日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

総選挙と安倍派の行方

2023年06月10日 10時15分53秒 | 日々雑感
 政治家の派閥と言えば政策や主義・主張に共通点のある者同士が集まる集団であり、この意味からは自民党ばかりでなく他の政党にも研究会やグループと称する派閥がある。この派閥は総裁や首相を選ぶときに特に力を発揮するため自民党の派閥が有名になるのだ。

 自民党の総裁選挙には派閥が一丸となって選挙に臨むため、派閥に属する人数がものを言う。現在自民党には主な派閥が5つありそれぞれ、安倍派99名、麻生派55名、茂木派54名、岸田派46名、二階派(44名)だ。岸田現首相の派閥は最大派閥ではないが、前首相の菅氏の前の安倍氏が最大派閥を率い10年程度の長きに亘って君臨したため弊害が大きくなり、岸田氏が首相となる特殊事情による結果だ。

 一昔前は派閥の力は絶大であった。この元となる力は金であり、各派閥は1994年の政治改革で企業・団体献金を受け取ることができなくなり、派閥の構成員への分配金も無くなってしまった。この為派閥の求心力は激減したと思われたが、派閥が無くなることは無かった。現在派閥の力は数と言われ総裁選では力を発揮するため各派閥は勢力拡大に余念がない。属する派閥の長が首相にでもなれば大臣や各種委員会の長の役目も可能性が高くなるメリットがあるのだ。

 少数派閥の長が首相になっても大派閥の影響力は大きく、大臣への登用にも気を使わなくてはならない。現在の岸田内閣では、最大派閥の安倍派から4人、岸田派・茂木派・麻生派から3人、二階派から2人、森山派から1人という派閥の均衡を取った人数構成となっており、独自の政策実行にも気を使わなくてはならないようだ。

 さて、毎日新聞は5月20、21の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は45%で、4月15、16日実施の前回調査の36%から9ポイント上昇した。支持率は昨年12月には25%に落ち込んでいたが、今年5月19~21日開催のG7広島サミットを成功裏におさめたとされる影響か急激に上昇したようだ。

 これを受けて、自民党内で早めの解散総選挙が望ましいとの声も出始めたようだ。総選挙が行われても各政党の当選人数は大して変わらず、相変わらず自民党が大勢を占めるであろう。興味あるのは自民党の派閥の行方、特に安倍派の行方だ。現在安倍派は今もって後継者が決まらず各候補者が牽制しあっているようで会長が決まる気配が無い。また山口3区の選挙区では岸田派と安倍派の争いがあるとのことで、安倍派は明恵夫人まで動員して安倍派の底入れを図っているとのことだ。更に、安倍氏と仲の良かった公明党との選挙協力がほころび始め行方がどうなるかが関心の的だ。

 兎も角、安倍元首相の影響力が低下していることは確かであろうが、安倍派の人数は大きい。岸田首相はこの点にも気を配りながら解散時期を練っていることだろう。2023.06.10(犬賀 大好ー922)

安価な電気自動車は普及するか

2023年06月07日 09時55分13秒 | 日々雑感
 世界の大手の自動車メーカは競って電気自動車(EV)を開発しているが、マスコミに登場するのは概して高級車だ。日産を代表するEVであるリーフも最低価格でも300万円程度だ。EVはガソリン車に比べて構造が極めて簡単なため、低価格が特徴となる期待があった。

 走行距離より充電のし易い、無人運転出来なくても操作が簡単な小型車の方が、島国日本に相応しいと思うが、自動車メーカは世界の市場を目指しているのか低価格自動車の開発に力を注いでいないようだ。現在の日本の貿易の稼ぎ頭は自動車だ。日本の市場だけでは狭すぎる。世界を相手にしなくてはならない事情は理解できる。

 しかし、ネットで検索すると安価なEV車は結構ある。例えば、中国産のKiWiは12万円から16万円、インド製のEaS-Eは82万円程度、日本製のC+Pod は165万円~171万円である。しかし、航続距離の違い、何人乗りかの違い等、幅広い車種があり、急速充電対応・電費等も様々で価格だけで公平に比較するのは無理だ。更にここに政府の補助金も加味すると何が何だか分からなくなる。

 昨年2022年の地域別のEVの販売台数は、中国が2021年比約8割増の約453万台と最も多く、ドイツや英国を含む西欧も約3割増の約153万台で、米国は約80万台であり、日本は約5万台に留まり低調だ。日本では世界に比べEVの普及は低調であるが、EVの中でも軽自動車のEVが好調だったようだ。

