院長の大石です。
「ペコロスの母に会いに行く」という本がとても良いです。
ペコロスというのは、小たまねぎのこと。つるつる頭の息子が、認知症の母親を
施設にたずねるという意味です。
父が亡くなってから、次第に認知症がすすんで行く母親を、息子が施設で介護する日々の日常を、
ユーモアや優しさにあふれたタッチのコミックとエッセイで描いています。
かわいいおかあさんのミツエさんの言葉や行動に泣いたり笑ったり。
ぼけてはいませんが、このごろ、だんだん童女のようになって来た母の姿が重なります。
あまり近づきたくなかった「老い」のテーマが、温かな目で描かれていて、少し力が抜けてほっとする感じがします。
あの世とこの世、現在と過去(もしかしたら未来も?)が、交錯しているミツエさんの日常には、なくなったご主人が時々、現れます。
「ボケたけん、父ちゃんが現れるとなら、ぼけることも悪かことばかりじゃなかかもしれん。」
あー、そうなのかも知れない、生きて行く事って、こうじゃなきゃいけない、という事はないんだなと、
思えて来る、不思議な素敵な本です。
今度、おすすめしようかと思ってたとこでした。
読んでる最中に、自分の祖母と重ねて涙した、とても素敵なエッセイでした。