(本頁は「晩春に鳥海山を一周・秋田編」の続きである。)
山形との県境付近を通る時、日本海はよく見えるが、鳥海山はしばし見えにくくなる。
再び見え出すのは、吹浦を過ぎ、国道345号線に入って松林を抜けてから。
遊佐町北目付近(マップではJ)から望む鳥海山は秋田側から見た姿とは大きく違う。
主役は左前面の笙ヶ岳(1635m)。鳥海山本体は右に月山森(1650m)を従えて奥まった場所に聳えている。
なおここから見る鳥海山は雪が少ない。鳥海山の積雪は東側半分に多く、
海岸に面した斜面は元々少なく、いち早く消えてしまう。
今回の山形編マップ。
北目から少し進み、遊佐町の中心部が近づくと、鳥海山はまた姿を変える。
今度は鳥海山本体が右側に高く聳えて、左の笙ヶ岳が後に続くような姿になるが、
この後、八幡町まで走っても、この姿形はあまり変わらない。
山形県庄内地方の多くの場所で見える鳥海山はほぼこの形だ。
そのため、私はこの形の鳥海山を「庄内鳥海」と呼びたいと思う。
写真は遊佐町の月光川河川敷(マップではK)から見た鳥海山。
この場所は映画『おくりびと』のロケ地として使われた。
庄内地方から見える鳥海山の雪形は「種まきじいさん」が割と有名のようだ。
この雪形は鳥海山本体ではなく、笙ヶ岳の山頂直下に現れるが、
よく見える時期はけっこう早いようで、今回は消滅した後だった。
どうしてもご覧になられたい方は
↓頁をご覧あれ。
https://tabi-mag.jp/yukigata-tanemaki/
現在の雪形は、5、6人の人が左から右に歩いているようだ。
「おくりびと」なので、もしかしたら葬送の列か。
旧八幡町の福山(マップではL)に移動しても、形はほとんど変わらなかった。
ただし前山のせいで笙ヶ岳は見えなくなった。
次は国道345号線を離れ、県道366号線、368号線を走って大台野(マップではM)に向かう。
大台野の標高は500mを越える。そのせいかここから望む鳥海山は高度感があまり無く、
キリマンジャロのように幅広になっている。
大台野から見た鳥海山。
ここに来たのは、その奥にある鶴間池に行くためだ。
しかし鶴間池に行く道路は手前の荒木橋を過ぎたところで、雪で塞がっていた。
荒木橋まで戻り、空きスペースに駐車。
そこから歩いて行こうと、登山モードに変身して、ブナ林に入った途端、唖然とした。
鶴間池入口のブナ林
登山道(夏道)が雪に覆われて全く見えないのだ。
道に迷って遭難したらタイヘン。よって今回は鶴間池行きを断念した。
夏道での鶴間池往復はかなりゆっくり見積もっても約二時間。
今回の断念で浮いた時間はどうするか。
この後、訪ねる升田周辺の景勝地巡りと、折角なので鳥海山を一周することで浮いた時間を消化することにした。
鶴間池には行けなかったので、
参考までに2019年6月12日に訪ねた時の鶴間池を。
この日は雲がかかって池から鳥海山が見えなかった。
今回はそのリベンジのつもりだったが、来るのが少し早かったようだ。
帰り道、大台野(M)から月山も見えた。
朝日連峰も見えた。右の大きな白い山は以東岳だろうか。
升田(マップではN)は鳥海山の南側を流れる日向川の最奥にある集落。
位置的には鳥海外輪山山頂部の約10km、ほぼ真南に位置し、
標高は210~220mなので、山頂部との標高差は約2000mとなる。
ここから望む鳥海山は、大台野からと同様、幅広でキリマンジャロのような形だ。
左の方の一段低い台のような地形は、一部、月山森と重なっているが、河原宿の台地と思われる。
こちら側から鳥海山に登る場合はまずは河原宿の台地をめざして登り、
ついで鳥海山本体(厳密には外輪山)をよじ登る。
山頂部をアップで。
鳥海山を一周するためには、升田から先、どう走るのか。
地図を見ると、升田から北に奥山林道が走っており、秋田県側に入れるようになっているが、
この道は凄まじい悪路で、三年前は不通になっていた。
仮に県境を越えたとしても、秋田側の手代川林道も超悪路。
2019年の秋にはタイヤをバーストさせ、車が正常に戻るまで一ヶ月以上も要した。
それに懲りて、この道は舗装されるまで走らないと決めた。
そのかわりに考えたルートは、升田からちゃんと舗装された県道368号線を南下して山を越え、
その後、国道344号線に乗り換え、東進、
青沢越えの峠を経て、真室川町、更に金山町に出て、国道13号線を走り、秋田に戻るというパターンだ。
かなり遠回りになるが、これでも一応、鳥海山を一周したことになる。
てなわけで、真室川町に入ってから、振り返り見た鳥海山を二枚。
どちらも富士山型だが、やや幅広、キリマンジャロ似の鳥海山だった。
真室川町差首鍋(さすなべ)地区(マップではO)から。
真室川町大沢地区(マップではP)から。
山形編のラストは金山町上台(マップではQ)から見た鳥海山。
再び、マップ。
マップからもお分かりの通り、この場所は鳥海山からかなり離れており、
午後の太陽光角度の関係もあり、ややぼやけ気味だが、
ここは金山町では鳥海山が最もよく見える場所だ。
ただし交通量の多い国道13号線上なので、少し離れた空き地に車を置いて撮影地点には歩いて行った。
交通量が多く、歩道も狭く、危険な場所なので長居は無用。
この場所の少し北、金山町から北側は山間を走るため、鳥海山は見えなくなる。
秋田の帰り道、真室川町の及位(のぞき)地区から甑山を見て帰った。
甑山。左が男甑(981m)、右が女甑(979m)。
山形県金山町、真室川町と秋田県湯沢市の間は高さが1000m前後の丁岳山塊に遮られるため、
鳥海山の姿は下界からは見えない。
そのため、東南東や真東の方角の下界から鳥海山を見ることは不可能だ。
ただし高い山に登れば話は別。
昔の写真で恐縮だが、秋田県の南端近くに聳える山伏岳山頂(1315m)から見た鳥海山で、
この方角からの鳥海山はご勘弁頂く。
2017/05/29 山伏岳山頂から見た鳥海山。
傾斜は少し緩いが、みごとな富士山型だと思う。
以上。
それにしても、鳥海山を一周とは驚きです。
いつも、楽しく見せていただいてます
鳥海山を一日で一周はサラリーマン時代も何回かチャレンジしてますが、
途中で雲がかかったり、霞んだりしてなかなか成就しませんでした。
今回は残雪が多く、鳥海山が奇麗に見えるうちに、
水田に映る姿や雪形も愉しもうという欲張り企画でしたが、
なんとか果たせました。嬉しいです。