 今年4月の販売台数トップは日産の4,323台で、軽自動車サクラがこの数カ月の間4,000台前後を維持していたそうだ。サクラの価格は233万円以上だが、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金を活用した場合の実質購入価格は約178万円からとなるそうだ。それでも決して安くはないが、価格300万円以上の日産リーフの851台と比べ遥かに多く売れている。

 日本でEVが普及しない原因のひとつに充電設備の不足が挙げられているが、軽自動車EVは自宅で充電することが原則とのことで、普及の可能性は大きい。この点価格の低い外国車は有利と思われるが、最大の不利な点はアフターサービス等の点で不安があることであろう。日本では車の営業店が無数と言えるほどあり、維持・整備の点では完備している。この点、日本での販売は不利であろうが、構造が簡単である故、現在とは違った整備システムが出来るかも知れない。

 現日本ではEVよりハイブリッド(HV)が圧倒的に多い。欧州委は2021年7月、乗用車や小型商用車の新車によるCo2排出量を2035年までにゼロにする規制案を発表した。HVを含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車への移行を促す内容で、欧州議会も2022年10月にEU加盟国と合意した。日本もこの方針に従わざる得ないだろうが、まず日本の国内での普及が先決であろう。

 今後電気自動車の開発方向は二分化すると思われる。無人運転等を含む高級化と近距離移動を主とする低価格化である。2023.06.07(犬賀 大好ー921)

中国における政策の大変更は簡単だろうが

2023年06月03日 16時50分02秒 | 日々雑感
 森林を保護する環境政策として始まった「退耕還林」は、洪水や土壌浸食など深刻な環境問題の対策として1990年代末に始まった政策である。春先、毎年のように日本にも飛来する黄砂は、洗濯物や自動車を汚し迷惑を被っているが、北京では日本以上に被害を受けていることだろう。黄砂の発生源はモンゴルのゴビ砂漠と言われているが、中国本土の農地からも舞い上がっていることだろう。この為中国政権は、砂漠地帯の植林や農地を林に戻して、砂被害を防止しないと共産党政権の基盤が崩れるという危機感が背景にあり、退耕還林を進めたのだった。

 しかし、最近それとは真逆な「退林還耕」政策に切り替えたようだ。これは森林等の緑地を農地に戻すことであるが、習近平総書記が変更した背景には国際情勢の変化がある。すなわち中国の食料安全保障だ。

 中国は農業大国だが、食糧輸入大国でもある。中国の食料自給率は、2000 年代以降ほぼ 100%で推移してきた。2012 年以降安い外国産の大豆等の輸入の拡大によりこの値は低下しているが、2015 年は 97.9%と、依然として高い水準を維持しているようだ。政府の発表する統計は常に政治的な思惑を含むため本当の所はよく分からないが、中国の最近の穀物自給率は80%~95%程度と見るのが一般的だ。

 日本の2020年度の食料自給率は37%でしかないので、これと比べると中国はかなり高い自給率だ。それにも拘わらず食料の自国生産を言い出したのは、自国の食料安全保障の為だ。西側諸国との関係の悪化や、特にロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍は人口大国の中国に強い危機感を与えているからであろう。いつの日か起きる台湾武力統一のための準備も、重要な目的と推測されているそうだ。

 この中央政府の方針に対し、地方官僚はすべては中国共産党中央政府に従わねばと、また自分の地位を守るためにも現状を無視し行き過ぎた行動までして自分の手柄とするのだそうだ。中国全土で公園等をコメや小麦などを作る耕作地へ切り替えたり、育てたバナナ等の作物を収穫を待たずに強制的に廃棄されるなど、各地でトラブルも起きているとのことだ。

 習近平総書記の鶴の一声が地方にまで徹底されるのは一党独裁体制の賜物である。下の官僚や政治家は盲目的に従っておれば無事出世出来る為政策は一層徹底されることになるのだ。この例は最近の新型コロナウイルスの感染対策のゼロコロナ政策においても見られる。

 中国のゼロコロナ政策は徹底しており、取り締まり関係者の大活躍により一般庶民は不自由な生活を長期間強いられたようだ。そのお陰で無事コロナ感染の終息を迎え、この政策は大成功だったとの話だが、これは政府発表の話であり、現在コロナ感染が本当に終息しているのか、懸念するところもある。本来はこの政策の費用対効果等の面より検証すべきであろうが、例え検証したとしてもその結果は公表されないであろう。

 前述の退耕還林から退林還耕への政策変更にしても、結果がどうとなれ大成功の結果となろう。2023.06.03(犬賀 大好ー920)