みかんの部屋

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「ミューズの方舟」2016年度発表会に寄せていただきました。

2016-12-10 16:00:00 | オーディオ
2016年12月04日、品川区中小企業センターにて開催。
オーディオ評論家だった故・長岡鉄男氏の呼びかけにより発足した、
スピーカー自作をメインテーマに活動するオーディオ同好会”ミューズの方舟”。
ネットで2016年度発表会の開催を知り、足を運ばせていただきました。
手作りのプログラムが無料配布され、定刻間近になるにつれて席は埋まっていきます。
もちろん毎回会員の方たちの力作が発表されるわけですが、今回の発表会の目玉企画は
長岡鉄男氏設計のD-57 vs メーカー製高級スピーカー
となります。
長岡鉄男氏は生前多くの自作スピーカーを設計~発表されましたが、中でもバックロード
ホーン方式採用のD-57はマニアやメーカーなどに対して人気・注目度の高い作品でした。
またメーカー製高級スピーカーというのは、フォステクス社のG-2000aを指します。
同社にとっても技術の粋を注入した、ブランドを代表する看板商品の位置づけとなります。
もっともD-57に搭載されているスピーカーユニットも同じフォステクス製品ですから、
この勝負、どちらに転んでもフォステクス社にとっては問題はなさそうですが(^^;

 
定刻。会長さんから開会の辞。           アキュフェーズ社から無償で貸出された超高級機器類(^^;

  
トップバッターは共鳴管方式スピーカー。      こちらが設計製作をされたカノンD5氏。

トップバッターは共鳴管方式スピーカー、S-054 83Diamond。
今回は”8cmユニット使用”がお題であるため、すごく手間のかかった大きなキャビに
8cmのユニットがちんまりと納まっています。
音も悪くなかったのですが、もう少し大きな口径のユニットを使った方が音の出かたに
余裕が出たのでは?と感じてしまいました。
設計製作をされたカノンD5こと鈴木智彦氏は知る人ぞ知るスピーカー自作の達人で、
現在は自らのクラフトスピーカーメーカーを立ちあげられています。

 
螺旋ダクト方式『ラミ参号』。           アルミパイプ方式『デュール・ムー』。

続いては田中博志氏による螺旋ダクト方式『ラミ参号』。
全体的なデザインはさいころ型、バスレフダクト内部の形状を螺旋形に仕上げた個性派。
というか、どの出品者も普通じゃないところを狙って設計製作されているので....(^^;
そして井上康宣氏のアルミパイプをキャビに仕立てた『デュール・ムー』。

 
なんと五角形構造の”五稜郭”。          バックロードホーン方式『チューバ・ソルデス』。

内野幸次氏の出品された『五稜郭』は、素人レベルの工作では手に余るような、難しい
五角形の構造をしたダブルバスレフ方式。
また前田好一氏の『チューバ・ソルデス』はバックロードホーン方式。
通常なら内部の折り曲げホーンに直線構造を採用するところですが、本作品の場合は
すべて曲線構造を取入れており、結果的には相当工作の難易度の高い作品となっています。
もっとも、複雑な構造だからといって、音が良いかどうかは別の問題ですが、
この場合は両作品ともに製作者の努力がうまく報われた好例と感じました。

 
アクリルの可能性に挑戦する前田好一氏。      反射の具合で白っぽく見えていますが、実際は透明。

アクリル材の音響的可能性に挑戦する前田好一氏。
すでにアクリル材によるキャビを何作か製作ずみで、音響材料としての優秀性を実感
している、といったご本人のコメントがありました。ただし非常に硬くて素人工作では
難渋を極めるため、第二作以降はプロに製作を任せているとのことです。
実際に聴かせていただくと....ん~正直なところ何か良く解りませんでした。
取り立てて悪いということではないんですが、明確に「これは良い!」ということでも
なくて....。スミマセン歯切れが悪くて(^^;
自分の部屋でじっくりと聴けるのならばともかく、聴いていきなり「アクリルは良い!」
とかはなかなか言えないです。

  
スタイリッシュな『FLAT-8』の雄姿。       いよいよ真打企画でD-57登場。

『FLAT-8』がステージ上に登場するや、その鮮やかな、スタイリッシュなカタチに痺れました。
思わずどんな音がするのかと超絶に期待。
しかしハテ?縦長のバッフル板に8連のユニットが並ぶ構造。
ふ~ん、ハコって無いんだな、すると板でつながっているだけか~。
それだと低音は出なさそうだなあ~でも理屈はともかく案外頑張ってくれるのかな?
実際に出てきたのは低音の聴こえてこない、まさに理論どおりの音で少々、いや
かなりガンガンと喧しく聴こえるのには参りました。
こんな広い会場で鳴らすのではなく個人の室内ならば、周囲の壁やモノが巧く作用して、
もっと落ちついた良い音になるのでは?
しかし製作者の内田篤志氏によれば、こんな広い場所で鳴らしたのは初めて、いつもより
良く鳴っていると思いますとコメントされたので思わずダアとなってしまった(^^;
まあ同じ音でも、人の受け取りようは様々ということで....。

 
ペア140万円の商品。設置も慎重です(^^;      僅差でD-57に勝利。同席したメーカー氏の胸中は安堵?

最後に、いよいよ本日のメイン・ディッシュ、D-57 vs メーカー製高級スピーカーのイベント。
始めにも書きましたが、メーカー製高級スピーカーというのは、フォステクス社のペアで
140万円するG-2000aを指します。
この高額商品と個人の手作りのクラフトスピーカーを同列に並べて評価しようというのですから
ちょっとだけムチャかも(^^;
3種類のCDを使って何度も鳴らしてみた結果、会場の反応ではG-2000aがやや優勢、といった
結果でした。
個人的にはD-57の音は開放的だが軽いという感じ。またこのキャラだとクラシックにはあまり
合わないだろうと思っていましたが、ソースによっては案外いけるようです。
逆にG-2000aの方はやや抑制的で、ハシャぐような音は出さないといった性格のようです。
それがオーケストラの強奏時などうまく作用して、厚みのある音といった感じになるようでした。
両者とも同一価格で自分の予算内ということならば、G-2000aを選ぶと思います。
ただ同席していたフォステクス社の方によると、G-2000aの場合、100万円クラス以上のパワー
アンプが必須で、安いアンプでもそれなりに鳴るD-57とはわけが違いますよ~とか発言されて
いました。
そのひとこと、可愛くない!かも(苦笑)。

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