日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

財政健全化問題と岸田・麻生・安倍各氏の関係

2021年10月16日 09時12分41秒 | 日々雑感
財務省事務方トップの矢野事務次官が雑誌「文藝春秋」11月号に寄稿した論文が波紋を広げている。矢野氏はそこで、10月末の総選挙に向けて与野党ともにバラマキ合戦のような経済政策をアピールしており、まるで財源が無尽蔵にあるかのような取り組みだと、非難しているのだ。

岸田新首相は数十兆円もの大規模な経済対策を主張し、公明党や立憲民主党も国民への10万円支給を謳っている。日本は国の借金が1100兆円を超えていると言うのに、コロナ後の経済不況を救うとの口実で、国の財政危機は全く考慮されていない。国民もお金さえ貰えれば投票するに違いないと、馬鹿にされたものだ。

国の借金の膨大さを鑑みれば、財政出動より増税のほうに力を注ぐべきであるのに、民主党政権時代に当時の菅首相が増税を言い出し、選挙で大敗したことがトラウマになっているのか、増税を言い出す党はいない。岸田首相は総裁選の際に金融所得課税に言及していたのに総裁になった途端引っ込めてしまった。また野党までもが消費税率の引き下げを提案している。このようなポピュリズムに、現職の財務事務次官が警鐘を鳴らしたのであろう。

これに対し、政府は11日、私的な意見を述べたにすぎないと沈静化を図ったものの、与野党から批判が相次ぎ、更迭論も出ているそうだ。安倍政権であれば直ちに更迭されていただろう。しかし、直ちに更迭すれば、幅広く聞く力を重視する首相の政治姿勢が疑われる。

さて、この件で理解に苦しむのは財務相だった麻生副総裁の姿勢だ。矢野氏は雑誌への寄稿を事前に了解を得ていたとのことだ。安倍政権下で財政健全化を軽視続けてきた財務省の責任者が、財政危機を認識していたとは思いもよらなかった。安倍氏は今でも財源はお金を印刷すればいくらでもあると主張しているようであり、財務省のトップである現事務次官が国の財政を心配していることに安心感すら覚える。

自民党の高市政調会長は矢野発言に対し、”大変失礼な言い方だ。基礎的な財政収支にこだわって、困っている人を助けないのはばかげた話だ”、と語ったそうだが、全く近視眼的な発想であり、将来財政健全化をどうするかも含めて発言すべきであろう。

岸田文雄首相は”議論した上で意思疎通を図り、政府・与党一体となって政策を実行していく。いったん方向が決まったら協力してもらわなければならない”、とくぎを刺したそうだが、岸田首相は矢野氏の言い分によく耳を傾けて貰いたい。

岸田首相は総裁選立候補当時、安倍氏と決別すると大いに期待していたが、衆議院総選挙を控え安倍氏擦り寄ってきているが、岸田氏の新鮮さが失せ、これでは選挙に大敗するに違いない。

財源はお札を印刷すれば無限にあるとする安倍氏、異次元金融緩和を推進していたが日本の財政危機に目覚め始めたと思われる麻生氏、権力を維持することにかまけ何を考えているか分からない岸田氏、今後の岸田・麻生・安倍の各氏の動向が注目される。2021.10.16(犬賀 大好ー755)

日本に報道の自由はあるのか

2021年10月13日 09時14分25秒 | 日々雑感
 今年のノーベル平和賞が2人のジャーナリスト、フィリピンのマリア・レッサさんとロシアのドミトリー・ムラトフさんに決まった。授賞の理由は、世界各地で表現の自由が脅かされ、言論が脅かされているという危機感を背景に、強権的な政権に批判的な姿勢を続ける二人が選ばれたのだ。

 共産党一党独裁の中国では、インターネットなどで8日夜ノーベル平和賞の受賞者に関する速報記事が流れたが、間もなく削除されたそうだ。中国当局が、強権下でも表現の自由を守るため努力をしたとノーベル賞委員会が評価した報道を当然ながら不適切だと判断したのだ。

 このような他国の出来事を知り、日本は報道の自由がある平和な国と思っているが、どうも感覚が麻痺しているようにも思える。

 国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団は今年4月に「世界報道自由度ランキング」の2021年版を発表している。世界180か国と地域のメディア報道の状況について、メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などの側面から客観的な計算式により数値化された指標に基づいたランキングである。これによれば日本は71位で決して自由度が高くは無いのだ。

