろはどうも忘れ去られた指揮者になりつつあるようです。死後30年を経ては仕方ありませんが、この人には良好なステレオ録音が遺されたのだから良かったなぁとボクは思っています。

■モーツァルト:セレナード第9番「ポストホルン」ニ長調K.320
■演奏:カール・ベーム指揮ウィーン・フィル
■録音:1971年 ムジークフェラインザール DG盤

ボクは大学3年生の頃(つまり二十歳の頃)からクラシック音楽を聴き始めたのだが、その頃の友人にクラシックに詳しい男がいて、そいつが云うには「モーツァルトの演奏はワルターとベームの間にだいたい収まる」らしいことだった。「ただし、フルトヴェングラーだけは別格だ」ともそいつは言った。
柔軟で歌に包まれたワルターと、謹厳実直で格調高いベーム。その両端の間に、多くの他の演奏は収まるという謂だったが、今思い出してもなるほどなぁと納得する。
確かにワルターもベームも実に素晴らしいモーツァルト指揮者だった。日本でも人気が高い二人だった。
ボクにとっても、ワルター/コロンビア響のモーツァルト後期交響曲集は愛聴盤だったし、ベームのモーツァルトはベルリン・フィル盤もウィーン・フィル盤もよく聴いた。ベーム/BPOの交響曲全集中古盤LPを思い切って購入した若かりし想い出もある。
懐かしい。

1970年代以降、ベームの管弦楽曲や協奏曲の相手はウィーン・フィルが多かった。
今も全く正調正統的な名演盤と思う。寛いで聴くには少々堅いし、厳格すぎるかなぁと思うのだが、よく聴き込んでゆくと、ベームの暖かさやしなやかな歌、音楽を慈しむ心、そしてベームにして精一杯の柔らかさが、じわじわと伝わってくる。

この「ポストホルン・セレナード」もそう。

音楽はイキイキと流れ、春のリズムのように新鮮な響き。表情はとても明るい。
その明るさは、やや曇りがかった空がら、サーッと光が差し込んでくる時のような、明るさ・輝きであって、ウィーン・フィルのつややかな響きがそれに一役買っていると思われる。

演奏の白眉はポストホルンの出てくる第6楽章かな。
美しさと質朴さが同居している表現が、ベームらしくて好ましい。
胸弾む感じも良い。

録音はだいぶ古くなっているものの、今も十分に美しい名録音。
DGらしいと云うべきか、あまり派手ではなく、鮮やかな音を目指しているわけではないのだが、中身のよく詰んだ、イイ音だと思います。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
名曲・名演ですね (crest)
2011-04-30 16:18:50
こんにちは。この曲はこのレコードで知りました。まさに名曲、名演の一枚ですね。
第6楽章のポストホルンが最後の最高音で一寸
かすれるように危ういですが、これもお愛嬌。
終楽章のプレストはベーム最高の燃焼ぶりに思えます。生き生きとして充実した音!
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>crest 様 (mozart1889)
2011-05-01 05:07:21
コメントを有り難うございました。
まさに丘さんのおっしゃるとおり、名曲の名演ですね。ベームとウィーン・フィルのコンビは、厳格で真面目な指揮者と、それを支えて柔らかで馥郁たる音楽を演奏するオーケストラの、ホンマにエエ組み合わせでした。ポストホルンの音もボクは大好きなんです。
このコンビのレコードには、随分と音楽を教えてもらいました。
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