 アメリカやイギリス、フランスといった先進国は、その時代情勢によって10位代から40位代の中間よりやや上位を推移している。また、中国や北朝鮮、ベトナム、キューバといった社会主義諸国のランキングは170位代前後を推移し、常に最下位レベルである。

 日本では、民主党政権時代に先進国並みに順位が上がったことがあったそうだが、自民党政権では順位を下げ、一昨年に成立した特定秘密保護法の成立が日本の順位下落に拍車をかけたようだ。

 現在、中国やロシアに比べれば日本はかなり報道の自由があると思い込んでいるが、世界的に見ると報道が結構制限されているのだ。第2次世界大戦時には報道規制がひどく、大本営発表を信じ込んでいた当時の日本国民の愚かさを嘆いていたが、とんでもない思い違いなのだ。

 日本の動き、世界の動きを報道によってのみ知る国民はそこから以外の事実を知ることが出来ず、大本営発表がすべて実情と思い込むのは当然なのだ。現在でも報道の自由があると信ずること自体が既に麻痺しているのだ。

 安倍首相がメディア対策に躍起になっていたことは知られており、新聞・テレビなどマスメディア幹部との会食を頻繁に行い、NHK経営委員人事では安倍首相と思想的に近いとされる人物などを送り込んでいたことは有名である。会食が即圧力をかけていたことにはならないだろうが、人情で忖度する雰囲気は出来上がる。

 森友学園問題や桜を見る会では官僚の忖度が問題となったが、前述の会合自体を各社が報道しないところを勘ぐれば、十分忖度する雰囲気が出来あがったことを伺わせる。報道の自由が脅かされていることを感じさせない戦略が最高の報道規制だ。2021.10.13(犬賀 大好ー754)

エネルギー基本計画は原発推進となるか

2021年10月09日 09時45分41秒 | 日々雑感
 先の自民党総裁選で河野太郎氏は岸田文夫氏に破れた。河野氏は反原発派であり、総裁選では既存原発の再稼働は認めながらも、核燃サイクルは”なるべく早く手じまいすべきだ”、と主張していた。

 河野氏は有識者会議(再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース)を主導しており、これまで国のエネルギー基本計画をまとめる経済産業省の資源エネルギー庁とことごとく対立していたようだ。

 さて、7月21日、経産省は「エネルギー基本計画」についての素案を発表したが、これには、菅前政権の”2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ”とする目玉政策が反映されていたが、原発に関してはほとんど触れられていなかった。

 すなわち、2030年度の電源構成は、脱炭素電源を6割程度に引き上げ、化石燃料発電に関しては現行目標の56%から41%に縮小させる等の内容であった。原発に関しては現行目標の20~22%を維持するとしており、自民党内の原発推進派や電力業界が求めていた原発の新増設やリプレースも明記されなかった。”可能な限り原発依存度を低減する”という計画案の表現にも、党内の推進派の不満が強かった。

 ところで今回誕生した岸田新総裁は、党役員や大臣に原発推進派を登用したため、今後のエネルギー基本計画がどのように変更されるか注目される。

 さて、核燃サイクル政策はとっくに破綻しており、これまでに蓄えられてきたプルトニウムの使い道等、岸田新政権は打開策を迫られるだろう。今回政調会長に抜擢された推進派の高市早苗氏は新たな原子炉開発を主張している。世界の流れは脱原発であり、原子力に身を委ねようとする若手人材はいないか、いたとしても少ないであろう。

 電力会社は原発の再稼動を急ぐが、一方では廃炉作業を進めなくてはならない。廃炉作業はこれまでに経験の無かった作業であり、多くの人材が必要であるが高齢化のための退職も相次ぐようで、若手人材の確保は大丈夫であろうか。

 東京電力は9月22日、柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策の不備が相次いだことについて、原因と再発防止策をまとめた報告書を公表した。この中で安全意識の欠如や閉鎖性といった組織風土の問題を指摘し、原子力部門の本社機能を新潟県に移すことも発表した。

 しかし、本質的な問題はこの仕事には将来への夢が無いことである。夢が無ければ、率先してこの仕事には就きたくないのは人情だ。いやいやながらの仕事には熱意が沸かない。柏崎刈羽原発での度重なる不祥事は従業員のやる気の欠如であろう。

 原発に慎重で再エネ導入を牽引してきた前環境相の小泉進次郎氏や、前規制改革担当相の河野太郎氏らが閣内から去り、政府与党の要職を原発推進派が占めたことで、原発回帰に転じるとの見方が出ているが、岸田政権が安定すればの話であろう。

 この秋の衆議院総選挙、来春の参議院選挙で自民党が議席を保つことが出来るかで岸田政権の寿命が判断できる。2021.10.09(犬賀 大好ー753)

岸田新総裁の政策”成長と分配”は本気か

2021年10月06日 09時21分55秒 | 日々雑感
 9月29日、自民党の岸田前政調会長が自民党総裁に決まった。新総裁の公約のひとつは新しい資本主義への脱却だ。6月11日、派閥横断型の「新たな資本主義を創る議員連盟」を発足させ、会長に就任していた。この議員連盟は総裁選を控えての単なる仲間集めと思っていたが、少なくとも以前からこの面での関心はあったようで今後の展開が期待される。

 日本のみならず世界的にも経済格差が拡大している。経済格差を縮小させるためにどうやって富を分配しつつ経済を成長させていくか、この世界的な難課題に対して、正面からチャレンジしていく姿勢を示しているが、どこまで本気であろうか。今から心配になる。

 岸田氏は、所属する宏池会の創始者、池田勇人氏が唱えた所得倍増論を倣い、幅広く所得を引き上げることで、経済全体の消費が間違いなく喚起される、とも語った。岸田氏の自身の特徴を、他人の意見によく耳を傾けること、と自己評価をしているが、様々な異なる意見を一つにまとめ、自分の信ずる方向に導く力があるかと言うと全くの別問題だ。

 訴えているテーマは”成長と分配”だ。歴代の政府はいづれも成長戦略を唱えたが、見るべき成果を挙げていない。ただ安倍政権における観光戦略が成功したかに見えたが、コロナの影響で底の浅さが露呈し、極めて外国頼みであることが分かった。

 分配のためには財源が必要だ。財源確保のために、岸田新総裁が税制にどこまで切り込むことが出来るか。高所得者に対し、あるいは金融所得に対し高課税を課し、また相続税等に対しても増税するなどして、低所得者に分配する必要があるが、当然反対意見も強く、岸田新総裁にはそれに対する説得力や実行力が試される。果たして、岸田新総裁は、財源の確保と分配を両立し、理想とする新しい日本型資本主義の実現ができるのだろうか。

 経済の発展は必然的に経済格差を生む。何となれば、経済活動は効率化の追求であり、そこには競争があり、成功する者がおれば負ける者がいる。米国における貧富の差は悪名高く、最近では中国の格差がよく話題に上がる。

 米国ではコロナ禍で対面業務が原則の飲食やサービス業の業績が大きな打撃を受け失業者が増えた一方、株などを保有する富裕層の資産価値が増え、格差が広がったようだ。米連邦準備理事会によれば、昨年3月からわずか3カ月で所得上位10%の保有資産は71兆㌦から77兆㌦に膨張したそうだ。

 一方中国の習近平総書記は中央財経委員会で”共同富裕(格差を縮めて社会全体を豊かにする)”政策に本格着手すると8月18日、宣言した。

 GDPの世界1位と2位の経済大国の経済格差が問題となっており、第3位の日本も顕在化している。この問題を岸田新総裁が早期に解決できるとは思えないが、少なくとも問題提起を国民に納得できるように丁寧に説明してもらいたい。2021.10.06(犬賀 大好-752)

1年前を振り返って(新型コロナウイルスの免疫抗体の持続性は不明、2020年10月)

2021年10月04日 09時33分13秒 | 日々雑感
ちょうど1年前の今頃から、コロナワクチンが使い始められたようだ。当時ワクチンの副反応や持続性が良くわかっていなかったが、1年後には大分分かってきた。しかし、当初からファクターXと呼ばれる、コロナウイルス感染の民族性と関係等は未だ解明されていない。人類とウイルスの戦いはまだまだ続く。2021.10.04(犬賀 大好)